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春秋花壇

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結婚式準備は忙しい

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「あーあ」

大きなあくび一つ。

金澤 修一 28歳。会社経営。

石黒 早紀 22歳。会社員。

2年の交際期間を経て、婚約中。

今、結婚式の準備に忙しい。

お気に入りのモノトーンの家具に

囲まれて、マグカップのコーヒーをすすりながら

パソコンに向かって予定を立てている。

結婚式場の情報収集を開始する

式場のブライダルフェアに参加する

式場決定の条件を洗い出す

同棲して、入籍して、写真とって、

まあ、両親に報告して。

そんな風に簡単に考えていた。

ところが、結婚は家と家の大切な行事とか周りからいろいろ言われて、

必要な費用もどんどん膨れ上がっていく。

式場選びひとつ、大変な作業だ。

そりゃあ、250万円も払うのだから、

イベントとして小さくないよな。

ああ、めんどくせー。

どんどんマリッジブルーになっていく。

結婚式の費用は平均で316.5万円。

招待客50人未満でこのお値段。

ひーーーだよな。

どんだけ~♪って感じだよね。

二人で話し合って、一つ一つ決めていく。

この段階で、学べることも築き上げる事柄も多いのだろうが、

式場選びだけをして生活しているわけじゃないから、

もういい加減、うんざり。

俺、結婚やめようかな。

めんどくせー。

そう思ってしまう俺は、彼女に対して無責任なのかな。

大体、普通のサラリーマンが結婚適齢期で、

新居の準備、結婚式とお金をためているもんなのか?

忙しいという字は、心を亡くすと書く。

心が死んでしまうのだ。

仕事も新型感染症のせいで、かつてないほど、

奇妙な状態。

思うように人と会えないし、

会っても接待できないし、

情報交換や交友を深めることさえ難しい。

挙句にソーシャルディスタンスを保ちながらの結婚式、披露宴、

物理的に無理だろう。

と、俺らしくもなくぶつぶつ言っていた。

PAUL SMITH ポールスミス メンズカジュアルシャツ

PAUL SMITH メンズクルーネックセーター

秋冬用に新しく、ネットで注文した。

いつの日か、通勤という言葉もなくなったりして

リモートで入社式を終え、リモートで働き、リモートで退社する。

そんな世の中になっていくのかもしれない。

部屋の観葉植物に水をやる。

霧吹きもして、手入れ終了。

お昼は何にするかな。

昨日、スミイカが3杯100円だった。

6杯買ってきたので、下処理をして煮付けにする。

おくらはさっと塩茹でにして、鰹節をかけておしたしに。

イカ、カニともに、生きている個体は「匹」と数えるが、

美味しい食材・食用としてお店の店頭に並ぶと「杯」と数えるそうだ。

安くてうまい。使った食器の片づけをしていたら、

彼女からLINE。

「今、忙しい?」

「いや、大丈夫だよ」

「結婚式、延ばしてもらいたいんだけど」

「って、式場まだ決まってないじゃん」

「そうか……」

「どうした?」

「ていうか、結婚そのものを伸ばして欲しい」

「ああ、いいよ。なにかあった?」

「うん、ちょっと……」

「時間作るから、今度ゆっくり聞かせて」

「う・ん」

なんか、へん。

以心伝心できるほど、仲がいいわけじゃないのにな。

1週間くらいたったとき、彼女からLINE。

「わたし、他の人と結婚したいの?」

「え?」

「この前、ばったり会った同級生がいて、

前から相思相愛だったみたいなんだけど、

お互いに言い出せなくて」

「そうか、それでお前が幸せなのならいいよ。

おめでとう」

「うん、ありがとう。ごめんね」

結婚式ひとつするのに、あんなに時間と手間をかけたのに、

破局は一言で終わりなのか。

なんだかあっけなさ過ぎて、

俺はちと拍子抜けしてしまった。

それにこんな大切なことをLINEで決めるってのもな~♪

「相手はどんな人?」

「うーん、謎めいているの」

「ほー」

「クールで謎めいたかっこ良い雰囲気をまとっている人」

「お前が幸せになれるのなら、俺は喜んで身を引くよ」

「ごめんね」

すっかり、俺とは別れる気になってるみたいだ。

ところが、ひょんなことから彼女の結婚したい男性が明らかになる。

「お前の彼女、昨日、歌舞伎町にいたよ」

「誰かと一緒?」

「ホストみたいなちゃらいやつと一緒だった」

「そうか、ありがとうな」

気にとめないふりをして、親友とは別れたのだが、

やっぱり気になる。

探偵事務所に頼んで調べてもらった。

やはり、親友の言ったとおり、

彼女の彼はホストとして勤めているみたい。

彼女にも、転ぶ権利があると、

俺はそのまま放置する。

去るものは追わずだ。

黄色のバラが艶やかに咲き始めた。

柔らかな花弁。

西洋では、黄色はキリストを裏切ったユダがまとっていた色とされていることから、

黄色い花の花言葉は全体的にネガティブ。

恋人に贈ると、決別を告げるメッセージとなってしまう。

黄色のバラの花言葉は、別れよう。

婚約が成立している場合、

男女は互いに誠実に交際する義務(誠実交際義務)がある。

債務不履行じゃないよね。

両家に結婚の挨拶と報告をする
結納・顔合わせをする
衣裳の試着
前撮りの準備&撮影
結婚指輪を購入
結婚式のテーマを決める
結婚式でやりたいこと(演出など)をリストアップする
招待状を送るための準備
用意するアイテム(ウェルカムボードなど)をリストアップする
二次会の会場・幹事決定

衣装の決定
招待状準備&発送
挨拶・受付・余興を正式に依頼する
ウェディングアイテム(ペーパーアイテムなど)の準備にとりかかる
挙式・披露宴の具体的なプログラムを考える
装花のイメージを考え始める
ブーケのイメージを考え始める
引き出物のイメージを考え始める

アクセサリー・ウェディングシューズなどの小物決定
ヘア・メイクなどイメージを完成させる
結婚式・二次会招待ゲストの出欠確認
ゲストの席配置を考える
BGMを決める
料理・ドリンクを決める
ウェディングケーキを決める
装花を決定する
ブーケを決定する
引き出物を決定する
宿泊の手配
交通の手配

衣装の最終フィッティング
メイクリハーサル
お礼・心づけ・お車代を準備
ウェディングアイテム(ペーパーアイテムなど)完成
ブライダルネイル
ブライダルエステ
式場とコーディネートのイメージすり合わせをする
持ち込みアイテムを式場に搬入
スピーチや手紙などの原稿完成
最終打ち合わせ
費用をお支払いする

席次表に、出席していただいたゲストの氏名などにミスがあると大変失礼に当たる。 

席次表の印刷のタイミングは、早すぎず遅すぎても失敗の原因となるので、

会場への提出日の1週間前を目安に作成することをおすすめ。

結婚式準備を楽しめる人と結婚できたらいいな

きっと、出会えるよね

一つずつ一緒に進んでいける人

悪い妻を手に入れる男性は、たいがい結婚を急ぎ過ぎた人。

よい妻を得られるなら、いくら結婚が遅れても、遅すぎることはない。


スマホの君の写真に

そっと口付ける

愛していたよ

ありがとう

震える心

潤む瞳

ストロングチューハイが

のどを通過する

今夜もそっとこのままで

何もなかったことにはできないよな






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