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11月16日，土曜日

11月16日，土曜日

自分がどんな人かを隠す者を避けます。（詩 26:4）

エホバを愛している人を友達にしましょう。良い友達を選ぶなら，クリスチャンとしていっそう成長することができます。（格 13:20）今では長老として奉仕しているジュリエン兄弟はこう言います。「若い頃は，伝道している時に良い友達をつくることができました。そうした友達はとても熱心で，伝道の楽しさを教えてくれました。……また，自分に良い友達があまりいないのは，同じ年代の人とばかり付き合うようにしていたからだ，ということにも気付けました」。自分が会衆の誰かから良くない影響を受けていることに気付いた場合は，どうしたらよいでしょうか。パウロは，1世紀のクリスチャン会衆の中にクリスチャンらしくない考え方や行動をしている人がいることを知っていました。それでテモテに対して，そうした人から離れているようにと警告しました。（テモ二 2:20-22）天のお父さんエホバとの絆はとても貴重なものです。私たちはそれを育むために一生懸命努力してきました。ですから，良くない交友によってその絆を弱めてしまうことが決してないようにしましょう。塔研22.08 5-6ページ13-15節

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「選び抜かれた絆」

11月16日、土曜日。冷たい風が吹き始め、冬の訪れを感じさせる朝だった。カズマは窓の外を眺めながら、心の中にふと湧き上がる迷いを感じていた。

最近、新しい友人のタカシとよく会うようになっていた。タカシは社交的で、どんな人ともすぐに打ち解ける魅力を持っていた。しかし、会うたびにカズマは違和感を覚えていた。タカシは軽口や噂話が好きで、時には人を批判することもあった。笑い合っている時は楽しかったが、家に帰ると何かが心に引っかかるのだ。

そんなある日、カズマは友人のヒロシと集会後に話す機会を得た。ヒロシはいつも冷静で、エホバの教えを大切にしていることで知られている。カズマは心の内を打ち明け、タカシとの関係について悩んでいることを話した。

「ヒロシ、最近、タカシと一緒にいると楽しいんだけど、心が少し落ち着かないんだ。タカシは本当にいいやつなんだけど、時々言葉が辛辣で、僕も影響されてしまう気がして。」

ヒロシはカズマの話をじっくりと聞き、優しく微笑んだ。「それは自然な気持ちだよ、カズマ。人は一緒にいる人から影響を受けやすいものだからね。詩編26章4節には、『自分がどんな人かを隠す者を避けます』とあるように、友人選びは慎重に行うべきだと言われているんだ。」

カズマはその言葉にハッとし、自分が無意識にタカシに合わせようとしていたことに気付いた。タカシの前では、普段の自分とは少し違う一面を見せていたのだ。彼の影響を受け、自分が知らず知らずのうちに不安定な存在になっていたことに驚きを感じた。

「そうだね、ヒロシ。僕はエホバのことを大切にしているからこそ、自分の心が引っかかっていたのかもしれない。僕の信仰が大切にしているものを、守りたい。」

その後、カズマは徐々にタカシと距離を取るようにし、集会の後や伝道の際に、信仰を共有できる友人たちとの時間を増やすようにした。最初は寂しさも感じたが、ヒロシや他の兄弟姉妹と過ごすうちに、心がどんどんと穏やかになっていくのを感じた。彼らはお互いを尊重し合い、エホバへの愛と信仰を大切にしながら励まし合っていた。

ある日、カズマは伝道中にジュリエン兄弟から若い頃の話を聞く機会があった。ジュリエン兄弟は、「若い頃、良い友達を持つことがどれほど大切かを学んだ」と話していた。友人から受ける良い影響が、いかにその人を支え、信仰の成長を助けるかという話に、カズマは深く感動した。

その夜、カズマは静かに祈った。「エホバ、どうか僕が信仰の道で良い友人と共に成長できるようにお導きください。」

カズマはその祈りを終えた時、エホバがそっと背中を押してくれたような温かさを感じた。そして、自分にとって大切な絆とは何か、その真実を知ることができたのだった。