いとなみ

禁じられた恋

禁じられた恋

16歳の佐藤みゆは、普段の高校生活に退屈していた。平凡な日々に刺激を求めて、年齢を偽ってキャバクラで働くことに決めた。彼女の幼い顔立ちと自信に満ちた振る舞いは、奇跡的に年齢を問われることなく採用された。

夜の街、新宿のネオンが輝く中、みゆは初めての出勤に向かう。店の名前は「ルナ・ブルー」。華やかな雰囲気ときらびやかな衣装に、みゆは心躍らせた。そこには、非日常の世界が広がっていた。

初めての夜、みゆは緊張しながらも笑顔を絶やさず、接客に励んだ。客たちは彼女の若さと無邪気さに惹かれ、彼女の席は常に満席だった。その中でも、彼女の心を特に捉えたのは、店のボーイである田中翔だった。

翔は20代後半、落ち着いた雰囲気と優しい笑顔が魅力的だった。みゆが困った時にはいつもサポートしてくれ、その度にみゆの胸は高鳴った。彼の存在が、みゆの中で次第に大きくなっていった。

ある夜、みゆは仕事が終わった後、店の裏口で翔と二人きりになった。翔はいつもと変わらず優しく、「みゆちゃん、初めてなのに本当に頑張ってるね。大丈夫？疲れてない？」と声をかけてくれた。

みゆは一瞬、彼に本当の年齢を打ち明けようかと迷ったが、言葉に詰まった。彼女はただ「うん、大丈夫だよ。ありがとう、翔さん」と微笑んで答えた。

その後もみゆと翔の交流は続き、次第に二人の間には特別な感情が芽生え始めた。しかし、みゆの心の中には常に罪悪感が付きまとっていた。年齢を偽っていること、そしてその嘘が翔との関係を壊すかもしれない恐れだ。

ある週末、みゆは勇気を振り絞り、翔を誘って一緒に外で食事をすることにした。初めてのデートに、みゆの心はドキドキしていた。食事中、翔はふと真剣な表情でみゆに向き合った。

「みゆちゃん、実は前から気になってたんだけど、本当の年齢を教えてくれないかな？君が何か隠してるんじゃないかって思ってさ。」

みゆは驚きと不安でいっぱいになりながらも、翔の真摯な目を見て嘘をつくことができなかった。「ごめんなさい、翔さん。実は私、まだ16歳なんです。年齢を偽ってこの店で働いています。」

翔はしばらくの間、沈黙していた。みゆはその沈黙が永遠に続くように感じ、涙が溢れ出した。しかし、翔はやがて深いため息をつき、優しくみゆの手を握った。

「みゆちゃん、そんな若いのにこんな世界で頑張ってるなんて。でも、君にはもっとふさわしい場所があるはずだよ。君の未来はこんなところで終わってはいけない。」

翔の言葉に、みゆは心からの感謝とともに、彼への想いが一層強くなった。「でも、翔さん、私は…あなたのことが好きなんです。こんなに素敵な人に出会えて、幸せなんです。」

翔はみゆの気持ちを受け止めつつも、現実を見据えていた。「ありがとう、みゆちゃん。でも、君の未来を考えると、今はお互いのために距離を置くべきだと思う。君にはもっと大きな可能性があるんだから。」

その夜、みゆは翔と別れを告げる決意をした。彼の言葉を胸に刻み、自分の将来を真剣に考え始めた。キャバクラを辞め、高校生活に専念し、大学進学を目指すことにしたのだ。

数年後、みゆは無事に大学に進学し、新しい人生を歩み始めた。夜の街での経験と翔との出会いは、彼女にとって大切な教訓となった。翔への想いは今も心の中にあるが、それは彼女を支える力強い記憶として残り続けている。

ある日、大学のキャンパスで偶然にも翔と再会した。彼は驚きながらも嬉しそうに微笑んだ。「みゆちゃん、立派になったね。」

みゆは感謝の気持ちを込めて答えた。「翔さんのおかげです。あの時、あなたに出会えて本当に良かった。」

二人は再び話し始め、新たな関係を築いていくことを決意した。翔の支えと、みゆの成長は、彼らに新しい未来を開いてくれたのだ。

このようにして、みゆは禁じられた恋から学び、人生の大切な教訓を得た。小さな幸せと感謝の気持ちを忘れずに、生きていくことの大切さを知った彼女は、これからも前向きに未来を切り拓いていくことを誓った。