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ギフテッド 悪役令嬢婚約破棄
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「わたくしハリー・バロン・デイヴィス第一王子は、
婚約者メアリー・オブ・ニュートンとの婚約を破棄する」
ここロンドン・バッキンガム宮殿では
宮殿の警護にあたっているオールド・ガードとニュー・ガードの
交代のセレモニー護衛交代式が終わったばかりだった。
見学に来ていた人々の波からどよめきが聞こえる。
いつかこんな日が来るんじゃないかと覚悟はしておりました。
でも、できればその言葉をわたくしの耳は聞きたくありませんでした。
わたくしメアリー・オブ・ニュートン18歳は、
ハリー・バロン・デイヴィス第一王子に婚約破棄されたのでございます。
丁寧にカーテシーをして、
「理由をお聞かせいただけますか」
と、尋ねると
「理由は、マーガレット・ケイト・クラークに怪文書を送り、
彼女に不満を持つものを差し向けたり、階段から突き落としたり、
目に余る所業、数限りない、
よって、エッピング・フォレスト(エセックス州)の森に追放とする」
ロンドンとエセックスの境にある広大な森林地帯で深く美しい森。
でもそこには、ディック・ターピン率いる盗賊一味が隠れ家にしていたり、
ギャングだった双子のクレイ兄弟がたくさんの殺人を行ったと噂され、
数多くの心霊現象が起こっていると恐れられ、都市伝説にさえなっていた。
森の中で幽霊を目撃した人たちの中には、
触られたり押されたり、追いかけられたりした人もいるようだ。
「冤罪だ」
と、叫びたい思いをぐっとこらえます。
あなたは、わたしではなく彼女を選んだのよね。
陰になり日向になりして、一生、あなたのそばにいたかったのに。
マーガレット・ケイト・クラーク。
まっすぐな黒髪に白い清楚なワンピースがよく似合う人。
そのたたずまいとはうらはらに麝香(じゃこう)の香りのする人。
最近、あなたのそばにいつも寄り添うようにいるあざとかわいい人。
わたくしは、5歳の時にギフテッドであることを認められて
ハリー・バロン・デイヴィス第一王子のもとに婚約者として
財力のある実家、侯爵家から貰われてきました。
IQ165。
一を聞いて百を知るわたくしの存在を
あなたは受け入れられなかったのかもしれない。
王妃としての教育を受けるためです。
非の打ちどころのない存在は殿方にとって
可愛くないのかもしれませんね。
学んできたことは結婚生活は要求の大海。
愛の美しき狂気に関わることはもはやわずかしかない。
ここでは偉大な才能も役立たぬ。
ようは、ただ家庭、節度、忍耐、勤勉、義務感、そして従順。
めくるめくようなあなたへの想いも
鳴かぬ蛍のように誰にも悟られぬように
身をこがしてきたのでございます。
私に足らなかったものは、
IQ知能指数できなく、EQ感情指数だったのかもしれません。
そうすれば、もう少しあなたに寄り添えたのかも……。
꒰* ॢꈍ◡ꈍ ॢ꒱.*˚‧
今、悪役令嬢として覚醒します。
「ふふふっ…バレてしまったのなら仕方ありませんわ。
そう…彼女に怪文書を送ったり、
彼女に不満を持つ者を差し向けていたのはわたくしです。
彼女のような者が今後出てきた場合、
貴族または王家の在り方に疑問を覚える低位貴族がいるでしょう。
貴族の大半は低位貴族が占めているのです、
反乱が起こったら抑えることは難しいでしょう。
その最悪の事態を防ぐために私はこのようなことをしました。
あいにく、高位貴族並びに王族の方の中にはは恋に溺れ彼女に翻弄され、
周りが見えてなかったようですが…。
彼女は貴族になる前は平民でしたから、
罰するのは可哀想だと王様に請い、処罰が免れるようにと頑張ってきました」
「ここに真実を映すラーの鏡があります」
鏡でマーガレットを映すと、
そこに映し出されたのは悪魔ベエルゼベブの娘、666であった。
愛とは、大勢の中からたった1人の男なり女なりを選び、
ほかの人を決して顧みないことなのです。
そして、王子はわたくしではなくマーガレットを選ばれた。
その悲しみがあなたにわかっていただけるでしょうか。
「この契約は公爵家と王家が交わした契約、
普通の婚約ではありませんわ。
それを破棄すると?こんな王子が未来の国をまとめるトップ。
この国の未来は大丈夫なのでしょうか?
私情により契約を守らないものに
外交、税、戦争の舵を任してもよろしいのでしょうか?
まして、今は新型感染症で医療機関は混乱状態。
自宅待機のまま亡くなる人さえ出てきている現状。
国民のために身を呈して働く時ではないのですか?
私は王様からの委任状を賜りまして、
この場をもって王子の廃嫡を宣言いたします!」
「お健やかにお過ごしくださいませ」
エッピング・フォレストに追放されたのは、悪役令嬢ではなく、
ハリー・バロン・デイヴィス第一王子と666の化身
マーガレット・ケイト・クラークだったのでございます。
さあ、新たな都市伝説の始まり。
キラキラとこぼれる木漏れ日の中を多くの家族が散歩やハイキングを
楽しんでいます。
かつてヘンリー8世やエリザベス1世の狩猟場でした。
夜以外はとても明るく整えられた森です。
でも、夜は……。
あれから半年後、まるとまるとした元気なかわいい男の子が生まれました。
父親は、ハリー・バロン・デイヴィス
母親は、メアリー・オブ・ニュートン
婚約者メアリー・オブ・ニュートンとの婚約を破棄する」
ここロンドン・バッキンガム宮殿では
宮殿の警護にあたっているオールド・ガードとニュー・ガードの
交代のセレモニー護衛交代式が終わったばかりだった。
見学に来ていた人々の波からどよめきが聞こえる。
いつかこんな日が来るんじゃないかと覚悟はしておりました。
でも、できればその言葉をわたくしの耳は聞きたくありませんでした。
わたくしメアリー・オブ・ニュートン18歳は、
ハリー・バロン・デイヴィス第一王子に婚約破棄されたのでございます。
丁寧にカーテシーをして、
「理由をお聞かせいただけますか」
と、尋ねると
「理由は、マーガレット・ケイト・クラークに怪文書を送り、
彼女に不満を持つものを差し向けたり、階段から突き落としたり、
目に余る所業、数限りない、
よって、エッピング・フォレスト(エセックス州)の森に追放とする」
ロンドンとエセックスの境にある広大な森林地帯で深く美しい森。
でもそこには、ディック・ターピン率いる盗賊一味が隠れ家にしていたり、
ギャングだった双子のクレイ兄弟がたくさんの殺人を行ったと噂され、
数多くの心霊現象が起こっていると恐れられ、都市伝説にさえなっていた。
森の中で幽霊を目撃した人たちの中には、
触られたり押されたり、追いかけられたりした人もいるようだ。
「冤罪だ」
と、叫びたい思いをぐっとこらえます。
あなたは、わたしではなく彼女を選んだのよね。
陰になり日向になりして、一生、あなたのそばにいたかったのに。
マーガレット・ケイト・クラーク。
まっすぐな黒髪に白い清楚なワンピースがよく似合う人。
そのたたずまいとはうらはらに麝香(じゃこう)の香りのする人。
最近、あなたのそばにいつも寄り添うようにいるあざとかわいい人。
わたくしは、5歳の時にギフテッドであることを認められて
ハリー・バロン・デイヴィス第一王子のもとに婚約者として
財力のある実家、侯爵家から貰われてきました。
IQ165。
一を聞いて百を知るわたくしの存在を
あなたは受け入れられなかったのかもしれない。
王妃としての教育を受けるためです。
非の打ちどころのない存在は殿方にとって
可愛くないのかもしれませんね。
学んできたことは結婚生活は要求の大海。
愛の美しき狂気に関わることはもはやわずかしかない。
ここでは偉大な才能も役立たぬ。
ようは、ただ家庭、節度、忍耐、勤勉、義務感、そして従順。
めくるめくようなあなたへの想いも
鳴かぬ蛍のように誰にも悟られぬように
身をこがしてきたのでございます。
私に足らなかったものは、
IQ知能指数できなく、EQ感情指数だったのかもしれません。
そうすれば、もう少しあなたに寄り添えたのかも……。
꒰* ॢꈍ◡ꈍ ॢ꒱.*˚‧
今、悪役令嬢として覚醒します。
「ふふふっ…バレてしまったのなら仕方ありませんわ。
そう…彼女に怪文書を送ったり、
彼女に不満を持つ者を差し向けていたのはわたくしです。
彼女のような者が今後出てきた場合、
貴族または王家の在り方に疑問を覚える低位貴族がいるでしょう。
貴族の大半は低位貴族が占めているのです、
反乱が起こったら抑えることは難しいでしょう。
その最悪の事態を防ぐために私はこのようなことをしました。
あいにく、高位貴族並びに王族の方の中にはは恋に溺れ彼女に翻弄され、
周りが見えてなかったようですが…。
彼女は貴族になる前は平民でしたから、
罰するのは可哀想だと王様に請い、処罰が免れるようにと頑張ってきました」
「ここに真実を映すラーの鏡があります」
鏡でマーガレットを映すと、
そこに映し出されたのは悪魔ベエルゼベブの娘、666であった。
愛とは、大勢の中からたった1人の男なり女なりを選び、
ほかの人を決して顧みないことなのです。
そして、王子はわたくしではなくマーガレットを選ばれた。
その悲しみがあなたにわかっていただけるでしょうか。
「この契約は公爵家と王家が交わした契約、
普通の婚約ではありませんわ。
それを破棄すると?こんな王子が未来の国をまとめるトップ。
この国の未来は大丈夫なのでしょうか?
私情により契約を守らないものに
外交、税、戦争の舵を任してもよろしいのでしょうか?
まして、今は新型感染症で医療機関は混乱状態。
自宅待機のまま亡くなる人さえ出てきている現状。
国民のために身を呈して働く時ではないのですか?
私は王様からの委任状を賜りまして、
この場をもって王子の廃嫡を宣言いたします!」
「お健やかにお過ごしくださいませ」
エッピング・フォレストに追放されたのは、悪役令嬢ではなく、
ハリー・バロン・デイヴィス第一王子と666の化身
マーガレット・ケイト・クラークだったのでございます。
さあ、新たな都市伝説の始まり。
キラキラとこぼれる木漏れ日の中を多くの家族が散歩やハイキングを
楽しんでいます。
かつてヘンリー8世やエリザベス1世の狩猟場でした。
夜以外はとても明るく整えられた森です。
でも、夜は……。
あれから半年後、まるとまるとした元気なかわいい男の子が生まれました。
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