いとなみ

お届け物の娘です。ご賞味ください。6

食事が終わると、洋子と婚約者の平川 祐介さま　27歳は、

お義父さまの書斎に呼ばれた。

重厚な赤墨いろの家具で統一されたその部屋は、

大きな暖炉の前に揺り椅子が置かれ、

エンドテーブルの上に置かれた一輪挿しには、

水仙の花が活けてある。

そばに置かれた香炉から微かに甘めの香りが漂っていた。

案内された応接セットの葡萄色のソファーに座ると、

「急な話で驚いてるだろう。洋子さん?」

と、すまなさそうな顔をして話し始めた。

「実は、すい臓がんになってしまって

ステージ４で余命3か月と宣告されていしまったんだ」

「ええええええええええ」

「それで、せめて私が死ぬ前に祐介の結婚をと急いだのさ」

人はそれぞれ事情の中で、正義を掲げ生きている。

婚約者の祐介様は、お義父様に生き方が嫌で、

中学教師を選び、わざわざ辺鄙な無医村の場所に配属されたと噂で聞いている。

たくさんのお妾さんがいて、平川御殿と呼ばれるような生活をしていても、

多くの子供たちを認知はしていても、

あととりは、祐介さんにという噂さえまことしやかに流れていた。

祐介様もお父さまの病気の話を聞くのは初めてなのか

「セカンドオピニオンは?」

とか、真剣に質問している。

「相続の手続きの相談などもある。

できれば、家に戻ってきてもらえないだろうか」

「そして、わがままかもだが、

洋子さんにもこの家に寝泊まりしてほしい」

「様々な問題が起きるだろうが、

問題が起きることが問題ではなく、

その問題に二人でどう対処するかが問題なんだ」

余命いくばくもない父親が残してやれる唯一の遺産。

「生き様を見せるのが最大の財産だと思ってくれ」

と、深々と頭を下げられた。

とても、NOとは言えない重い思いを感じた。

祐介さんの顔をうかがうと、泣いているようだった。

洋子は深々と頭を下げると、

「ふつつかな娘ですが、よろしくお願いします」

と、言った。

「すまんな。無理を言って」

お義父さまは、嬉しそうに笑って答えられた。

15歳の娘の明るく楽しい青春は、ここから始まるのだろうか。

今年も会えたね

きれいだね

とってもかわいく撮れたよ

幸せと不幸せは50/50

何をフォーカスするか

どこにピントを合わせるかだよね

ほーら　

わたし色のバーチュルリアリティー

その健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、
これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか。