いとなみ

壁ドンしてみた

壁ドンから始まる、春の大三角と燃え袖の恋
夕暮れの公園、茜色に染まる空の下、二人はベンチに並んで座っていた。

長い間、密かに想いを寄せていたあの子への告白を決意した私は、鼓動が胸を打つような緊張を感じながら声をかけた。

「ねえ、ちょっと話したいことがあるんだけど。」

「うん、何？」

優しい声で返してくれたあの子に、私はゆっくりと立ち上がり、背後に回り込んだ。そして、思い切って壁に手をドンと押しつけた。

「…え？」

驚いた様子で振り返るあの子に、私はまっすぐと瞳を見つめ、気持ちを伝えた。

「…好きです。付き合ってください。」

しばらくの間、言葉を失ったように私を見つめていたあの子は、小さな声で呟いた。

「…私も…好きです。」

その瞬間、世界が色鮮やかに輝き出した。夢にまで見ていた瞬間が訪れたことに、信じられない気持ちでいっぱいだった。

ベンチから立ち上がり、手をつないで歩き始めた二人。夕陽に照らされた二人の影が、長い影を伸ばしていく。

その夜、私たちは再び公園のベンチで夜空を見上げた。星が瞬き、虫の声が聞こえる静かな夜だった。

「…壁ドン、かっこよかったよ。」

あの子が、小さな声で呟いた。

「…え？ありがとう。」

照れながらも嬉しかった。

ありきたりな方法だったかもしれない壁ドン。

でも、私にとってそれが一番の告白だった。

「これからもずっと一緒にいようね。」

そう約束して、二人は夜空を見上げた。

春の夜空には、しし座、おとめ座、うしかい座の3つの一等星が明るく輝いている。

春の大三角、春の大曲線も微笑んでいるかのようだった。

「北極星みつかった？」

「うん、ひしゃくみたいなやつだよね」

「そうそう」

レグルス、スピカ、アークトゥルスを結んだ春の大三角形や、

柄杓の形をした北斗七星、春の大曲線など見つけやすい星が並んでいるんだって。

さっきまで、火を噴いているのかと思うほど熱かった体がゆっくりと慣れていく。

それでも、まだどきどきと鼓動を感じる。

手をつないでいる手をしっかりと恋人つなぎに変えてみた。

君は少し驚いたのかとまどいながら、握り返してくれた。

燃え袖が少し震えていてかわいい。

頬も耳も赤いね。

ベンチのそばに咲いている「たんぽぽ」を一輪摘んで、君の長い柔らかな髪に差した。

爽やかなシャンプーの香りが私の鼻をくすぐる。

抱き寄せたいけど我慢しよう。

ゆっくりと二人のプロセスを大切にしていきたいから。

「ありがとう。愛してるよ」

春の夜空の下、燃え袖の少女と私の恋は、これから始まる。

この物語は、これから二人に訪れる様々な出来事や、心の変化を描いていく。

壁ドンから始まった二人の恋が、どのように成長していくのか、ぜひ見守ってください。