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終の住処(ついのすみか) 2
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初対面で会った途端に、
「この人ダメ」
と、嫌ってしまう人が世の中にはいるみたい。
今まであまり、理由もなしに受け付けられない人に逢ったことはなかっのだけど
いや、覚えていないだけなのかもしれない。
でも、今、目の前にいるこのお嬢さんだけは
「長所を探せ!!」
と、想いを変えようとしても嫌なところばかりが目に付いてしまう。
例えば、わたしたちは今、アフタヌーンティーを頂いているのだが、
おいしいものを食べてるのに、
「少し甘すぎない?」
とか
「何、この黒い箱みたいなやつ」
とか、お料理をめでることができない人みたい。
おいしいものをおいしいねと食べるのは至福の時だと私は思う。
わたしは、何十年も倹約したつましい生活をしてきたけど
食事に対してはとてもこだわりがある。
今、目の前に出されているものに心から感謝して頂きたい。
食材を作ってくださった農家の方、漁師の方、流通してくださってる方、バイヤーの皆様。
そして、お料理を作ってくださっているコックさんたち。
お料理を運んでくださるウエイター、ウエイトレスの方々。
この場所を掃除してくださっている清掃の方々。
皆さんのおかげで、こんなに素敵な黒い漆塗りの箱に盛られた
主菓子と干菓子にあたるミニャルディーズを口にすることが出来ている。
この素敵なホテルのおもてなしの心を堪能している。
糞真面目にそんな風な事を思っているから、
生徒たちからしたら「真面目なだけのオールドミスまー」
なのかもしれない。
石頭と言われようが、古い女だと言われようが、
「いただきます」
「ごちそうさま」
「ありがとう」
「ごめんなさい」
「おかげさまで」
の気持ちだけは持ち続けていきたいし、
それを軸に生活していきたい。
譲れないわたしの大切にしている世界。
お菓子だけでなく点心も半透明に透き通っていて、
とても美味。
柔らかな香りと口に含むと広がるジューシーなうまみが満ち足りた気持ちにさせてくれる。
わたしが、名乗っているのに不通に返すことのできない人種と一緒にいるのは
苦痛でしかなかった。
文化も風習も言葉も違う世界に住んでいる人みたい。
中学校の教師と言う職業柄、謝恩会などを催してくださり、
初対面の父兄と共に食事をすることも多かった。
でも、そこにはなにがしかの暗黙のルールのようなものがあって、
わたしの心の琴線を逆なでするようなことは一度もなかった。
どんなモンスターペアレンツもとりあえずは、取り繕うことを知っている人たちだったのだろう。
世の中にはいろんな人がいて、一緒に食事を楽しむのが苦手な人もいる。
芥川受賞作の『おいしいごはんが食べられますように』
を読んだ時には、ほんと、目からうろこだった。
わたしは、楽しくみんなで食事をするのが万国共通の悦楽だと思い込んでいたからだ。
だから、今はそれも配慮に入れることができるけど
崇さんの娘さんの推しの強さとマウントを取ってくるような
扱われ方は、納得することが出来なかった。
プロポーズをしてくれた鈴木崇(すずきたかし)61歳さんとは、
「焼き加減が絶妙」
「まろやかな口当たり」
など、出されたお料理をまったりと楽しむことが出来ていたのに。
100%完璧な人なんていないけど、
どんなしつけをすれば、心のささくれだった思いを相手に与えるような
所作ができるんだろうと不思議に思い首をかしげてしまう。
何処が…と言うのではないのかもしれない。
スピリチュアル、霊が寄り添えないのだ。
何かを口にするときには、口紅がべったりつかないように
事前にティッシュで押さえるくらいはして欲しいと思うのは
わたしのおごりだろうか?
薪火晩茶の入ったおゆのみにべっとりと付いているショッキングピンクの紅が癇に障る。
ああ、もう。ありのままをいったん全部受け入れよう。
(わたしはこの、崇さんの娘さんが嫌いなのだ。苦手なのだ)
初対面なのに、いきなり要件から話してきてもらった退職金の額を
根掘り葉掘り聞きたがる。
一つ一つの所作、言動が本当にいや。
そもそも、名前を聞いているのに、
「そんなことはパパから聞けばいいでしょう」
って、上から目線で一体あなたは何様よ。
だめだ。せっかくのおいしいお料理が台無し。
深く一つ深呼吸をする。
周りがどうあろうと、わたしはわたしで幸せを感じていいのよね。
「控えめな色遣いが漆塗りの食器によく似合って、大和撫子のような優しい雰囲気」
と、ウエイターさんに話すと、
奥からシェフがご挨拶に来てくださった。
ヌーヴェル・キュイジーヌ。
創作料理のお話を窺えて新しい出会いに感謝。
(((uдu*)ゥンゥン
やっぱり、嫌な事ばかりはないわよね。
退職金の事は、崇さんも教師だったから相場は解るだろうけど、
貯金が趣味なんて話は一切していないから、
お金目当てで近づいてきてるなんてことは小説の中の話よね。
それにしても、崇さんと娘さん、
なんかイチャイチャして普通の親子に見えないんだけど
それはきっと、わたしの思い込み。
「この人ダメ」
と、嫌ってしまう人が世の中にはいるみたい。
今まであまり、理由もなしに受け付けられない人に逢ったことはなかっのだけど
いや、覚えていないだけなのかもしれない。
でも、今、目の前にいるこのお嬢さんだけは
「長所を探せ!!」
と、想いを変えようとしても嫌なところばかりが目に付いてしまう。
例えば、わたしたちは今、アフタヌーンティーを頂いているのだが、
おいしいものを食べてるのに、
「少し甘すぎない?」
とか
「何、この黒い箱みたいなやつ」
とか、お料理をめでることができない人みたい。
おいしいものをおいしいねと食べるのは至福の時だと私は思う。
わたしは、何十年も倹約したつましい生活をしてきたけど
食事に対してはとてもこだわりがある。
今、目の前に出されているものに心から感謝して頂きたい。
食材を作ってくださった農家の方、漁師の方、流通してくださってる方、バイヤーの皆様。
そして、お料理を作ってくださっているコックさんたち。
お料理を運んでくださるウエイター、ウエイトレスの方々。
この場所を掃除してくださっている清掃の方々。
皆さんのおかげで、こんなに素敵な黒い漆塗りの箱に盛られた
主菓子と干菓子にあたるミニャルディーズを口にすることが出来ている。
この素敵なホテルのおもてなしの心を堪能している。
糞真面目にそんな風な事を思っているから、
生徒たちからしたら「真面目なだけのオールドミスまー」
なのかもしれない。
石頭と言われようが、古い女だと言われようが、
「いただきます」
「ごちそうさま」
「ありがとう」
「ごめんなさい」
「おかげさまで」
の気持ちだけは持ち続けていきたいし、
それを軸に生活していきたい。
譲れないわたしの大切にしている世界。
お菓子だけでなく点心も半透明に透き通っていて、
とても美味。
柔らかな香りと口に含むと広がるジューシーなうまみが満ち足りた気持ちにさせてくれる。
わたしが、名乗っているのに不通に返すことのできない人種と一緒にいるのは
苦痛でしかなかった。
文化も風習も言葉も違う世界に住んでいる人みたい。
中学校の教師と言う職業柄、謝恩会などを催してくださり、
初対面の父兄と共に食事をすることも多かった。
でも、そこにはなにがしかの暗黙のルールのようなものがあって、
わたしの心の琴線を逆なでするようなことは一度もなかった。
どんなモンスターペアレンツもとりあえずは、取り繕うことを知っている人たちだったのだろう。
世の中にはいろんな人がいて、一緒に食事を楽しむのが苦手な人もいる。
芥川受賞作の『おいしいごはんが食べられますように』
を読んだ時には、ほんと、目からうろこだった。
わたしは、楽しくみんなで食事をするのが万国共通の悦楽だと思い込んでいたからだ。
だから、今はそれも配慮に入れることができるけど
崇さんの娘さんの推しの強さとマウントを取ってくるような
扱われ方は、納得することが出来なかった。
プロポーズをしてくれた鈴木崇(すずきたかし)61歳さんとは、
「焼き加減が絶妙」
「まろやかな口当たり」
など、出されたお料理をまったりと楽しむことが出来ていたのに。
100%完璧な人なんていないけど、
どんなしつけをすれば、心のささくれだった思いを相手に与えるような
所作ができるんだろうと不思議に思い首をかしげてしまう。
何処が…と言うのではないのかもしれない。
スピリチュアル、霊が寄り添えないのだ。
何かを口にするときには、口紅がべったりつかないように
事前にティッシュで押さえるくらいはして欲しいと思うのは
わたしのおごりだろうか?
薪火晩茶の入ったおゆのみにべっとりと付いているショッキングピンクの紅が癇に障る。
ああ、もう。ありのままをいったん全部受け入れよう。
(わたしはこの、崇さんの娘さんが嫌いなのだ。苦手なのだ)
初対面なのに、いきなり要件から話してきてもらった退職金の額を
根掘り葉掘り聞きたがる。
一つ一つの所作、言動が本当にいや。
そもそも、名前を聞いているのに、
「そんなことはパパから聞けばいいでしょう」
って、上から目線で一体あなたは何様よ。
だめだ。せっかくのおいしいお料理が台無し。
深く一つ深呼吸をする。
周りがどうあろうと、わたしはわたしで幸せを感じていいのよね。
「控えめな色遣いが漆塗りの食器によく似合って、大和撫子のような優しい雰囲気」
と、ウエイターさんに話すと、
奥からシェフがご挨拶に来てくださった。
ヌーヴェル・キュイジーヌ。
創作料理のお話を窺えて新しい出会いに感謝。
(((uдu*)ゥンゥン
やっぱり、嫌な事ばかりはないわよね。
退職金の事は、崇さんも教師だったから相場は解るだろうけど、
貯金が趣味なんて話は一切していないから、
お金目当てで近づいてきてるなんてことは小説の中の話よね。
それにしても、崇さんと娘さん、
なんかイチャイチャして普通の親子に見えないんだけど
それはきっと、わたしの思い込み。
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