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11月14日,木曜日

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11月14日,木曜日

愛は……全てのことを信じ……ます。(コリ一 13:7)

もちろん,全てのことを信じるといっても,エホバは私たちがだれかれ構わず信頼することを願っているわけではありません。エホバが願っているのは,信頼できることを示してきた人を信頼することです。信頼は敬意と同じように,勝ち得る必要があるもので,それには時間がかかります。では,兄弟姉妹への信頼を深めるためにどんなことができるでしょうか。相手のことをよく知るようにしましょう。集会の時に会話をしたり,一緒に伝道を行ったりできます。辛抱強く接し,その人に自分が信頼できる人であることを示すチャンスを差し伸べましょう。初めのうちは,自分のことを何でも話すというわけにはいかないかもしれませんが,絆が深まっていくと,自分の気持ちを打ち明けやすくなるかもしれません。(ルカ 16:10)では,信頼を裏切られてしまった場合には,どんなことができるでしょうか。その人のことをすぐに諦めるのではなく,時間を取るようにしましょう。一部の人から裏切られたからといって,誰も信頼できないと考えることがないようにしてください。塔研22.09 4ページ7-8節

聖書を毎日調べる 2024


「愛と信頼の証」

11月14日、木曜日。しとしとと小雨が降り続く中、エミは車窓を眺めていた。窓ガラスに小さな水滴がつたう様子は、まるで彼女の胸の中にある曇りを映し出しているようだった。最近、彼女の心にはどうしても拭いきれない不安があった。信頼していた友人のサヤカが、彼女の秘密を軽々しく話してしまったことが原因だった。心の奥底で抱えていた悩みを打ち明けたのに、それが他の人の耳に届いてしまった。それ以来、エミは誰を信頼して良いのか分からなくなっていた。

「信頼って、そんなに簡単に壊れるものなのかな…」

彼女の心の中で葛藤が渦巻いていた。だが、ふとした瞬間に思い出したのは、最近読んだ聖書の一節だった。「愛は……全てのことを信じ……ます」というコリント人への手紙の一節だ。この言葉を思い出すたびに、エミは迷いの中で、自分が何を大切にするべきかを問い直していた。

エミがそのことを考えながら、教会の集会所に足を運ぶと、見慣れた顔ぶれが彼女を迎えた。特にリーダーのヨウコは温かな笑顔を浮かべ、エミに話しかけてきた。

「エミさん、大丈夫?最近、なんだか元気がないみたいね。」

エミは一瞬ためらったが、ヨウコの優しさに励まされて、少しずつ胸の内を打ち明け始めた。ヨウコは黙って彼女の話に耳を傾け、時折うなずきながら、エミの痛みに寄り添ってくれた。

「信頼って難しいですね…」エミがつぶやくように言うと、ヨウコは少し考え込んだ後、穏やかに答えた。

「信頼は確かに簡単には得られないものだし、一度傷つくと再び信じるのはとても難しいわ。でも、信頼するって、何も一度きりのことじゃないと思うの。少しずつ、相手を知り、お互いに信頼を築いていくこともできるわよ。」

ヨウコはそう言って、そっとエミの肩に手を置いた。「人には完璧な人なんていないわ。だからこそ、辛抱強く時間をかけて、お互いに信頼を示し合っていくことが大切なの。」

その言葉はエミの心に深く響いた。エミはふと、自分がサヤカに対して期待を抱きすぎていたこと、そして彼女にもまだ学ぶべきことがあるのだと理解し始めていた。誰もが完璧ではなく、皆が日々成長していく存在なのだと気づかされた。

その日の集会が終わり、エミは帰り道でサヤカにメッセージを送ってみることにした。電話越しで話すにはまだ不安だったが、自分の気持ちを少しでも伝えたかった。メッセージにはこう書いた。「サヤカ、あの日は正直、すごく傷ついた。でも、今でも友達だと思っているし、これからもお互いに信頼し合えるようになりたい。」

しばらくして、サヤカからの返事が返ってきた。「エミ、本当にごめん。あなたの気持ちを軽く扱ってしまったことに気づいたよ。私ももっと慎重に言葉を選べばよかった。これからは、もっと信頼できる友達になれるよう努力するね。」

エミは画面を見つめ、静かに涙を拭った。再び築き直せるかもしれない信頼の一歩を踏み出した気がした。エミは教会の教えを思い出し、「辛抱強く、相手を知り、信頼を築く」ことが、どれだけ大切なのかを改めて感じた。

エミにとって、その一日は失望や怒りを手放し、愛と信頼をもう一度見直すきっかけとなった。信頼とはただ与えられるものではなく、互いに築き上げていくものであると気づいたからこそ、彼女は再びサヤカとの関係を大切にしようと思えたのだ。

その夜、エミは再び聖書を手に取り、コリントの言葉を静かに心に刻んだ。「愛は……全てのことを信じ……ます。」






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