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お届け物の娘です。ご賞味ください。8
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婚約者の平川 祐介さまのお義父さまの膵臓がんの
カミングアウトから何か月か過ぎた5月。
祐介さまのお義父さまは日増しにやせ細って
骨と皮だけになっていく。
末期がんのるいそう。
話には聞いたことがあるが、ここまでひどい状態になるとは
予想だにしていなかった。
それでも、予後不良な状態を自宅で過ごせることは、
本人にとっては願っても無い事なのだろう。
ホスピスとは、死が迫っている患者とその家族の苦痛を最小限にすることを主な目的とするケアのプログラムであり、またその概念を意味します。 米国では、ホスピスは、居住場所で重病患者を支援するために広く利用されている唯一の総合的プログラムです。 ホスピスプログラムは症状の軽減を優先し、診断検査や延命治療をほとんど行いません。
ターミナルケアとは、病気で余命がわずかになった方に対して行う、医療・看護的、介護的ケアのことです。 残りの余命を少しでも心穏やかに過ごせるように痛みや不安、ストレスを緩和し、患者様のQOL(クオリティオブライフ=自分らしい生活の質)を保つことを目的としています。
「芋ほり」と呼ばれる看護がある。
コロコロのうんちになって浣腸しても出て来ないから、
肛門に指を入れほじくり出す作業なのだが、
はじめは洋子もとまどった。
おしめ交換でさえどきどきした。
はじめてお義父さまの紙おむつを交換した時、
お義父さまの大切な部分が大きくなっていて、
目のやり場に困って真っ赤に成って下を向いたまま、
何も出来ないでいたりした。
そばに居たメイドさんが見かねて手早く処理をして下さったのだが、
祐介さまとの二人の甘い新婚生活を想像して、嫁いできたものだから
祐介さま以外の事で動揺する事が多すぎて、
対処できないでいた。
相変わらず、祐介さまは夜になると長めの散歩に行かれる。
それが、ただの散歩なのか、紗織さまの家に行かれているのか分からないから、
余計に重い空気が垂れこめる。
だって、洋子はまだ処女のままだったのだ。
籍は入れたのに、優しく髪を撫でてくださったり
眠るまでそばに居て話をしてくださる事はあっても、
抱いては貰えなかった。
紗織さまを愛しているからなのか、洋子を大切に思ってくださっているからなのか
真意をはかりかねていた。
5月26日の満月は、2021年で地球に最も近い満月で祐介さまと一緒に
みる事が出来たらと思っている。
「今夜は月が綺麗ですね」
なんて、夏目漱石みたいに言ってもらえたら
いろいろ苦労は多くてもやっぱりここに来てよかったと思えるかな。
皆既月食、例え月が見えなくなっても
月が無くなる訳じゃない。
紗織さまを通して、変化させてもらっているのかな。
柳の新緑がそよそよと風に吹かれたなびいている。
柳に雪折れ無し。
しなやかにたおやかに折れない心を培っていけたらうれしい。
通信制の高校の授業は時間を見つける訓練。
己を律し、出来る事としなきゃいけない事したいことを縦に並べ
優先順位をつけていく訓練。
小さな選択の一つ一つが習慣になり、
自分の人生を変えていく。
時には、あの柳の葉のように何も考えず
自由になびいてみるのもいいことなのかもしれない。
つっぱってばかりじゃ、続かないものね。
白無地のスタンドカラーに紺のジャケットがとてもよく似合う祐介さま。
褒めるところが増え行くのが嬉しかった。
祐介さまのねぎらいの言葉が心を潤してくれる。
「ありがとう」
あなたをそのまま受け入れるの。
人生は決して、
あらかじめ定められた、
すなわち、
ちゃんと出来上がった
一冊の本ではない。
各人がそこへ
一字一字書いていく
白紙の本だ
大杉栄「社会的理想論」
自分で選ぶ事が出来るんですよね。
今日一日を幾重にも重ねていく。
どんどん変化していく。
成長していく。
ありがとうございます。 pic.twitter.com/EljpDCOtY1
カミングアウトから何か月か過ぎた5月。
祐介さまのお義父さまは日増しにやせ細って
骨と皮だけになっていく。
末期がんのるいそう。
話には聞いたことがあるが、ここまでひどい状態になるとは
予想だにしていなかった。
それでも、予後不良な状態を自宅で過ごせることは、
本人にとっては願っても無い事なのだろう。
ホスピスとは、死が迫っている患者とその家族の苦痛を最小限にすることを主な目的とするケアのプログラムであり、またその概念を意味します。 米国では、ホスピスは、居住場所で重病患者を支援するために広く利用されている唯一の総合的プログラムです。 ホスピスプログラムは症状の軽減を優先し、診断検査や延命治療をほとんど行いません。
ターミナルケアとは、病気で余命がわずかになった方に対して行う、医療・看護的、介護的ケアのことです。 残りの余命を少しでも心穏やかに過ごせるように痛みや不安、ストレスを緩和し、患者様のQOL(クオリティオブライフ=自分らしい生活の質)を保つことを目的としています。
「芋ほり」と呼ばれる看護がある。
コロコロのうんちになって浣腸しても出て来ないから、
肛門に指を入れほじくり出す作業なのだが、
はじめは洋子もとまどった。
おしめ交換でさえどきどきした。
はじめてお義父さまの紙おむつを交換した時、
お義父さまの大切な部分が大きくなっていて、
目のやり場に困って真っ赤に成って下を向いたまま、
何も出来ないでいたりした。
そばに居たメイドさんが見かねて手早く処理をして下さったのだが、
祐介さまとの二人の甘い新婚生活を想像して、嫁いできたものだから
祐介さま以外の事で動揺する事が多すぎて、
対処できないでいた。
相変わらず、祐介さまは夜になると長めの散歩に行かれる。
それが、ただの散歩なのか、紗織さまの家に行かれているのか分からないから、
余計に重い空気が垂れこめる。
だって、洋子はまだ処女のままだったのだ。
籍は入れたのに、優しく髪を撫でてくださったり
眠るまでそばに居て話をしてくださる事はあっても、
抱いては貰えなかった。
紗織さまを愛しているからなのか、洋子を大切に思ってくださっているからなのか
真意をはかりかねていた。
5月26日の満月は、2021年で地球に最も近い満月で祐介さまと一緒に
みる事が出来たらと思っている。
「今夜は月が綺麗ですね」
なんて、夏目漱石みたいに言ってもらえたら
いろいろ苦労は多くてもやっぱりここに来てよかったと思えるかな。
皆既月食、例え月が見えなくなっても
月が無くなる訳じゃない。
紗織さまを通して、変化させてもらっているのかな。
柳の新緑がそよそよと風に吹かれたなびいている。
柳に雪折れ無し。
しなやかにたおやかに折れない心を培っていけたらうれしい。
通信制の高校の授業は時間を見つける訓練。
己を律し、出来る事としなきゃいけない事したいことを縦に並べ
優先順位をつけていく訓練。
小さな選択の一つ一つが習慣になり、
自分の人生を変えていく。
時には、あの柳の葉のように何も考えず
自由になびいてみるのもいいことなのかもしれない。
つっぱってばかりじゃ、続かないものね。
白無地のスタンドカラーに紺のジャケットがとてもよく似合う祐介さま。
褒めるところが増え行くのが嬉しかった。
祐介さまのねぎらいの言葉が心を潤してくれる。
「ありがとう」
あなたをそのまま受け入れるの。
人生は決して、
あらかじめ定められた、
すなわち、
ちゃんと出来上がった
一冊の本ではない。
各人がそこへ
一字一字書いていく
白紙の本だ
大杉栄「社会的理想論」
自分で選ぶ事が出来るんですよね。
今日一日を幾重にも重ねていく。
どんどん変化していく。
成長していく。
ありがとうございます。 pic.twitter.com/EljpDCOtY1
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