いとなみ

大学生の恋愛

大学生の恋愛

春の風が吹き抜けるキャンパスの中庭で、理子はひとりベンチに座り、ノートに何かを書き込んでいた。彼女の視線の先には、図書館から出てくる背の高い青年、翔の姿があった。翔は理子の同級生で、1年前から彼女の片思いの相手だった。

理子は、翔と同じ授業を受けるたびに、心がドキドキするのを感じていた。しかし、話しかける勇気がなかった。翔も同じ気持ちで、理子に対して密かに好意を抱いていたが、自分の感情を伝えることができずにいた。

その1年間、二人はすれ違い続けていた。図書館で、カフェで、授業の後の教室で。お互いの存在に気づきながらも、一歩を踏み出せないまま時間だけが過ぎていった。

秋が深まり、キャンパスの木々が紅葉に染まる頃、二人は偶然同じグループで学園祭の準備をすることになった。理子は緊張しながらも、翔との共同作業に胸を弾ませていた。一方、翔も理子との時間を楽しんでいた。

ある日の帰り道、理子は思い切って翔に話しかけた。「翔君、いつも図書館で勉強してるよね。何を勉強してるの？」翔は驚きながらも笑顔で答えた。「哲学の本が好きなんだ。理子ちゃんは？」

その日から、二人の間には少しずつ会話が増えていった。学園祭の準備が終わりに近づくと、翔は理子にこう言った。「理子ちゃん、実はずっと君のことが気になってた。僕たち、もっと話せる機会が欲しいな。」

理子の心臓が高鳴った。「私も同じ気持ちだったよ。でも、勇気がなくて…。」

翔は優しく笑いかけ、「じゃあ、これからは一緒に過ごす時間をもっと作ろう。」と提案した。理子は嬉しそうに頷いた。

冬が訪れる頃、二人はキャンパスの中庭で再びベンチに座っていた。理子は翔に寄り添いながら、「やっと、お互いの気持ちが通じたね。」と呟いた。翔は優しく理子の手を握りしめ、「これからも一緒に、たくさんの時間を過ごそう。」と誓った。

こうして、1年の片思い期間を経て、二人の恋愛は新たなスタートを切った。

冬が深まるにつれて、理子と翔の関係はますます親密になった。キャンパス内のクリスマスライトが輝く中、二人は手を繋いで歩き、未来の話をした。理子は翔との時間が宝物のように感じられた。

クリスマスイブの夜、翔は理子を街のイルミネーションが美しい広場に連れて行った。冷たい風が吹き抜ける中、二人は暖かいコートに包まりながら、広場の中心にある大きなクリスマスツリーを見上げていた。

「理子、今日は特別な日だから、君に伝えたいことがあるんだ。」翔は真剣な表情で言った。

理子は驚きながらも、心の中で何かが弾けるのを感じた。「なに？」

翔は深呼吸をしてから、ポケットから小さな箱を取り出した。「理子、僕と付き合ってくれないか？」

箱の中には、シンプルで美しいペアリングが入っていた。理子の目には涙が浮かび、感動で言葉を失った。彼女は頷きながら、翔に微笑んだ。「もちろん。私もずっと、翔君と一緒にいたいと思ってた。」

二人はリングを交換し、その瞬間を永遠のものにした。翔は理子を抱きしめ、「ありがとう、理子。君と過ごす毎日が、僕の宝物だよ。」と囁いた。

年が明け、新学期が始まると、二人の関係はますます深まっていった。キャンパスでの勉強や友人との交流も、以前より楽しく感じられた。理子は、翔と過ごす時間が自分の成長にもつながっていることを実感した。

春が再び訪れ、桜の花が咲き誇る季節となった。理子と翔はキャンパス内の桜並木を歩きながら、新しい未来に向けて希望と夢を語り合った。

「理子、これからもずっと一緒に歩んでいこう。僕たちの未来は、きっと素晴らしいものになるよ。」翔は優しく理子の手を握りながら言った。

「うん、翔君。私もそう思う。これからも一緒に、たくさんの思い出を作っていこう。」理子は微笑みながら答えた。

二人は桜の花びらが舞う中、未来への一歩を踏み出した。その後も、大学生活を共に楽しみ、互いに支え合いながら成長し続けた。彼らの恋は、これからも美しく咲き誇る桜のように、永遠に続いていくのだった。