いとなみ

幸せな婚約破棄オンラインパーティー

　２０２０年、オンラインクリスマスパーティー。

３蜜避けて、５つの小で、それでも年の瀬を誰かと絡んで過ごしたい

人たちの結構親しい間からの集いだった。

宴たけなわ。

静かに音楽が流れ、

何かのドラマのセリフかと思うような場面が流れてくる。

「お前なんか、人間便器でもやってればいいんだよ」

「うう」

泣いているのかうめき声が聞こえる。

「ほら、これでも飲んでな」

そばにいる女の人たちが、

「女王様のおしょうすいだよ」

「口を開けるんだよ」

「お前が、真木 俊文さまと婚約するなんて、

１００年早いんだよ」

無理やり口を開けさせているのか、

頭を強く降っているらしく何かとこすれる音がする。

ちょぼじょぽ。

液体が流れる音が聞こえる。

そこに集ったみんなが一体何が起きてるのかわからず、

聞き耳を立てている。

映像が流れる。

高校の制服を着た４人組が一人の女の子を縛り、

羽交い絞めにしている。

なかなかよくできた作品だった。

「ちょ、これなに」

動画の終わりにテロップが流れる。

とある女子高校生たちの危険な遊び。

「これ、あなたの婚約者のさきちゃんでしょう」

だれかが、悲鳴ともとれるような驚きの声で叫ぶ。

「これ、実話?」

このめでたい、婚約披露パーティーに心からの贈り物です。

あなたが、わたしと婚約破棄して、あらたにさきさんと婚約しようとしていることは、

すでに情報が入っていたので、

特別プレゼントをご用意させていただきました。

「うそよ、これ、お芝居でしょう」

必死で叫んでいるさきさん。

ご愁傷さま。

お幸せにお暮しください。

新年早々、さきさんご一家は引っ越しをされました。

彼女の行き先を気にする人は、ほとんどいませんでした。

わたくしは、晴れて自由の身となり、生きていくためのスキルを

身に着けようと思うのです。

ありがとうございました。

ご自愛くださいませ。