いとなみ

現代のシンデレラ

現代のシンデレラ

アリスは東京の小さな花屋で働く普通の女性だった。毎日、彼女は色とりどりの花々に囲まれて仕事をし、訪れるお客さんたちの笑顔を見て幸せを感じていた。しかし、アリスの心の奥にはいつも「自分は何か特別な存在になれるのではないか」という夢が秘められていた。

そんなある日、花屋に一人の男性が訪れた。彼はとても上品で、落ち着いた雰囲気を持っていた。アリスはその男性に一目で魅了された。男性はアリスに微笑みかけ、数本の薔薇を注文した。アリスは丁寧に花を包み、男性に手渡した。彼の名前はレイと名乗り、感謝の言葉を残して去って行った。

数日後、レイは再び花屋を訪れた。今度は大きなブーケを注文し、アリスに話しかけた。「君の選ぶ花は本当に美しい。センスが素晴らしいね。」アリスは頬を赤らめながら「ありがとうございます」と答えた。こうして二人は少しずつ親しくなり、レイは週に一度、必ず花屋を訪れるようになった。

ある日、レイはアリスをディナーに誘った。彼女は驚きつつも喜んでその誘いを受けた。ディナーの席で、レイはアリスに自分が実は小さな国の王子であることを打ち明けた。彼は王室の仕事で日本を訪れていたのだ。アリスは驚きのあまり言葉を失ったが、レイの誠実さに心を打たれ、彼を信じることにした。

それからというもの、二人はデートを重ね、アリスはレイの人柄にますます惹かれていった。彼の王子という立場に対しても、特別扱いをしない彼の謙虚さに感銘を受けた。そしてレイもまた、アリスの優しさと純粋さに惹かれていた。

ある日、レイはアリスを自分の国に招待した。彼女は少し不安だったが、レイの支えもあり、勇気を出してその誘いを受けた。レイの国に到着すると、アリスはその美しさに圧倒された。自然に囲まれた城、親切な人々、そして豊かな文化。全てが新鮮で、彼女の心を奪った。

レイの両親、国王と王妃もアリスを温かく迎えた。彼女は初めての王室の生活に戸惑いながらも、レイの家族と過ごす時間を楽しんだ。特に王妃はアリスを娘のように愛し、彼女に王室の礼儀作法や歴史を教えてくれた。

日々が過ぎる中で、アリスは次第にこの新しい生活に慣れていった。彼女は自分の存在がこの国の人々にとって重要であることを感じ、少しずつ自信を持つようになった。そして何よりも、レイとの愛が深まるのを感じていた。

そしてある日、レイはアリスにプロポーズをした。彼は美しい庭園でひざまずき、真剣な目でアリスを見つめながら「君を一生大切にしたい。僕と結婚してくれますか？」と尋ねた。アリスは涙を浮かべながら「はい」と答えた。二人は抱き合い、幸せな未来を約束した。

結婚式は国中の祝福を受け、華やかに執り行われた。アリスは美しいドレスに身を包み、レイと共に誓いの言葉を交わした。彼女の目には涙が溢れ、レイもまた感動で胸を震わせた。

こうして、普通の花屋の娘であったアリスは、愛と勇気によって現代のシンデレラとなり、小さな国の王妃となった。彼女はこれからも、レイと共に国を支え、愛を育みながら幸せな日々を送ることだろう。

そして、アリスは自分が特別な存在であることを再確認した。夢を信じ、愛を信じることで、誰もが自分だけのシンデレラストーリーを紡ぐことができるのだと。

完