いとなみ

悪役令嬢 毒子 婚約破棄上等

　アーハヴァー王子の24歳の誕生日。

盛大に宴が催されていた。

わたくし、悪役令嬢　毒子は大好きなアーハヴァー王子から、

婚約破棄されるらしい><

ヘブライ語で前述のさまざまな意味の

愛を表わす語としておもに用いられたのは，

動詞アーヘーヴまたアーハヴ（「愛する」），

および名詞アーハヴァー（「愛」）です。

亜麻布と上等の綿布と青布が，

大理石の柱，銀の輪に，上等の織物，

紫の羊毛の綱でしっかり取り付けられていた。

また，金や銀でできた寝椅子が，斑岩や大理石，

真珠，黒大理石を敷いた床の上に置かれていた。

「悪役令嬢　毒子、

わたくしアーハヴァーはそなたとの婚約を破棄する」

ぐすん。大好きなのに。

みると、王子のそばには、可愛い女の子がいる。

最近、東方の国から引っ越してこられた身分の高い方の

娘とか。

わたくし以外に好きな人ができたということなのね。

OK。それならそれで、こっちにも考えがある。

アーハヴァー王子のそばにいる女の子、美緒様を

雪の結晶が取り囲む。

大広間に室内なのに、雪が舞う。

きらきらとダイヤモンドダストが降り、

白い冷気が美緒様を取り囲む。

一瞬にして美緒さまは凍り付いてしまった。

「な、なにをする」

毒子がやったとはわからないように

大きなソファーに身を隠した。

美緒さまは氷の柱になってしまわれた。

それから、一年後、美緒様を失った悲しみも癒えたのか、

アーハヴァー王子は毒子に何もなかったかのように

笑いかけてくださる。

嬉しい。

毒子は、アーハヴァー王子が大好き。

ところが、安堵したのもつかの間、

またしても王子のそばにいつも可愛い女の子がいる。

瑠奈さま。

美緒さまよりもはつらつとした女の子。

二人はみつめあって、仲がとってもよさそう。

「ううう、またしても」

瑠奈様の周りに雪が降る。雪の結晶が舞い、

ダイヤモンドダストがきらきらと降りてくる。

瑠奈様はベールをまとうように白い冷気に取り囲まれる。

とうとう、瑠奈様は氷に柱になってしまう。

こうして、アーハヴァー王子が何人可愛い女性を連れてこようとも、

氷の柱になってしまい、誰とも結婚することはできなかった。

「あなたがいけないのよ」

嬉しそうに楽しそうに笑みを浮かべて、

悪役令嬢　毒子は静かにたたずむ。

いつまでも結婚できないアーハヴァー王子と王様は困って、

賢者エステルに相談した。

エステルは、微笑みながら自信たっぷりに

「簡単なことでございます。

一夫多妻にして、悪役令嬢　毒子を第一王妃に

すればよいのでございます」

王もアーハヴァー王子も得心してそのようにした。

つまらんニュースに、妻乱入っす！

無事に婚約破棄は取り消され、

大好きなアーハヴァー王子の妻になれた毒子。

毒子の術も解けて結婚式が終わったときには、

氷の柱はみな解除され、

アーハヴァー王子は、12人の夫になりましたとさ。

めでたしめでたし。