いとなみ

人肌恋しくて

2023年10月13日（金）東京・銀座にグランドオープン。

ナイトクラブ「Yamato Tokyo」

そこで俺は一夜限りのうたかたの夢を見た。

繰り返される日常に、飽き飽きしていた俺は、

たまには気分を変えて、

拡張自我

物理的対象
シンボルや象徴
他者との関係
仮想的な対象

拡張自我の概念は、個人のアイデンティティや自己認識が、単なる身体や心だけでなく、さまざまな外部要因によっても形成されることを示唆している。

ブランドで固めて決めてみた。

普段は、ファッションにほとんど興味を示さない。

着る物や靴にそんなに金をかけない。

でも、この日だけは俺もどうかしてたんだ。

「ばしっ」

と決めてやったぜ。

うん。

そして、絶対に普段なら口にしないハイボールを注文してた。

うまいなんて思えない。

だけど、今の雰囲気ならこれしかないって思えたんだよな。

DRUM AOのウーハーの効いた太鼓の音。

つんざくような爆音に心も踊る。

そんな時、隣に

「隣いいですか?」

と、22.3歳の黒の3ピースを着た女の子が声をかけてきた。

時折見せる寂しそうな横顔が、なぜか

「この子を守ってあげたい」

って思わせるような子だった。

俺たちは、太鼓の音に浮かれたように踊り、しゃべり、お互いの寂しさを埋めていった。

「俺んち来ないか」

(おいっ、ナイトカーニバルじゃないんだから。ふるっ)

「(((ｕдｕ*)ｩﾝｩﾝ」

って、快く受けてくれて、

タクシーで郊外の俺のマンションまでドライブとしゃれこんだ。

マンションにつくと、じゃれ合うように一緒にお風呂に入って、

途中のコンビニで買ったビールを生ハムやいかのげそ、チーズ、サラミをつまみながら

小腹を満たしていく。

俺の貸した長袖のワイシャツが燃え袖になっててやけに大人可愛かったな。

そのままベッドにもつれ込んで、渇きをいやすように何度も何度も求めあった。

彼女は手慣れているようで、めっちゃ前戯に時間をかけて

俺はインサートする前に果てそうになるのをこらえるのに苦労した。

こんな時間がずっと続いてくれたらいい。

だけどさー。始まりがあれば終わりもまた必ず訪れる。

シーツにくるまってにらめっこしたり、不思議な女の子だったな。

朝チュン。

寝ぼけ眼の俺は、手探りでベッドの隣を探ったけど、

そこには脱ぎ捨てられた俺のワイシャツだけが、

まるで夢ではありませんよというように軽く袖だたみにして置いてあった。

あれから、また会えないかなとあの店に行くんだけど、

君はもういない。


Yamato Tokyo――
輝く光の下で
一夜の夢を追う

俺は立ち尽くし
華やかな空気に包まれ
拡張自我を纏って

普段の姿とは違う
高貴なブランドに身を包み
時には洒落たハイボールを口に

太鼓の音が響く中
彷徨う孤独に気づいた

そこに現れたのは
黒の3ピースを纏う女性

彼女の寂しげな表情が
俺の心を惹きつけた

二人は踊り
しゃべり
寂しさを埋め合った

そして誘い合い
俺のマンションへと向かう

一緒にお風呂に入り
ビールとおつまみを楽しみながら

二人の距離が縮まる

やがてベッドの上で
情熱の交わりが始まる

彼女の手練手管に
俺は魅了される

終わりが訪れた朝
彼女はそっと去り
ただワイシャツだけが

証として残された

あの日の夢は
まるで幻のように

Yamato Tokyo――
輝く光の下で
一夜の夢は終わりを告げる