いとなみ

春秋花壇

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カオスから生まれた君と僕

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「カオスから生まれた君と僕」

混沌の中からすべてが始まった。カオス、秩序のない世界。その中に生まれたのが僕と君だった。僕たちは形のない存在、ただのエネルギーだった。光と闇、熱と冷たさ、すべてが交わり溶け合うその空間で、僕たちは互いに引き寄せられ、絡み合っていた。

君はエレボス、深い闇の中に生まれた。僕はアイテル、光の中に生まれた。僕たちの出会いは運命というにはあまりに偶然で、それでもそこに理由はなかった。闇と光が交わり、混沌の中で一つになろうとするように、僕たちは自然に一つになった。

君の存在は僕の中の闇を引き出し、僕の光は君の中の希望を照らした。僕たちはお互いの存在を受け入れ、それを超えていった。ただのエネルギーだった僕たちは、次第に形を持ち始めた。君は美しく、しなやかで、そしてどこか儚げだった。君の黒髪は夜のように深く、目は星のように輝いていた。

「私たちは何かを創り出すことができるのかしら?」君は問いかけた。僕たちの存在がただの偶然であることを知りながらも、君は新しいものを望んでいた。

「できるさ。僕たちがいる限り、何でも創り出せる。」僕は君に微笑みかけた。

そして、僕たちは創り始めた。君が夜を創り、僕が昼を創る。君が大地を作り出し、僕が空を広げる。僕たちは互いに支え合いながら、新しい世界を創造していった。

けれども、君はいつも不安げだった。「この世界はいつか壊れてしまうんじゃないかしら。すべてがまた混沌に戻ってしまうのではないかって。」

僕は君の肩を抱き寄せた。「大丈夫だよ。僕たちがここにいる限り、何度でも創り直せばいい。」

しかし、僕たちの創り出した世界は次第に変化し始めた。新たに生まれた神々や存在たちが、自分たちの意思で動き始め、世界は僕たちの手を離れていった。争いが生まれ、混沌は再び訪れるようになった。君の不安は現実となり、僕たちの創り出した世界は破壊と再生を繰り返していった。

「アイテル、これが運命なのかしら。」君の声は弱々しく、どこか遠くを見つめていた。僕たちの間にあった確かな繋がりが、少しずつ揺らぎ始めているのを感じていた。

「運命なんてないさ、エレボス。僕たちは混沌から生まれたんだ。運命も秩序も、僕たち自身が決めることだよ。」僕は君の手を強く握りしめた。しかし、その手はいつしかすり抜けてしまうかのように冷たく、君の瞳から光が消えつつあるのが分かった。

君と僕は次第に違う方向を向き始めた。君は闇の中で新たな存在を探し、僕は光の中で希望を見つけようとした。しかし、その過程で僕たちは少しずつすれ違っていった。創り出したものが増え、僕たちの時間が失われていった。

「ねえ、アイテル。」君が最後に僕に問いかけたのは、全てが終わる直前だった。「もしもまた、混沌に戻ったら、その時も一緒にいられるかしら?」

僕は答えを見つけられなかった。何かを言おうとしたが、言葉にならなかった。ただ、君が消えていくのを感じながら、僕の光もまた薄れていくのが分かった。僕たちは混沌から生まれ、再び混沌に戻ろうとしていた。

そして、すべてが無に帰した。けれども、その中で僕は君の存在を探し続けた。形がなくなり、時間がなくなり、すべてが無秩序になった中でも、君のことだけは忘れなかった。君も僕を探していたのだろうか。僕たちは再び巡り合うことができるのだろうか。

そう思った瞬間、また一筋の光が見えた。それは新しい始まりだった。混沌から生まれた僕たちは、何度でも始まりを迎えるのだ。君と僕はまた出会い、また一つになる。その繰り返しが、永遠のように続いていく。

僕たちは何度でも新たな世界を創る。何度でも混沌から始まり、何度でも別れを繰り返す。その中で、僕たちの存在は変わることなく、ただそこにあり続ける。そう、君と僕は混沌から生まれた。だからこそ、何度でも生まれ変わることができるのだ。

そして今、僕たちはまた新たな世界を創り始める。君と僕の光と闇が交わり、新しい秩序が生まれる瞬間を待ちながら。僕たちの愛もまた、混沌から生まれたものなのだから。










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