日ごとに聖書を調べる

10月28日，月曜日

10月28日，月曜日

エホバご自身が知恵を与えてくださる。……神の口から知識と識別力が出る。（格 2:6）

イエスは，聖書を理解するためには識別力が必要だと教えました。（マタ 24:15）識別力とは，2つの考えの関連や違いを把握する能力のことです。識別力があるなら，物事の表面には現れていない部分を見抜くことができます。イエスの言葉から分かる通り，聖書の預言が実現していることを理解するためにも識別力が必要です。エホバは私たちに識別力を与えてくださいます。それで，識別力を働かせることができるように助けてください，とエホバに祈りましょう。それに加えて，聖書を読む時には内容をよく分析し，すでに知っていることとの関連を考えるようにします。聖句の意味を調べ，どのように自分に当てはめられるかを考えましょう。（ヘブ 5:14）識別力を働かせて聖書を読むなら，内容をもっとよく理解できるようになります。塔研23.02 10ページ7-8節

聖書を毎日調べる 2024


「識別の光」

エリカは、日々の仕事に追われながらも、深夜になると聖書を開くのが習慣だった。その日も、静かな夜に机に向かい、静かに一つの聖句を読み始めた。

「エホバご自身が知恵を与えてくださる……」

言葉が心に染み渡る感覚があった。エリカは、日々の生活の中で直面する選択や葛藤に答えを見つけようと、聖書を開くのが常だったが、最近は何かが違うように感じていた。

以前は、聖書を読むたびに少しずつ気持ちが整理されていくのを感じていた。しかし最近では、ページをめくっても心がざわつくばかりで、落ち着きが得られなくなっていた。答えを求めても、ただ表面的な意味しか感じられず、どこか迷路に迷い込んだような感覚が続いていた。

その日は特に、識別力についての言葉が彼女の心に残った。

「識別力……識別力があれば、物事の表面だけでなく、その奥にある本質も見抜くことができる……」

エリカは深く息をつき、心を静めて聖書を閉じた。識別力が必要だということは理解できても、どうすればその力が自分に宿るのか、まだわからなかった。

次の日、エリカは仕事での難しい選択に直面していた。上司から、会社の方針に沿って顧客に説明するよう指示されたが、その内容にはエリカの良心が少し引っかかる部分があったのだ。しかし、目の前にいる顧客がエリカの説明を信じて依頼を決めることがわかっていたので、上司の言う通りに進めることが無難だった。

そんな時、前夜に読んだ聖書の言葉がエリカの心をかすめた。「識別力があれば、表面的なものを超えて、本質を見抜くことができる……」

エリカは、顧客に説明をする前に一度時間をもらい、もう一度契約内容についてよく考えてみることにした。上司の言う通りに話すべきか、それとも顧客に正直に伝えるべきか、悩んだ末に、彼女は思い切って顧客に疑問に思っていることを伝えた。

「こちらの契約内容には少し疑問があるのですが、ご心配であれば確認していただけますか？」

その言葉を聞いた顧客は驚きつつも、エリカの誠実さに信頼を寄せ、さらに詳しい説明を求めた。その結果、顧客はエリカの提案に満足し、契約は成功した。上司からの評価はやや厳しいものだったが、エリカは心の中にある清々しい感覚に満ち足りていた。

「識別力とは、ただの判断力や知識ではないのかもしれない……自分の心に沿い、真実を見つめる勇気でもあるのだろう。」

その夜、再び聖書を開いたエリカの目には、あの識別力の言葉がより鮮明に映っていた。