老人

春秋花壇

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心の変化

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心の変化

子どもたちの元気な声が響き渡る夏の午後、私は庭の手入れをしながらふとその声に耳を傾けた。小学校5、6年生くらいの男の子たちが、近くの公園で野球をして遊んでいる。グラウンドからは「ナイスバッティング!」や「がんばれー!」という大きな声が飛び交い、彼らのエネルギーに満ちた気勢が私の家の庭まで届いてくる。

普段なら、子どもたちのはしゃぐ声を聞くのは楽しいものだ。無邪気な笑い声や真剣な声の調子に、私自身も微笑んでしまうことが多い。子どもが大好きで、彼らのエネルギーは素晴らしいものだと常々思っている。けれども今日は、少し違った。

その声がどんどん大きくなり、耳をつんざくように感じられる瞬間が訪れた。「うるさい、黙れ!!」と、思わず心の中で叫んでしまった。私はそう思ってしまう自分に驚き、そして少し自己嫌悪に陥った。もしかしたら、私が聴力過敏症(音に対して過敏に反応してしまう状態)なのかもしれない、そんな考えがふと頭をよぎる。

しゃがんで雑草を抜きながら、子どもたちの声がますます響いてくるのを感じる。ピッチャー役の子がボールを投げ、バッターが思い切りバットを振り抜く。その瞬間、「カキーン!」という甲高い音が耳に響き、私の心が跳ね上がるような感覚に襲われた。

私は手を止め、深呼吸をした。おそらく、最近のストレスや疲れが原因なのだろう。庭いじりはいつも私の心を落ち着けてくれるものだったが、今日ばかりはその癒しも役に立たないようだった。耳元で蝉が鳴いているのも、妙に気になる。

「本当に、私が音に過敏すぎるのかしら?」と、考えてみる。確かに、静かな時間が好きで、自分だけの空間で穏やかに過ごすのが私の日常だ。音楽もクラシックやジャズなど、落ち着いたジャンルを好むし、大きな音や騒がしい場所はできるだけ避けるようにしている。

そんなことを考えながら、再び雑草に手を伸ばした。すると、ふいに子どもたちの歓声が少しだけ遠くに感じられた。私の心が少しだけ落ち着きを取り戻したのかもしれない。音が気になるのは、私の心の中に余裕がないからだろうか。

私は、庭の一角に植えられたラベンダーの葉をそっと撫でた。その香りがふわりと立ち昇り、少しだけ心が軽くなる。自分が過敏すぎると感じることもあるけれど、それはきっと自分自身のコンディションによるのだろう。時には、他人の声や音が心地よく感じられない日もある。それでも、それは私自身を責めるべきことではないのかもしれない。

「うるさい」と感じてしまったことも、自分を責めずに受け入れてみよう。私にも、子どもたちにも、それぞれの大切な時間があるのだから。そう思うと、少しだけ心が軽くなり、私は再び庭の手入れに集中することができた。

いつか、また子どもたちの元気な声を心から楽しめる日が来るだろう。それまで、自分の心の声にも耳を傾けながら、ゆっくりと歩んでいこうと思った。









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