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春秋花壇

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1月11日,土曜日

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1月11日,土曜日

落胆するなら,力が失われる。(格 24:10)

他の人と比べるなら,自分に重荷を負わせることになります。(ガラ 6:4)ねたんだり競争心を抱いたりしてしまうかもしれません。(ガラ 5:26)もし,他の人と同じようにしようとして,自分の状況に合わないことや能力以上のことをしようとするなら,自分を苦しめることになります。「なかなか実現しない」期待を持つと「落ち込む」のであれば,現実的ではない期待を持つならなおさらでしょう。(格 13:12)疲れ切ってしまい,命を目指す競走を走るペースも落ちていくかもしれません。エホバが求めておられる以上のことを自分に求めないようにしましょう。エホバは,私たちにできる以上のことを期待することはありません。(コリ二 8:12)エホバはあなたのことを他の人と比べたりはしないということを忘れないでください。(マタ 25:20-23)あなたの心からの奉仕,あなたの忠実さ,あなたの忍耐を貴重なものと見てくださいます。塔研23.08 29ページ10-11節

聖書を毎日調べる 2025

「比べないレース」
1月11日、土曜日。冷たい冬の朝。僕は駅前のベンチに座り、鞄から一冊の聖書を取り出した。そこには、今日の引用箇所があった。
「落胆するなら,力が失われる。」(格 24:10)
その言葉が、僕の心を突き刺した。

僕の名前は亮太。都内の中堅企業で働く28歳の普通のサラリーマンだ。ごく平凡な生活を送りながらも、ここ数カ月は心が晴れない日々が続いていた。理由は明確だった。他人と自分を比べる癖が抜けなかったのだ。

大学時代の友人たちが、結婚したり、起業したり、海外で活躍したりしている姿がSNSに溢れていた。そのたびに僕は、自分の小ささを痛感した。「俺は、何をやってるんだろう?」と自問し、答えが見つからないまま日々が過ぎていく。

そんな中、今日は特別な日だった。教会の友人である航平さんが、新しい奉仕活動を始めるという話を聞いていた。彼は僕より10歳年上で、家族を持ちながらも、常に信仰を軸に生きている人だった。航平さんに会えば、少しでも心が軽くなるかもしれない、そう思い、重い足取りでその活動場所へ向かった。

古びた商店街の一角に、小さな集会所があった。中に入ると、航平さんが笑顔で迎えてくれた。
「亮太君、来てくれてありがとう。今日はどうした?」
「なんとなく…悩んでて。」そう言いながら、僕は最近の思いを打ち明けた。他人と自分を比べてしまうこと、何をやっても満たされないこと、自分に価値がないのではないかと思うこと。

航平さんは黙って頷きながら、話を聞いてくれた。そして、こう言った。
「亮太君、ガラテア書の6章4節、覚えてる?」
「えっと…」
航平さんは聖書を開き、読んでくれた。
『他の人と比べるのではなく、それぞれ自分の行いを確かめなさい。そうすれば、自分自身のために喜びを感じることができ、他人と比べて感じるのではありません。』(ガラ 6:4)

その言葉は、まるで僕に向けられたもののように感じた。他人と比べることが、自分を苦しめている。それはわかっていた。でも、どうすればその考えから抜け出せるのだろう?

「比べることで見えなくなるものがあるんだよ。」航平さんは微笑みながら続けた。
「エホバは、君の能力や努力をしっかり見ている。自分のペースで走ることが大切なんだ。無理をして他の人と同じスピードで走る必要はない。」

その後の活動では、子どもたちに絵本を読んであげたり、高齢者の話し相手をしたりと、穏やかな時間が流れた。途中、航平さんが小さな男の子に語りかけているのを目にした。
「できないことがあっても大丈夫。君の得意なことを見つければいいんだよ。」
その言葉が、僕の心に再び響いた。

その日、活動を終えて家に帰る途中、ふと空を見上げた。冬の冷たい空気が頬を刺すが、どこか心が軽くなっている自分に気づいた。

僕の人生は、僕のレースだ。他人のトラックに目を向けるのではなく、自分の道を見つめよう。そして、時に力が尽きそうになっても、エホバが共にいてくれると信じることができれば、きっとまた走り続けられるはずだ。

その夜、ベッドに横たわりながら、僕はそっと祈った。
「エホバ、僕が自分のペースで進めるように助けてください。他の人と比べるのではなく、自分の道をしっかり歩めるように…」

目を閉じると、不思議と温かい気持ちに包まれた。次の日の朝、少しだけ違う自分で、また新しい一日を始められる気がした。






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