いとなみ

完済への道

完済への道

30歳になった佐藤美咲は、結婚を意識し始めた。しかし、美咲には大きな不安があった。それは、住宅ローンを抱えていることだった。

美咲は、大学卒業後に新築マンションを購入した。当時は、ボーナスもしっかり出ていたため、ローン返済は問題ないと考えていた。しかし、その後転職を繰り返した結果、収入が減少し、ローン返済が重荷になっていた。

結婚相手には、ローン返済の負担をかけたくない。美咲は、完済できる相手と結婚したいと考えていた。

すでに他界している美咲の母は、一戸建ての家を購入したのだが、様々な事情で志半ばで家を手放した。
当時、小学校に入学したばかりの美咲は、母の志を継いで持ち家が欲しかった。完済することができれば、身罷った母も喜んでくれるだろう。それは、世代を超えた家へのあこがれと執念だったのかもしれない。

そんなある日、美咲は友人と食事をしていた。そこで、友人の紹介で出会ったのが、会社員の田中健太だった。

健太は、美咲より5歳年上で、安定した収入を得ていた。また、家を購入する予定はなく、賃貸マンションで暮らしていた。

美咲は、健太に自分の状況を正直に話した。健太は、美咲の事情を理解し、快く受け入れてくれた。

「ローン返済は大変だよね。でも、一緒に頑張れば必ず完済できるよ。」

健太の言葉に、美咲は勇気付けられた。

健太と美咲は、交際をスタートさせた。二人は、週末に一緒に料理をしたり、映画を見たりして、楽しい時間を過ごした。

健太は、美咲のローン返済にも協力してくれた。二人は、家計を共有し、節約をしながら、着実にローンを返済していった。

5年後、美咲と健太は結婚した。結婚式は、親しい友人だけを招いた小さな式だった。

結婚後も、二人は協力してローン返済を続けた。そして、10年後の記念日に、ついにローンを完済することができた。

ローン完済の瞬間、美咲は大きな喜びと達成感を感じた。そして、健太に感謝の気持ちを伝えた。

「ありがとう、健太。あなたの支えがあったから、完済することができたよ。」

健太は、美咲の頭を優しく撫でた。

「こちらこそ、ありがとう。美咲のおかげで、充実した生活を送ることができているよ。」

二人は、笑顔で抱き合った。

美咲と健太は、これからも協力し合い、幸せな家庭を築いていく。

終わり
住宅ローンは、人生の中でも大きな買い物です。ローン返済は、長い道のりとなります。

結婚相手と協力して、計画的に返済していくことが大切です。

この小説が、住宅ローンと結婚について考えるきっかけになれば幸いです。