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3:4:3の法則
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「なんでこんなパソコンもスマホも無い所に連れて来るんだよ!!」
自分の置かれた立場も理解できず騒ぎまくっている集団がいる。
一面に広がる水田に一陣の風が吹き、
さわわさわわと揺れている。
風がそよぐ。
風が渡る。
のどかな田園風景。
雲が水田に影を落とす。
田植えがしていなければウユニ湖に似ているのだろうか。
子供たちは竹の皮を拾い集めてはお金に換えていく。
幼い子供でさえ、生きる為に稼ぐことを知っているのに
ここに連れて来られた10人は、老後の親から
むしり取る事しか知らない悍ましい生物。
彼等は今日、何処に眠り、何処で食事をとれるかも知らない。
ホロ付きのトラックで荷物のように運ばれてきた連中だった。
寝袋と乾パン、水の入ったペットボトル、
全員に配られたのだが、梅雨のこの時期に野宿はきつそうだ。
傍らでは、世話係が集まって会議が行われている。
「材料は用意する。やるかやらないかは彼ら次第だ。
責任はだれがとるんですか?」
「責任は私がとります」
そう答えたのは、18歳の可愛い女の子だった。
こんな小娘がどんな責任が取れるんだ。
誰もがそう思ったのだが……。
マスコミ対策として、各位には事前に文章が送られている。
「ここに集まっている若者は、ニート歴10年を超しています。
これから行われる事で、人道的にいかがかと
思われるようなこともあるかも知れません。
人生100年時代の大切な未来がかかっています。
生暖かく放置してください。
宜しくお願い致します」
人間が変わる方法は三つしかない。
一つは時間配分を変える、二番目は住む場所を変える、
三番目は付き合う人を変える、この三つの要素でしか人間は変わらない。
もっとも無意味なのは、「決意を新たにする」ことだ。
かつて決意して何か変わっただろうか。
引きこもりニート、61万人の試行錯誤の為の対策本部である。
手始めに連れて来られたのは、10人。
生粋のゲーマーで上位コンテンツを課金で、または組織力で、
またはその引き付ける魅力でクリアーし、
「俺TUEEEE」
を満喫していたつわものぞろいである。
異世界では無い転生。
果たして変化し、成長し、社会に適合できるものが
何割いるだろうか。
昔から言われているように、
3:4:3の法則は、10年以上クズのような生活して来た者達にも
当てはまるのだろうか。
「とりあえずは寝床の確保ですよね」
それさえも勝手にプレハブ住宅などを建てたりしない。
自足自給が原則なのだ。
建てたければ、自分達で建てればいい。
何とも無責任な世話人たち。
ちゃんと働こうとしている人たちでさえ、
ネットカフェ難民が騒がれる新型感染症の
緊急事態の中、甘ちゃんに愛される資格はない。
愛は鏡なのだから……。
ぼーと囲炉裏の火を眺めている男がいる。
ゲームがやりたくてうずうずして早くも
インターネットゲーム依存症の禁断症状が出始めた男もいる。
6月とはいえ夜は少し肌寒い。
古民家の空き家。
畳が腐っている所もある。
屋根も多分雨漏りがするだろう。
でも、あおかんするよりはまし。
囲炉裏には雑炊がくつくつと煮えている。
スタッフが用意してくれたものだった。
「洗い物は自分達でしてもらいます」
「そんなこと、他の奴がやればいい」
「お前らは人間のクズだ。ごみだ。
食った食器くらい自分で片付けろ」
強健な肉体の身の丈2メートルはあるかと思われる
大男がのそっと立ち上がり上から目線であおる。
10人のニートには膨れ上がったプライドを自制する力が無かった。
承認欲求が満足させられない。
自己肯定感がない。
彼の最大の弱点だ。
「なんだとー」
親から出て行けと言われたやるせなさと
こんな知らない土地にいきなり連れて来られた怒りが
爆発し、10人全員が彼につめ寄った。
本当は泣きたいのだ。
情けないのだ。
こんな状態になっても、何をしていいかわからない
自分の無能さを人のせいにしている自分と
折り合いが付けられないのだ。
あがき、もがき、苦しめばいい。
その涙がきっと希望に変わる日があると
信じているから……。
天の川が流れる満天の星空は天籟が聞こえるほど
さやかで澄み渡っている。
げこげこと蛙の声が聞こえる新天地は星の瞬きで
すべてを御破算にしてもらえそうな気がした。
話題の人たちだよな。
それな。とりま。彼らの別名。
自宅警備員、穀潰し、パラサイトシングル、社会不適合者、ネトゲ廃人。
緊急事態発令で「ステイホーム」なんだから、
まあ、いいか。
《3・4・3の法則》というのは、会社などの組織は、上位3割が高い収益や実績・生産性を上げる優秀な人のグループ、中位の4割は上位とも下位ともいえない平均的な母集団、そして下位3割の生産性の低いグループに分かれる、といった法則。
ニートの存在価値は?
自分の置かれた立場も理解できず騒ぎまくっている集団がいる。
一面に広がる水田に一陣の風が吹き、
さわわさわわと揺れている。
風がそよぐ。
風が渡る。
のどかな田園風景。
雲が水田に影を落とす。
田植えがしていなければウユニ湖に似ているのだろうか。
子供たちは竹の皮を拾い集めてはお金に換えていく。
幼い子供でさえ、生きる為に稼ぐことを知っているのに
ここに連れて来られた10人は、老後の親から
むしり取る事しか知らない悍ましい生物。
彼等は今日、何処に眠り、何処で食事をとれるかも知らない。
ホロ付きのトラックで荷物のように運ばれてきた連中だった。
寝袋と乾パン、水の入ったペットボトル、
全員に配られたのだが、梅雨のこの時期に野宿はきつそうだ。
傍らでは、世話係が集まって会議が行われている。
「材料は用意する。やるかやらないかは彼ら次第だ。
責任はだれがとるんですか?」
「責任は私がとります」
そう答えたのは、18歳の可愛い女の子だった。
こんな小娘がどんな責任が取れるんだ。
誰もがそう思ったのだが……。
マスコミ対策として、各位には事前に文章が送られている。
「ここに集まっている若者は、ニート歴10年を超しています。
これから行われる事で、人道的にいかがかと
思われるようなこともあるかも知れません。
人生100年時代の大切な未来がかかっています。
生暖かく放置してください。
宜しくお願い致します」
人間が変わる方法は三つしかない。
一つは時間配分を変える、二番目は住む場所を変える、
三番目は付き合う人を変える、この三つの要素でしか人間は変わらない。
もっとも無意味なのは、「決意を新たにする」ことだ。
かつて決意して何か変わっただろうか。
引きこもりニート、61万人の試行錯誤の為の対策本部である。
手始めに連れて来られたのは、10人。
生粋のゲーマーで上位コンテンツを課金で、または組織力で、
またはその引き付ける魅力でクリアーし、
「俺TUEEEE」
を満喫していたつわものぞろいである。
異世界では無い転生。
果たして変化し、成長し、社会に適合できるものが
何割いるだろうか。
昔から言われているように、
3:4:3の法則は、10年以上クズのような生活して来た者達にも
当てはまるのだろうか。
「とりあえずは寝床の確保ですよね」
それさえも勝手にプレハブ住宅などを建てたりしない。
自足自給が原則なのだ。
建てたければ、自分達で建てればいい。
何とも無責任な世話人たち。
ちゃんと働こうとしている人たちでさえ、
ネットカフェ難民が騒がれる新型感染症の
緊急事態の中、甘ちゃんに愛される資格はない。
愛は鏡なのだから……。
ぼーと囲炉裏の火を眺めている男がいる。
ゲームがやりたくてうずうずして早くも
インターネットゲーム依存症の禁断症状が出始めた男もいる。
6月とはいえ夜は少し肌寒い。
古民家の空き家。
畳が腐っている所もある。
屋根も多分雨漏りがするだろう。
でも、あおかんするよりはまし。
囲炉裏には雑炊がくつくつと煮えている。
スタッフが用意してくれたものだった。
「洗い物は自分達でしてもらいます」
「そんなこと、他の奴がやればいい」
「お前らは人間のクズだ。ごみだ。
食った食器くらい自分で片付けろ」
強健な肉体の身の丈2メートルはあるかと思われる
大男がのそっと立ち上がり上から目線であおる。
10人のニートには膨れ上がったプライドを自制する力が無かった。
承認欲求が満足させられない。
自己肯定感がない。
彼の最大の弱点だ。
「なんだとー」
親から出て行けと言われたやるせなさと
こんな知らない土地にいきなり連れて来られた怒りが
爆発し、10人全員が彼につめ寄った。
本当は泣きたいのだ。
情けないのだ。
こんな状態になっても、何をしていいかわからない
自分の無能さを人のせいにしている自分と
折り合いが付けられないのだ。
あがき、もがき、苦しめばいい。
その涙がきっと希望に変わる日があると
信じているから……。
天の川が流れる満天の星空は天籟が聞こえるほど
さやかで澄み渡っている。
げこげこと蛙の声が聞こえる新天地は星の瞬きで
すべてを御破算にしてもらえそうな気がした。
話題の人たちだよな。
それな。とりま。彼らの別名。
自宅警備員、穀潰し、パラサイトシングル、社会不適合者、ネトゲ廃人。
緊急事態発令で「ステイホーム」なんだから、
まあ、いいか。
《3・4・3の法則》というのは、会社などの組織は、上位3割が高い収益や実績・生産性を上げる優秀な人のグループ、中位の4割は上位とも下位ともいえない平均的な母集団、そして下位3割の生産性の低いグループに分かれる、といった法則。
ニートの存在価値は?
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