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悪役令嬢 Happy Halloween
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「わたくしアラン・ド・ステヴナンは、悪役令嬢 毒子を婚約破棄する」
周囲には、アラン・ド・ステヴナン様を助け出した悪霊たちが渦巻いている。
没落セレブであるアラン・ド・ステヴナンさまを、
あろうことか悪役令嬢 毒子は監禁していたのである。
悪役令嬢 毒子は、カーテシーをし、
「理由は?」
と、穏やかに問う。
「悪役令嬢 毒子は、わたくしアラン・ド・ステヴナンを
1週間にわたり、不法に監禁したからである」
「アラン・ド・ステヴナンさまは、監禁から解かれて
お幸せなんですね」
「ああ」
「本当によろしいんですね」
「わかりました。今後一切何があろうと、
アラン・ド・ステヴナン様とかかわることはいたしません。
ありがとうございました」
丁寧にお辞儀をすると、悪役令嬢 毒子はブローニュの森の
ヌイイ=シュル=セーヌ境界付近にあるヴィラ・ウィンザーへと向かった。
10月31日は、ハロウィンである。
さまざまな悪霊たちがよみがえる。
悪役令嬢 毒子がアラン・ド・ステヴナンを監禁したのには
理由があった。
彼が、ヘビースモーカーで、
それでなくても、没落セレブで収入がないのに、
家計を圧迫するばかりか、最近では新型感染症かと思うよな
咳をしていた。
気管支喘息なのである。
数週間は抜けない、タバコを吸う習慣。
タバコは、この10月1日から50円も1箱につきあがった。
一日に3箱くらい吸うアラン・ド・ステヴナンさま、
タバコ代だけで、1ヶ月で50400円なのである。
フリーランスのWEBライターの募集に
何度も応募しているが、今のところ働き口もない。
ウーバーイーツ○の宅配の仕事もがんばろうとしているのだが、
自転車で配達中に咳き込んでしまって仕事にならない。
働かざるもの食うべからず!!
である。
Go To トラベル、Go To Eatキャンペーンどころではない。
残り少ない財産も風前の灯なのである。
見るに見かねて、悪役令嬢 毒子はアラン・ド・ステヴナンさまを
監禁したのだが、悪霊たちが光の使いに変容して
助け出してしまった。
あげくに、
【危険】ストロングゼロはロンドンの『超』社会問題となった
”ジンクレイズ”を現代に再現しようとしている
とまでいわれている口当たりのよいアルコール度数の高いお酒を
ふんだんに与えてしまったのである。
馬を水のみ場までは連れて行けるが、
水を飲むか飲まないかは馬しだいなのである。
雲の切れ目からは、吸血こうもりがはばたき、
月のしずくが血の滴りのようにぽたりぽたり。
ざくろは真っ赤に大きく実り、ぱっくりと口を開けて、
人間の血肉のように赤いルビーを光らせている。
仮装した子どもたちが近隣の家を回り、
「トリックオアトリート!」といってお菓子をねだる。
「くれなければいたずらをする」習慣を遂行するのだ。
包帯を巻いたミイラや13禁のジェィソン○や
エルム害の悪夢のフレディ○、ドラキュラがぞろぞろとのし歩いている。
かぼちゃは笑い、ほうきに乗った魔女が空を飛びまわっている。
焼け焦げた木、不気味な森のように今にも手が伸びてつかまりそう。
いくつもの骸骨がぶらぶらとぶら下がり、
時折、骸骨が高らかに笑う。
「いひひひひ」
おぞましい。
こんなイベントを誰が考えたんだろう。
あれから、2ヶ月。
もうすぐお正月というころ、
アラン・ド・ステヴナンさまは、急性すい臓炎と肺気腫、ならびに肝硬変で
緊急入院をされた。
汚名覚悟で、婚約者を助けようとした悪役令嬢 毒子は、
悪魔ルシファーの策略により、まんまと婚約破棄させられてしまったのである。
アラン・ド・ステヴナンさまのお見舞いに行くと、
やせ衰え、精気のない土気色の弾力のない肌でベッドに横になっておられる。
タバコの束買うて!
まだ、いうか><
災いに遭うのは誰か。不安を抱くのは誰か。
言い争うのは誰か。不平を言うのは誰か。
訳もなく傷を負うのは誰か。目がうつろなのは誰か。
ぶどう酒をだらだらと飲む人,
香料を混ぜたぶどう酒を探し出す人だ。
ぶどう酒の赤色を見てはならない。
それは杯の中できらめき,滑らかに流れる。
それは最後には蛇のようにかみ,
毒蛇のように毒を分泌する。
目は異様なものを見,
心はゆがんだことを話す。
そして,海の真ん中に横たわっている人のように,
帆柱のてっぺんに横たわっている人のようになる。
「たたかれたが,気付かなかった。
殴られたが,分からなかった。
私はいつ目覚めるだろうか。
もう1杯飲もう」。
禁断が解けたら、伊豆の『月のうさぎ』に旅行に行こうと思っていたのにな。
大海原と伊豆大島の大パノラマを眼前に
臨むことができる極上の景色に感動できることを
楽しみにしていたのにな。
すべての離れに絶景の露天風呂がある
素晴らしい温泉。
天気がよければ、朝日が織り成す「もうひとつの絶景」
を見ることもできる。
古民家調の離れで癒しのひと時を堪能できる。
アラン・ド・ステヴナンさまのニコチン依存の克服をねぎらい、
認め、ほめ、励まして次の希望へとつなげるはずだった。
予定は未定。
仕方ない。
一人で日本に戻ります。
伊豆の四大食材を目と舌と鼻と耳で堪能してきます。
あうう、のどを音楽隊が通ります。
イセエビの頭はさっとあぶって味噌汁にしてもらいました。
香ばしい。おいしい。
大好きなあわびのわたが、たまらなく好き。
イセエビ、キンメダイのお刺身も舌の上で踊ります。
トレビアン。
周囲には、アラン・ド・ステヴナン様を助け出した悪霊たちが渦巻いている。
没落セレブであるアラン・ド・ステヴナンさまを、
あろうことか悪役令嬢 毒子は監禁していたのである。
悪役令嬢 毒子は、カーテシーをし、
「理由は?」
と、穏やかに問う。
「悪役令嬢 毒子は、わたくしアラン・ド・ステヴナンを
1週間にわたり、不法に監禁したからである」
「アラン・ド・ステヴナンさまは、監禁から解かれて
お幸せなんですね」
「ああ」
「本当によろしいんですね」
「わかりました。今後一切何があろうと、
アラン・ド・ステヴナン様とかかわることはいたしません。
ありがとうございました」
丁寧にお辞儀をすると、悪役令嬢 毒子はブローニュの森の
ヌイイ=シュル=セーヌ境界付近にあるヴィラ・ウィンザーへと向かった。
10月31日は、ハロウィンである。
さまざまな悪霊たちがよみがえる。
悪役令嬢 毒子がアラン・ド・ステヴナンを監禁したのには
理由があった。
彼が、ヘビースモーカーで、
それでなくても、没落セレブで収入がないのに、
家計を圧迫するばかりか、最近では新型感染症かと思うよな
咳をしていた。
気管支喘息なのである。
数週間は抜けない、タバコを吸う習慣。
タバコは、この10月1日から50円も1箱につきあがった。
一日に3箱くらい吸うアラン・ド・ステヴナンさま、
タバコ代だけで、1ヶ月で50400円なのである。
フリーランスのWEBライターの募集に
何度も応募しているが、今のところ働き口もない。
ウーバーイーツ○の宅配の仕事もがんばろうとしているのだが、
自転車で配達中に咳き込んでしまって仕事にならない。
働かざるもの食うべからず!!
である。
Go To トラベル、Go To Eatキャンペーンどころではない。
残り少ない財産も風前の灯なのである。
見るに見かねて、悪役令嬢 毒子はアラン・ド・ステヴナンさまを
監禁したのだが、悪霊たちが光の使いに変容して
助け出してしまった。
あげくに、
【危険】ストロングゼロはロンドンの『超』社会問題となった
”ジンクレイズ”を現代に再現しようとしている
とまでいわれている口当たりのよいアルコール度数の高いお酒を
ふんだんに与えてしまったのである。
馬を水のみ場までは連れて行けるが、
水を飲むか飲まないかは馬しだいなのである。
雲の切れ目からは、吸血こうもりがはばたき、
月のしずくが血の滴りのようにぽたりぽたり。
ざくろは真っ赤に大きく実り、ぱっくりと口を開けて、
人間の血肉のように赤いルビーを光らせている。
仮装した子どもたちが近隣の家を回り、
「トリックオアトリート!」といってお菓子をねだる。
「くれなければいたずらをする」習慣を遂行するのだ。
包帯を巻いたミイラや13禁のジェィソン○や
エルム害の悪夢のフレディ○、ドラキュラがぞろぞろとのし歩いている。
かぼちゃは笑い、ほうきに乗った魔女が空を飛びまわっている。
焼け焦げた木、不気味な森のように今にも手が伸びてつかまりそう。
いくつもの骸骨がぶらぶらとぶら下がり、
時折、骸骨が高らかに笑う。
「いひひひひ」
おぞましい。
こんなイベントを誰が考えたんだろう。
あれから、2ヶ月。
もうすぐお正月というころ、
アラン・ド・ステヴナンさまは、急性すい臓炎と肺気腫、ならびに肝硬変で
緊急入院をされた。
汚名覚悟で、婚約者を助けようとした悪役令嬢 毒子は、
悪魔ルシファーの策略により、まんまと婚約破棄させられてしまったのである。
アラン・ド・ステヴナンさまのお見舞いに行くと、
やせ衰え、精気のない土気色の弾力のない肌でベッドに横になっておられる。
タバコの束買うて!
まだ、いうか><
災いに遭うのは誰か。不安を抱くのは誰か。
言い争うのは誰か。不平を言うのは誰か。
訳もなく傷を負うのは誰か。目がうつろなのは誰か。
ぶどう酒をだらだらと飲む人,
香料を混ぜたぶどう酒を探し出す人だ。
ぶどう酒の赤色を見てはならない。
それは杯の中できらめき,滑らかに流れる。
それは最後には蛇のようにかみ,
毒蛇のように毒を分泌する。
目は異様なものを見,
心はゆがんだことを話す。
そして,海の真ん中に横たわっている人のように,
帆柱のてっぺんに横たわっている人のようになる。
「たたかれたが,気付かなかった。
殴られたが,分からなかった。
私はいつ目覚めるだろうか。
もう1杯飲もう」。
禁断が解けたら、伊豆の『月のうさぎ』に旅行に行こうと思っていたのにな。
大海原と伊豆大島の大パノラマを眼前に
臨むことができる極上の景色に感動できることを
楽しみにしていたのにな。
すべての離れに絶景の露天風呂がある
素晴らしい温泉。
天気がよければ、朝日が織り成す「もうひとつの絶景」
を見ることもできる。
古民家調の離れで癒しのひと時を堪能できる。
アラン・ド・ステヴナンさまのニコチン依存の克服をねぎらい、
認め、ほめ、励まして次の希望へとつなげるはずだった。
予定は未定。
仕方ない。
一人で日本に戻ります。
伊豆の四大食材を目と舌と鼻と耳で堪能してきます。
あうう、のどを音楽隊が通ります。
イセエビの頭はさっとあぶって味噌汁にしてもらいました。
香ばしい。おいしい。
大好きなあわびのわたが、たまらなく好き。
イセエビ、キンメダイのお刺身も舌の上で踊ります。
トレビアン。
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