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12月14日,土曜日
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12月14日,土曜日
絶えず祈ってください。全てのことに感謝してください。これは,キリスト・イエスに従う皆さんに神が望んでいる事柄です。(テサ一 5:17,18)
祈る時には,エホバを賛美することに加えて,エホバが与えてくださっているさまざまな良いものについて感謝することも大切です。例えば,色とりどりの花や,さまざまな種類のおいしい食べ物や,友との爽やかな交友があります。愛情深いお父さんエホバがこうしたものをはじめ,たくさんのものを与えてくださっているのは,私たちの幸福を願っているからです。(詩 104:12-15,24)さらに重要なこととして,私たちは信仰を強める食物や将来の素晴らしい希望についてもエホバに感謝することができます。気を付けていないと,私たちは,エホバからしていただいたことについて感謝の祈りを捧げるのを忘れてしまうことがあります。では,どうすれば忘れずに感謝できるでしょうか。自分が具体的に祈ったことをリストにして,それを時折見返すことができます。そして,エホバが祈りに答えてくださったことについて感謝の祈りを捧げましょう。(コロ 3:15)塔研22.07 22ページ8-9節
聖書を毎日調べる 2024
「祈りのリスト」
土曜日の朝、千夏(ちなつ)は、小さなアパートのテーブルでノートを広げていた。窓の外には冬の冷たい風が木々を揺らしている。12月14日――年の瀬の静けさが漂う中、彼女はペンを握りしめて考えを巡らせていた。
「絶えず祈ってください。すべてのことに感謝してください……」
その言葉は、今朝読んだ聖書の一節、テサロニケ第一5章17-18節からのものだった。最近、千夏は祈りについて改めて考えることが増えていた。日々の忙しさに追われる中で、自分の祈りが形だけになっているのではないかと感じていたからだ。
「祈る時、もっと感謝することを意識してみよう。」
そう思い立った千夏は、ノートに「祈りのリスト」と題したページを設けた。エホバ神に感謝する理由を、一つ一つ丁寧に書き出してみようと思ったのだ。
まず最初に浮かんだのは、友人の存在だった。今年の夏、彼女はある困難な出来事に直面していた。会社での人間関係がうまくいかず、毎日が憂鬱だった頃、友人の美里が一緒に話を聞いてくれた。美里は仕事帰りに時間を作り、何度もカフェで千夏の愚痴に付き合ってくれたのだ。
「美里がいてくれたから、あの時は本当に救われたな……。」
千夏はノートに「友人の励まし」と書き、その横に小さく感謝の祈りの言葉を添えた。
次に、千夏は日常の中の「良いもの」を思い出そうとした。ふと、数日前に近所のスーパーで買った新鮮なみかんの味を思い出した。そのみかんは、甘さと酸味のバランスが絶妙で、寒い冬の日に体を温めてくれるようだった。
「こんな些細なことにも感謝していいんだよね。」
ノートに「おいしい食べ物」と書き加えながら、エホバ神が与えてくださる自然の恵みに感謝する気持ちが湧いてきた。
その後もリストは続いた。
「家族の健康」「美しい朝日」「祈りに答えてくださった経験」――書き出していくうちに、千夏の心は少しずつ温かくなっていった。日常に埋もれて見逃していた「良いもの」がこんなにもたくさんあることに驚かされる。
特に、先月の体調不良からの回復については、改めて感謝の気持ちがこみ上げた。病院に行く勇気がなかなか出なかった自分を、母が優しく励ましてくれた。祈りを捧げながら病院の待合室で過ごしたあの日、エホバが平安を与えてくれたことを千夏は鮮明に覚えている。
「その平安があったから、乗り越えられたんだな……。」
数時間後、千夏はリストを読み返し、エホバ神に祈りを捧げた。
「エホバ、あなたが与えてくださるすべての良いものに感謝します。これまで祈りに答えてくださり、必要な時に平安を与えてくださったこと、本当にありがとうございます……。」
祈りを終えた後、千夏の心は不思議と軽くなっていた。感謝のリストを作ることで、普段は見落としてしまいがちな「幸せの種」を再認識することができたのだ。
それからというもの、千夏は祈りのリストを日課にするようになった。日々の忙しさの中でも、ほんの数分だけノートを開き、自分の祈りを振り返る時間を持つようにした。ある日は、エホバが祈りに答えてくださった出来事を記録し、またある日は、新たな感謝の理由を探して書き加えた。
そして、年の瀬が近づくにつれ、千夏のリストはどんどん充実していった。振り返ってみると、そこには彼女の人生の中でエホバ神が与えてくださった多くの祝福が刻まれていた。大きな出来事だけでなく、小さな喜びや気づきにも感謝することで、千夏の心はますます穏やかになっていった。
12月31日、大晦日の夜。
千夏は自分の部屋で祈りのリストを最後まで読み返した。1年を通して書き綴ったそのノートは、彼女にとって大切な宝物になっていた。静かに目を閉じ、今年1年の感謝を込めて祈りを捧げる。
「エホバ、本当にありがとうございます。来年も、あなたに感謝できる1年になりますように……。」
冬の静かな夜、千夏の部屋には、祈りの中で感じるエホバ神への深い感謝と平安が満ちていた。
絶えず祈ってください。全てのことに感謝してください。これは,キリスト・イエスに従う皆さんに神が望んでいる事柄です。(テサ一 5:17,18)
祈る時には,エホバを賛美することに加えて,エホバが与えてくださっているさまざまな良いものについて感謝することも大切です。例えば,色とりどりの花や,さまざまな種類のおいしい食べ物や,友との爽やかな交友があります。愛情深いお父さんエホバがこうしたものをはじめ,たくさんのものを与えてくださっているのは,私たちの幸福を願っているからです。(詩 104:12-15,24)さらに重要なこととして,私たちは信仰を強める食物や将来の素晴らしい希望についてもエホバに感謝することができます。気を付けていないと,私たちは,エホバからしていただいたことについて感謝の祈りを捧げるのを忘れてしまうことがあります。では,どうすれば忘れずに感謝できるでしょうか。自分が具体的に祈ったことをリストにして,それを時折見返すことができます。そして,エホバが祈りに答えてくださったことについて感謝の祈りを捧げましょう。(コロ 3:15)塔研22.07 22ページ8-9節
聖書を毎日調べる 2024
「祈りのリスト」
土曜日の朝、千夏(ちなつ)は、小さなアパートのテーブルでノートを広げていた。窓の外には冬の冷たい風が木々を揺らしている。12月14日――年の瀬の静けさが漂う中、彼女はペンを握りしめて考えを巡らせていた。
「絶えず祈ってください。すべてのことに感謝してください……」
その言葉は、今朝読んだ聖書の一節、テサロニケ第一5章17-18節からのものだった。最近、千夏は祈りについて改めて考えることが増えていた。日々の忙しさに追われる中で、自分の祈りが形だけになっているのではないかと感じていたからだ。
「祈る時、もっと感謝することを意識してみよう。」
そう思い立った千夏は、ノートに「祈りのリスト」と題したページを設けた。エホバ神に感謝する理由を、一つ一つ丁寧に書き出してみようと思ったのだ。
まず最初に浮かんだのは、友人の存在だった。今年の夏、彼女はある困難な出来事に直面していた。会社での人間関係がうまくいかず、毎日が憂鬱だった頃、友人の美里が一緒に話を聞いてくれた。美里は仕事帰りに時間を作り、何度もカフェで千夏の愚痴に付き合ってくれたのだ。
「美里がいてくれたから、あの時は本当に救われたな……。」
千夏はノートに「友人の励まし」と書き、その横に小さく感謝の祈りの言葉を添えた。
次に、千夏は日常の中の「良いもの」を思い出そうとした。ふと、数日前に近所のスーパーで買った新鮮なみかんの味を思い出した。そのみかんは、甘さと酸味のバランスが絶妙で、寒い冬の日に体を温めてくれるようだった。
「こんな些細なことにも感謝していいんだよね。」
ノートに「おいしい食べ物」と書き加えながら、エホバ神が与えてくださる自然の恵みに感謝する気持ちが湧いてきた。
その後もリストは続いた。
「家族の健康」「美しい朝日」「祈りに答えてくださった経験」――書き出していくうちに、千夏の心は少しずつ温かくなっていった。日常に埋もれて見逃していた「良いもの」がこんなにもたくさんあることに驚かされる。
特に、先月の体調不良からの回復については、改めて感謝の気持ちがこみ上げた。病院に行く勇気がなかなか出なかった自分を、母が優しく励ましてくれた。祈りを捧げながら病院の待合室で過ごしたあの日、エホバが平安を与えてくれたことを千夏は鮮明に覚えている。
「その平安があったから、乗り越えられたんだな……。」
数時間後、千夏はリストを読み返し、エホバ神に祈りを捧げた。
「エホバ、あなたが与えてくださるすべての良いものに感謝します。これまで祈りに答えてくださり、必要な時に平安を与えてくださったこと、本当にありがとうございます……。」
祈りを終えた後、千夏の心は不思議と軽くなっていた。感謝のリストを作ることで、普段は見落としてしまいがちな「幸せの種」を再認識することができたのだ。
それからというもの、千夏は祈りのリストを日課にするようになった。日々の忙しさの中でも、ほんの数分だけノートを開き、自分の祈りを振り返る時間を持つようにした。ある日は、エホバが祈りに答えてくださった出来事を記録し、またある日は、新たな感謝の理由を探して書き加えた。
そして、年の瀬が近づくにつれ、千夏のリストはどんどん充実していった。振り返ってみると、そこには彼女の人生の中でエホバ神が与えてくださった多くの祝福が刻まれていた。大きな出来事だけでなく、小さな喜びや気づきにも感謝することで、千夏の心はますます穏やかになっていった。
12月31日、大晦日の夜。
千夏は自分の部屋で祈りのリストを最後まで読み返した。1年を通して書き綴ったそのノートは、彼女にとって大切な宝物になっていた。静かに目を閉じ、今年1年の感謝を込めて祈りを捧げる。
「エホバ、本当にありがとうございます。来年も、あなたに感謝できる1年になりますように……。」
冬の静かな夜、千夏の部屋には、祈りの中で感じるエホバ神への深い感謝と平安が満ちていた。
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