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10月5日,土曜日

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10月5日,土曜日

少年を彼の行くべき道に沿って育てよ。彼は年を取っても,それから離れない。(格 22:6)

あなたが,ひとり親であったり夫がエホバの証人でなかったりする中で子供を育てているなら,あなたの信仰の手本は周りの人に励みを与えるものとなります。子供を助ける面での自分の努力が実を結んでいないように感じる場合は,どうでしょうか。子供を教えるには,時間がかかるものです。何かの種をまいた場合,それが本当に成長して実を結ぶだろうか,と心配になるかもしれません。確かに,必ず実がなるようにコントロールすることはできません。それでも,水をやり続けるなら,その植物の成長のために精いっぱいのことをしていることになります。(マル 4:26-29)同じように,母親であるあなたも,子供の心を動かすことができているだろうか,と心配になることがあるかもしれません。確かに,結果をコントロールすることはできません。それでも,自分にできる限りのことを行って子供を教え続けるなら,子供がエホバの友になるよう精いっぱい助けていることになります。塔研22.04 20ページ16-17節

聖書を毎日調べる 2024

10月5日、土曜日の朝、ひとりの母親である美咲は、リビングのテーブルで、息子の健人が起きてくるのを待っていた。彼女は、心の中で今日の聖書の箇所を静かに思い返していた。「少年を彼の行くべき道に沿って育てよ。彼は年を取っても,それから離れない。」(箴言 22:6)この言葉を心に留めながら、毎日子供を導くことの大切さを思い起こしていた。夫が信仰を持たず、母親としてひとりでこの道を歩むことは時に辛いものだが、エホバへの信仰が支えとなっていた。

健人は15歳、反抗期の真っ只中だ。学校の勉強や部活動、そして友達との関係で頭がいっぱいで、母親の信仰の話はどこか遠いものと感じているようだった。美咲は健人が幼い頃からエホバについて教え、毎週の集会に連れて行き、毎日の祈りを大切にしてきた。それでも、最近は彼の心が自分から少しずつ離れていくのを感じ、胸が締め付けられるようだった。

「おはよう、健人。」美咲が声をかけると、健人は無言で椅子に腰掛けた。彼女は微笑みながら朝食を差し出し、いつものように食事前に短い祈りを始めた。健人は特に興味を示さずに食べ始めたが、美咲はそれでも祈り続けることに意味があると信じていた。何度も同じような朝を過ごしているが、彼女はあきらめずに健人の心に種をまき続けていた。

その日、美咲は息子を少しでも理解するために時間をかけることに決めた。週末は忙しい健人だが、彼が帰宅するのを待って、リビングで一緒に少し時間を過ごすことにした。夕方、彼が帰ってくると、美咲は健人に「今日はどうだった?」と尋ねた。健人は最初は気のない返事をしていたが、しばらくすると、部活でのことや友達との些細な出来事を話し始めた。

その会話の中で、美咲はエホバの証人としての教えに触れずに、ただ彼の話を聞き、共感し、応援するように努めた。「そう、いろんなことがあるんだね。私も同じ年頃だったとき、似たようなことがあったな。」と優しく答えると、健人は少しだけ微笑んだ。母親の姿勢を見て、彼の中に何か小さな変化が生まれているのを美咲は感じた。

夜になり、美咲は今日の出来事を振り返りながら、エホバに祈りを捧げた。「エホバ、私は健人のために何をしてあげられるでしょうか。どうか、私の信仰が彼の心に届きますように。」彼女の心には、不安と希望が交錯していたが、同時に、今日の聖書の言葉が彼女を励ましてくれていると感じた。

翌朝、健人がいつものように無言でテーブルに座ると、美咲は「今日は一緒に図書館に行ってみない?」と提案してみた。健人は少し驚いた顔をしたが、断る理由もなかったのか、静かにうなずいた。二人で図書館に出かける途中、美咲は息子と並んで歩くことの幸せを感じた。言葉には出さなくとも、その瞬間が彼女にとって特別なものであることを強く感じていた。

図書館では、美咲は静かに聖書のページをめくり、健人は趣味の本を読んでいた。時折、美咲は健人を見つめながら、エホバが健人の心に少しずつ働きかけてくれることを信じ、祈り続けた。

時間はかかるかもしれないが、彼女は種をまき続けることを決意していた。それがエホバの教えであり、母としての役目だと感じていた。信仰に従い続けることで、健人が自らの道を見つけ、エホバと共に歩む日が来ることを願いながら、美咲は今日もまたその道を一歩ずつ歩み続けた。

わたしは種を植え、水をやりました。

でも、育てて下さるのはエホバ神なのです。




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