老人

春秋花壇

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静けさの中に
ひび割れた手のひら
年月が刻んだ
皴の細道が延びてゆく

まるで時の流れが
そっとささやきながら
この掌を通り過ぎ
いくつもの季節が交差しているかのようだ

かつて柔らかな肌を
陽の下にさらしていたころ
無邪気に笑う顔と
未来を信じる眼差しがそこにあった

やがて風が吹き抜け
雨が降りしきり
手を伸ばし続けた果てに
この皴が生まれたのだ

一本一本が人生の証
笑いも涙も、
すべてを包み込んだ
静かなる誇りの跡

この皴の奥に
消え去らない思い出があり
それを抱きしめることが
今の私を支えている

皴よ、時を経てなお美しく
この身の物語を織り成してゆけ






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