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12月15日,日曜日

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12月15日,日曜日

その人はエホバの律法を喜び,昼も夜も小声で読む。(詩 1:2)

真理を十分に役立てるためには,ただ単に学んで終わってしまってはいけません。真理に従って生きる必要があります。つまり,学んだことを実践する必要があるということです。そのようにして初めて,真理によって本当の幸せを得ることができます。(ヤコ 1:25)では,どうすれば真理に従って生きることができるでしょうか。1人の兄弟は,自分をよく分析して,できている点と改善すべき点を見極めるように,と勧めています。この点について,パウロはこう言っています。「私たちはこれまで進歩してきたのですから,この同じ道をきちんと歩んでいきましょう」。(フィリ 3:16)「真理に従って歩み続け」るようベストを尽くすことは,本当に私たちのためになります。自分の生活の質が高まるだけでなく,エホバや仲間に喜びをもたらすこともできるのです。(ヨハ三 4。格 27:11)こうしたことを考えると,真理を愛し,真理に従って生きることは,本当にふさわしいことではないでしょうか。塔研22.08 19ページ16-18節

聖書を毎日調べる 2024


「真理の道を歩む」

12月15日、日曜日の朝。晴れ渡る空の下、悠斗(ゆうと)は街の小さな公園に足を運んでいた。冬の冷たい空気の中にも、差し込む陽光が心地よく感じられる。ベンチに座りながら、彼はバッグから聖書を取り出し、詩篇1章2節の言葉を静かに読み上げた。

「その人はエホバの律法を喜び、昼も夜も小声で読む。」

ページをめくる手を止め、悠斗は考え込んだ。この1年、自分はどれだけ真理に従って歩んでいただろうか。勤勉に聖書を学び、祈る習慣は守ってきたが、学んだことを十分に実践できているとは言えない気がしていた。

数日前、職場での出来事が心に引っかかっていた。
ある同僚が仕事のミスを責められていた時、悠斗はその場に居合わせながらも何も言えなかった。普段から「人を思いやりなさい」という聖書の教えを大切にしているつもりだったが、実際にその場に立つと、周囲の視線を気にして行動できなかった自分が情けなく感じられた。

「学ぶだけじゃ足りない。実際に行動しなきゃ意味がないんだよな……。」

その思いが、悠斗の心に重くのしかかっていた。

ふと、近くの遊具で遊んでいる子どもたちの声が耳に入った。小さな男の子が砂場でうまく山を作れず、泣きそうになっている。それを見た少し年上の女の子が近づき、自分のスコップを差し出して助けていた。

「ほら、一緒にやってみよう!」

その姿を見た瞬間、悠斗の胸に何か温かいものが広がった。「真理を実践する」というのは、きっとこういう小さな行動の積み重ねなのだろう、と彼は思った。

その日の午後、悠斗は自分を振り返る時間を持つことにした。リビングのテーブルにノートを広げ、学んできた聖書の教えや自分の行動を改めて分析し始めた。

まず最初に浮かんだのは、同僚の出来事だった。「あの時、どうすればよかったんだろう?」と自問自答する。
「同僚の立場に立って一言でも励ましてあげるべきだったな……。」
次に、最近の祈りの中で何を求めていたかを振り返った。自分自身の必要や願いばかりを祈り求めていて、感謝や他の人のための祈りが不足していたことに気づいた。

ノートに、具体的な改善点を書き留めていく。

他の人を積極的に励ます。
感謝の祈りを増やす。
聖書の教えを日常の小さな場面で実践する。
翌日、悠斗は会社に向かう途中、祈りを捧げた。
「エホバ、どうか今日一日、あなたの教えを実践できるよう助けてください。他の人に優しさを示し、真理に従って行動できるように……。」

その日の午後、いつも通りの忙しい職場で、再び試練の場面が訪れた。同僚の佐藤さんが急ぎの資料作成でミスをして、上司から厳しい叱責を受けていた。周囲の同僚たちは黙って見守るだけで、空気はピリピリしている。

悠斗は一瞬ためらった。しかし、心の中で祈りを捧げると、小さな勇気が湧いてきた。

「佐藤さん、もし何か手伝えることがあれば言ってください。僕も一緒に確認しましょう。」

その一言に、佐藤さんの表情が少し和らいだように見えた。周囲の同僚も少しずつ協力を申し出るようになり、職場の雰囲気がほぐれていった。

帰り道、悠斗は空を見上げて思った。「こうして少しずつでも、真理に従って歩んでいくことが大事なんだな……。」

聖書に記されている「真理に従って歩み続ける」ことの意味が、ようやく少し理解できた気がした。

彼はスマホのメモを開き、今日の出来事を書き留めた。「真理の道を歩む」という決意を新たにしながら、家路を急ぐ冬の夜だった。







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