いとなみ

【離れても繋がる心】（続き）

【離れても繋がる心】（続き）

　その秋から冬へと季節が移り変わる頃、悠馬と玲奈はお互いの生活を支え合いながら、遠距離恋愛を続けていた。毎日ではないが、定期的に電話をしたり、ビデオ通話で顔を見たりすることが彼らの日常となっていた。そして、冬の寒さが身に染みる頃、ふたりは将来について話す機会を持った。

　「悠馬、私たちの未来について考えたことある？」

　ある寒い夜、玲奈は薄い毛布に包まりながら、真剣な眼差しで悠馬に尋ねた。悠馬は一瞬戸惑ったが、すぐに彼女の目を見つめ返す。

　「うん、実はずっと考えてた。仕事が落ち着いたら、玲奈のところに引っ越すことも考えてる」

　その言葉に、玲奈は驚きと喜びで心が高鳴った。しかし、すぐに不安も襲った。

　「でも、東京の仕事を辞めて、私のところに来るのは……本当にいいの？」

　悠馬は少し考え、真剣な顔で答えた。

　「僕は玲奈と一緒にいたい。遠距離が続くのは、やっぱり寂しいから。仕事は大事だけど、君との未来を選びたいんだ」

　その言葉に、玲奈の心は温かくなった。ふたりが一緒に築く未来が、どれだけ大切なものかを改めて感じた。彼女もまた、自分の道をしっかりと歩みながら、悠馬と一緒にいることを強く望んでいた。

　「私も、悠馬と一緒にいたい。今はまだ少し先のことかもしれないけど、いつかきっと、ふたりで新しい生活を始めたいと思ってる」

　その夜、ふたりは未来への思いを語り合いながら、温かいココアを飲み、穏やかな時間を過ごした。心の中に描いた未来像は、次第に色鮮やかになっていくようだった。

　数か月後、春が訪れた。悠馬は東京での仕事を続けつつ、玲奈との未来を真剣に考える日々が続いた。そして、ふたりの関係は少しずつ深まっていった。特に、玲奈が新たな仕事に挑戦し、成長していく姿を見て、悠馬はますます彼女に惹かれていった。

　ある日、悠馬が玲奈の元を訪れたとき、彼女が新しいプロジェクトで受けた賞をお祝いすることになった。ふたりで小さなレストランに行くと、玲奈は嬉しそうに笑いながら、受賞の喜びを語った。

　「私、本当に嬉しかった！このプロジェクトはすごく苦労したけど、あなたの応援があったから頑張れたよ」

　悠馬はその姿を見て、彼女の成長を誇りに思った。

　「玲奈、君の努力が実を結んだんだね。これからもずっと応援するよ」

　そう言いながら、彼は玲奈の手を優しく包み込んだ。その瞬間、ふたりの心は一層近づいた。

　時が経つにつれ、彼らは互いの仕事を尊重しながら、忙しい日々の中でも愛を深めていった。悠馬は自分のキャリアを大切にしながらも、玲奈の成長をしっかりと支えていくことを決意していた。

　ある晩、ふたりは再び未来についての話をした。悠馬は、玲奈が働いている地元の花火大会に行くことを提案した。

　「その日、みんなと一緒に花火を見たい。君のことをみんなに紹介したいんだ」

　玲奈は驚きながらも、笑顔で頷いた。

　「いいね！私も悠馬をみんなに紹介したい」

　その後、彼らはお互いの友人や家族との交流を大切にしながら、結婚の話もちらほら出るようになった。ふたりの間には、信頼と愛情が深く根付いていった。

　夏が終わり、秋が訪れる頃、悠馬は思い切って玲奈にプロポーズすることを決意した。花火大会の夜、彼は心を込めた言葉を用意し、玲奈の手を取った。

　「玲奈、君と一緒にいることが僕の幸せだ。これからの人生を、君と共に歩んでいきたい。結婚してくれないか？」

　驚きと感動の表情を浮かべた玲奈は、一瞬言葉を失った。しかし、彼女の瞳には涙が光り、やがて大きく頷いた。

　「はい、もちろんです！私も悠馬とずっと一緒にいたい」

　ふたりはその瞬間、周囲の人々の視線を浴びながら、強く抱き合った。花火が空に舞い上がり、鮮やかな光が彼らの未来を祝福するかのように照らした。

　遠距離恋愛を経て、ふたりは互いに支え合いながら新しい生活を始めることができた。将来の不安や困難はまだあるかもしれないが、二人は共に乗り越えていくことを誓った。手を取り合い、希望に満ちた未来を見つめながら、愛を深めていくふたりの姿が、まるで夜空に輝く星のように美しく映っていた。