日ごとに聖書を調べる

12月13日，金曜日

12月13日，金曜日

知恵は行動によって明らかになります。（マタ 11:19）

新型感染症が流行する中，私たちは集会や伝道をどのように行うかについて，はっきりとした指示を与えられました。すぐに，集会や大会はインターネットを使って行われるようになりました。伝道は，主に電話や手紙で行うようになりました。エホバは私たちの努力を祝福してくださっています。多くの支部が，伝道者の数の大幅な増加を報告しました。そして，たくさんの人たちが素晴らしい経験をしています。ある人たちは，組織は感染症対策の面で慎重過ぎると感じているかもしれません。でも，組織からの指示が本当に賢明なものであることがたびたび明らかになりました。そして，イエスが弟子たちを愛情深く導いていることについてじっくり考えると，将来どんなことが起きるとしても，エホバと独り子イエスが共にいてくださるということを確信できます。（ヘブ 13:5，6）塔研22.07 13ページ15-16節

聖書を毎日調べる 2024


金曜日の導き

　2024年12月13日、金曜日。冬の朝、冷たい風が静かに窓を叩く中、アキラは自宅の書斎で聖書を開いた。ページをめくる指先は少し冷たかったが、その心は温かかった。この日、彼が読むべき聖句は「知恵は行動によって明らかになります」（マタイ 11:19）だった。

パンデミックの記憶
　アキラは数年前の新型ウイルス感染症の流行を思い返していた。突然の日常の変化、多くの人々が不安や孤独に包まれる中で、彼もまた試練を経験していた。しかし、そんな中で組織から与えられた指示は、彼の心に確かな支えをもたらしてくれた。

　当初、インターネットで行う集会や、電話や手紙による伝道活動に対して、彼も少しの戸惑いを抱えていた。「これで本当に人々に届くのだろうか？」という不安はあったが、それ以上にエホバへの信頼が彼を動かした。

　「試してみよう」。その思いで、彼は初めて電話での伝道に取り組んだ。受話器を握る手は少し震えていたが、電話越しの声の向こうから返ってきたのは、意外にも温かい反応だった。孤独を感じていた人々が、彼の話をじっくりと聞いてくれることに気づいた瞬間、アキラはエホバの祝福を実感した。

新しい形の伝道
　やがて、伝道活動はますます広がりを見せた。アキラの仲間たちも、電話や手紙を通じて多くの人々に聖書のメッセージを届けていた。その努力は着実に実を結び、伝道者の数が増えただけでなく、多くの人々がバプテスマを受け、新たな歩みを始めた。

　「私たちの行動が、知恵を明らかにしているんだ」。アキラはその成果を目の当たりにするたびに、イエスの教えがどれほど実際的で力強いものであるかを再確認した。

　しかし一方で、慎重な感染症対策に対して疑問を抱く声も耳にすることがあった。「そこまでやる必要があるのだろうか？」と感じる人もいた。しかし、時間が経つにつれて、その指示がどれだけ賢明なものであったかが明らかになっていった。

困難の中での確信
　アキラが最も心に刻んでいたのは、エホバとイエスがどんな時も自分たちと共にいてくださるという確信だった。聖書のヘブライ人への手紙13章5-6節を読むたびに、彼はその言葉がまるで自分自身に語りかけられているように感じた。

　「私は決してあなたを見捨てない。決してあなたを見放さない」。この約束があったからこそ、彼はどんな困難な時期も乗り越えることができた。

次世代への知恵の伝承
　夕方、アキラは妻と子どもたちと共に聖書の研究を行った。暖炉の火が揺れる中、彼は子どもたちに自分が経験してきたことを語った。

　「パンデミックの時期は本当に大変だった。でも、エホバが私たちを導いてくださったこと、そしてイエスが私たちを愛情深く見守ってくださったことを忘れてはいけない。これからどんな困難が訪れたとしても、私たちは恐れる必要はないんだよ」。

　子どもたちは真剣な表情で頷き、アキラの話に耳を傾けた。その目には、将来への希望と信頼がしっかりと宿っていた。

知恵の実践を通じて
　その夜、アキラは自室で再び祈りを捧げた。自分たちを支えてくれたエホバへの感謝と、これからも知恵を行動によって明らかにしていく決意を込めて。

　そして、彼は静かに聖書を閉じ、目を閉じた。金曜日の夜は、深い平安と共に幕を下ろした。