いとなみ

復讐 Vengeance 成人式

　わたくし、元山 澪(もとやま　みお)と、

婚約者　梅津 修司(うめず　しゅうじ)様は幼馴染で

子供のころから結婚が決まっておりました。

中学くらいまではうまくいっていたのです。

一緒に図書館に行ったり、同じ塾に通ったり

登下校もご一緒させてもらって

それはそれは楽しい学園生活を送っていました。

田舎のおばあちゃんちに二人で出かけ、

田植えを手伝ったり、稲刈りしたり、

ゆずの収穫も楽しかったな。

沖縄に遊びに行った時も、広い空に水平線がきらめいて

白い砂浜を無邪気に追いかけっこしたりして、

素敵な青春を送っていました。

潮騒が耳に心地よかったな。

海風が鼻をくすぐります。

キラキラと水面が輝いて

地球のすばらしさを心から堪能していました

彼の家に、神野 和香奈さんというお手伝いさんが来てから、

彼は、人が違うようになりました。

性的なことにものすごく興味を示し、

わたしくしが、敬虔なクリスチャンで

結婚外の性行動は禁じられているのを

知っているのに度々、誘惑してくるようになりました。

高校1年の夏休みに彼はわたくしの初めてを強引に奪ったうえ、

その後、いくら連絡をしても無視されるようになりました。

性的なことに関しては、何も知りませんでしたから

自分が一体何をされたのか、何も知らなかったのです。

ただ、彼の熱いものが体の中に入ってきて

愛されているというよりは獣のようにわたくしの上で

遊戯無双をしているという感じでした。

だんだん、わたくしも大人になってきて自分が何をされ、

今どういう立場なのかもわかってまいりました。

要するに、わたくしは、

結婚前に婚約者からクリスチャン会衆を排斥になるようなことをされたのです。

処女であることには、価値があり、

貞潔な*処女として差し出したい

男性と関係を持ったことはなかった。

という言葉で、聖書の中にも表現されています。

わたくしは、処女ではなくなったうえに、

婚約を破棄されるかもしれないという恐怖と

この何年間か戦ってきました。

わたくしに対して、そんな扱いをする人と結婚したくもないし、

仮に結婚できたとしてもぞんざいに扱われて、

互いに愛を紡ぎあい、幸せになることはかなわないと思うのです。

きょうは、成人式です。

彼もきっと来るはずです。

そして、何もなかったかのように

わたくしの婚約者としてふるまうことでしょう。

婚約者　梅津 修司さま、わたくしは以前のようにな

無垢の子供のようではありませんの。

十分に不安と苦しみと悲しみによって研ぎ澄まされた

悪役令嬢のような冷酷さを身に着けてまいりました。

抱擁、ノーマスク…混雑する成人式　係員が呼びかけても

2021年1月11日 9時10分

そうです。

3蜜避けて５つの小

のすべて逆を行こうと思うのです。

わたくしからの心からのプレゼントでございます。

式の会場は、3.4人で群れを成し、

できるだけソーシャルディスタンスを保ちながら

久しぶりの再会を楽しんでいる。

あでやかな振袖を身にまとって、

花になれるひと時を喜んでいる。

ほとんどの人が、白のもふもふのショールを身に着けているのは

少し滑稽でした。

式の後に、二人でカラオケを楽しみ、

甘い濃密なキスを交わします。

もちろん、イギリスからの感染力の高いウィリス入りの

熱い決して忘れることのできない口づけなのです。

そして、これから3日間、二人は葉山の別荘に行く予定になっております。

そこで、あなたが発熱し、せき込み、鼻水にまみれ、

ウイルスに侵されていく様をじっくりと観察するのでございます。

大丈夫ですよ。検査の予定もしっかり、4日後に入れておきますね。

その時には、すでに手遅れでしょうけど。

この試練に耐えられる免疫力があなたに備わっていますように。

神野 和香奈さんによりかけられた、性の奴隷魔法、それとも暗示?

見事打ち取ることができますように。

そして、元の優しい梅津 修司さまに戻ることができますように。

全身全霊をかけて、望む所存です。

応援、ありがとうございます。

わたくしの最強の技のアガペの愛です。

いざ、勝負!!

わたくしには、免疫があります。

別荘の従者たちも免疫があるものだけを残し、本宅に退去させております。

一日目　味覚・嗅覚異常

「なんか、味がよくわからない」

と、朝食の鮭の塩焼き、ほうれん草の味噌汁、きんぴらごぼう、

ふろふき大根、海苔のつくだ煮、厚焼き玉子、豆苗のおしたし

を食べた後に呟いていらっしゃいました。

新型感染症の初期症状が始まっているようでございます。

2日目　頭痛、頭重

「なんか頭にもやがかかっているように重い。痛い><」

3日目　悪寒、発熱

「寒気が止まらない」

熱も37.8℃

頭寒足熱、ゆたんぽを入れ、アイスノンでわきの下と頭を冷やしています。

筋肉痛・疲労感

「だるい」

咳・息切れ・呼吸困難感

ものすごい速さで、重篤化しています。

乗り切ってください。

ミントオイルで少しでも楽になれますように。

祈ります。

「誘惑に陥らぬよう目を覚し，かつ祈れ」― マタイ 26:41

この邪悪な事物の体制の神である悪魔は，わたしたちの欲望に付け込んで，

不完全な人間に共通の誘惑を仕掛けてきます。（コリ一 10:8，13）

「わたしたちは，あらゆる面で圧迫されながらも，動きが取れないほど締めつけられているわけではなく，困惑させられながらも，逃れ道が全くないわけではなく，迫害されながらも，見捨てられているわけではなく，倒されながらも，滅ぼされているわけではありません」― コリント第二 4:8，9。

必ず、逃れ道を備えてくださるのです。

「修司さん、あなたはどうしたいの」

「君を大切にできる人になりたい。すまんなー」

ああ、これが彼の本音です。

あとは、体が打ち勝てばいいだけなのです。

はーはーと鰐呼吸をしています。

内臓が腐っているのではないかと思うほど、

吐く息が臭い。

体の中で、ウイルスと戦い、

心で女を好きに扱いたいというおぞましい欲望と戦闘をしているのです。


とても辛そうでございます。

いよいよですね。

ココロカラオイノリイタシマス。


あれから、1か月が過ぎ、新型感染症から無事に生還することができました。

また二人の楽しい生活に戻れると思っていたのですが、

開口一番、

「やっぱり、神野 和香奈がいい」


うわーん。

ありがとうございました。