日ごとに聖書を調べる

春秋花壇

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1月13日,月曜日

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1月13日,月曜日

穏やかな答えは激しい怒りを静め,きつい言葉は怒りをあおる。(格 15:1)

誰かからエホバや聖書のことを悪く言われる場合には,どうしたらいいでしょうか。聖なる力と穏やかに答えるための知恵を求めて,エホバに祈りましょう。もっと穏やかに接するべきだったと後になって気付く場合はどうですか。そのことについても祈り,次に同じようなことがあったときにどうしたらよいかを考えましょう。そうするなら,エホバの聖なる力によって感情をコントロールし,穏やかに接することができるでしょう。聖書の中には,難しい状況でも穏やかに話す上で役立つ聖句がたくさんあります。聖なる力はそうした聖句を思い出せるように助けてくれます。(ヨハ 14:26)例えば,「格言の書」には,穏やかでいるのに役立つ言葉が載せられています。(格 15:18)また,張り詰めた空気になったときでも自分を制するならどんな良い結果になるかについて教えています。(格 10:19; 17:27; 21:23; 25:15)塔研23.09 15ページ6-7節

聖書を毎日調べる 2025


風巻町の穏やかな光

北海道の小さな町、風巻町。雪深い冬、凍てつく空気の中に、かすかな陽光が差し込むような静けさがある。ここに住む青年、拓也は、町立図書館で働く司書だった。雪解けを待つ人々の心を温めるように、拓也は日々の仕事の中で、あることを心掛けていた。それは、どんな時でも穏やかな言葉を使うこと。かつて、言葉の刃で大切な人を傷つけてしまった後悔を胸に、彼は言葉の持つ力を深く理解していた。

ある日の午後、図書館に一人の男が訪れた。高橋と名乗るその男は、最近この町に引っ越してきたばかりだという。最初は静かに書架を見ていた高橋だったが、やがて低い唸り声を上げ、突然声を荒げた。

「こんなものは全部嘘だ!人を騙すための作り話だ!」

拓也は驚きながらも、落ち着いて高橋に近づいた。高橋の視線の先には、宗教書のコーナーがあった。拓也は、高橋の言葉の矛先が、特定の宗教ではなく、何か大きなもの、例えば人生そのものへの不信感に向いているように感じた。

「高橋さん、何かお困りのことでも?」

拓也の穏やかな問いかけに、高橋はさらに語気を強めた。「人生は不公平だ!苦しみばかりだ!神も仏もあるものか!」

拓也は、高橋の言葉の奥にある深い悲しみを感じ取った。彼は、無理に反論するのではなく、静かに耳を傾けた。高橋は、過去に経験した辛い出来事、大切な人を失った悲しみ、人生の理不尽さなどを堰を切ったように語り始めた。

拓也は、高橋の言葉を遮ることなく、ただ静かに相槌を打った。そして、高橋がひとしきり話し終えた後、ゆっくりと口を開いた。

「高橋さん、辛い経験をされたんですね。お気持ち、お察しします。」

高橋は、拓也の言葉に少し驚いたようだった。誰も自分の話に真剣に耳を傾けてくれなかったからだ。

「でも、高橋さん。苦しみの中にこそ、見えてくるものもあると思うんです。暗い夜空に星が輝くように、苦しみを通して、人の優しさや強さに気づくこともある。それに、過去の出来事に囚われ続けるのではなく、今をどう生きるかが大切なのではないでしょうか。」

拓也の言葉は、高橋の心に静かに染み渡っていった。高橋は、しばらく黙って考え込んでいたが、やがて静かに言った。「お前…若いのに、よくそんなことが言えるな…」

その日の夕方、拓也は自宅で窓から外を眺めていた。雪がしんしんと降り積もり、街は白く覆われている。彼は、今日の出来事を思い返し、心の中で祈った。

「どうか、高橋さんの心が少しでも癒されますように。そして、私自身も、どんな時でも穏やかな心を持ち続けられますように。」

翌日、図書館に高橋が再び姿を見せた。昨日とは違い、穏やかな表情で拓也に近づいてきた。

「昨日…すまなかった。少し言い過ぎた。君の話を聞いて、少し考えたんだ。確かに、過去にばかり囚われていても仕方ない。これからのことを考えないと…」

拓也は微笑んだ。「そうですね。大切なのは、今をどう生きるか、だと思います。」

その後、高橋は図書館に頻繁に訪れるようになった。拓也と話をするだけでなく、様々な本を読むようになった。拓也は、高橋に無理に何かを教えようとはしなかった。ただ、穏やかに寄り添い、高橋の心の変化を見守った。

春になり、雪解けが進む頃、高橋は拓也に言った。「少し、遠くへ行ってみようと思う。色々な場所を見て、色々な人と出会って、これからのことを考えたい。」

拓也は、高橋の決意を静かに見送った。そして、高橋との出会いを振り返り、穏やかな言葉の持つ力を改めて感じていた。風巻町の穏やかな光のように、人の心を温め、癒す力。それは、拓也自身が大切にしている、かけがえのないものだった。
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