64 / 1,193
結婚式準備は忙しい
しおりを挟む
「あーあ」
大きなあくび一つ。
金澤 修一 28歳。会社経営。
石黒 早紀 22歳。会社員。
2年の交際期間を経て、婚約中。
今、結婚式の準備に忙しい。
お気に入りのモノトーンの家具に
囲まれて、マグカップのコーヒーをすすりながら
パソコンに向かって予定を立てている。
結婚式場の情報収集を開始する
式場のブライダルフェアに参加する
式場決定の条件を洗い出す
同棲して、入籍して、写真とって、
まあ、両親に報告して。
そんな風に簡単に考えていた。
ところが、結婚は家と家の大切な行事とか周りからいろいろ言われて、
必要な費用もどんどん膨れ上がっていく。
式場選びひとつ、大変な作業だ。
そりゃあ、250万円も払うのだから、
イベントとして小さくないよな。
ああ、めんどくせー。
どんどんマリッジブルーになっていく。
結婚式の費用は平均で316.5万円。
招待客50人未満でこのお値段。
ひーーーだよな。
どんだけ~♪って感じだよね。
二人で話し合って、一つ一つ決めていく。
この段階で、学べることも築き上げる事柄も多いのだろうが、
式場選びだけをして生活しているわけじゃないから、
もういい加減、うんざり。
俺、結婚やめようかな。
めんどくせー。
そう思ってしまう俺は、彼女に対して無責任なのかな。
大体、普通のサラリーマンが結婚適齢期で、
新居の準備、結婚式とお金をためているもんなのか?
忙しいという字は、心を亡くすと書く。
心が死んでしまうのだ。
仕事も新型感染症のせいで、かつてないほど、
奇妙な状態。
思うように人と会えないし、
会っても接待できないし、
情報交換や交友を深めることさえ難しい。
挙句にソーシャルディスタンスを保ちながらの結婚式、披露宴、
物理的に無理だろう。
と、俺らしくもなくぶつぶつ言っていた。
PAUL SMITH ポールスミス メンズカジュアルシャツ
PAUL SMITH メンズクルーネックセーター
秋冬用に新しく、ネットで注文した。
いつの日か、通勤という言葉もなくなったりして
リモートで入社式を終え、リモートで働き、リモートで退社する。
そんな世の中になっていくのかもしれない。
部屋の観葉植物に水をやる。
霧吹きもして、手入れ終了。
お昼は何にするかな。
昨日、スミイカが3杯100円だった。
6杯買ってきたので、下処理をして煮付けにする。
おくらはさっと塩茹でにして、鰹節をかけておしたしに。
イカ、カニともに、生きている個体は「匹」と数えるが、
美味しい食材・食用としてお店の店頭に並ぶと「杯」と数えるそうだ。
安くてうまい。使った食器の片づけをしていたら、
彼女からLINE。
「今、忙しい?」
「いや、大丈夫だよ」
「結婚式、延ばしてもらいたいんだけど」
「って、式場まだ決まってないじゃん」
「そうか……」
「どうした?」
「ていうか、結婚そのものを伸ばして欲しい」
「ああ、いいよ。なにかあった?」
「うん、ちょっと……」
「時間作るから、今度ゆっくり聞かせて」
「う・ん」
なんか、へん。
以心伝心できるほど、仲がいいわけじゃないのにな。
1週間くらいたったとき、彼女からLINE。
「わたし、他の人と結婚したいの?」
「え?」
「この前、ばったり会った同級生がいて、
前から相思相愛だったみたいなんだけど、
お互いに言い出せなくて」
「そうか、それでお前が幸せなのならいいよ。
おめでとう」
「うん、ありがとう。ごめんね」
結婚式ひとつするのに、あんなに時間と手間をかけたのに、
破局は一言で終わりなのか。
なんだかあっけなさ過ぎて、
俺はちと拍子抜けしてしまった。
それにこんな大切なことをLINEで決めるってのもな~♪
「相手はどんな人?」
「うーん、謎めいているの」
「ほー」
「クールで謎めいたかっこ良い雰囲気をまとっている人」
「お前が幸せになれるのなら、俺は喜んで身を引くよ」
「ごめんね」
すっかり、俺とは別れる気になってるみたいだ。
ところが、ひょんなことから彼女の結婚したい男性が明らかになる。
「お前の彼女、昨日、歌舞伎町にいたよ」
「誰かと一緒?」
「ホストみたいなちゃらいやつと一緒だった」
「そうか、ありがとうな」
気にとめないふりをして、親友とは別れたのだが、
やっぱり気になる。
探偵事務所に頼んで調べてもらった。
やはり、親友の言ったとおり、
彼女の彼はホストとして勤めているみたい。
彼女にも、転ぶ権利があると、
俺はそのまま放置する。
去るものは追わずだ。
黄色のバラが艶やかに咲き始めた。
柔らかな花弁。
西洋では、黄色はキリストを裏切ったユダがまとっていた色とされていることから、
黄色い花の花言葉は全体的にネガティブ。
恋人に贈ると、決別を告げるメッセージとなってしまう。
黄色のバラの花言葉は、別れよう。
婚約が成立している場合、
男女は互いに誠実に交際する義務(誠実交際義務)がある。
債務不履行じゃないよね。
両家に結婚の挨拶と報告をする
結納・顔合わせをする
衣裳の試着
前撮りの準備&撮影
結婚指輪を購入
結婚式のテーマを決める
結婚式でやりたいこと(演出など)をリストアップする
招待状を送るための準備
用意するアイテム(ウェルカムボードなど)をリストアップする
二次会の会場・幹事決定
衣装の決定
招待状準備&発送
挨拶・受付・余興を正式に依頼する
ウェディングアイテム(ペーパーアイテムなど)の準備にとりかかる
挙式・披露宴の具体的なプログラムを考える
装花のイメージを考え始める
ブーケのイメージを考え始める
引き出物のイメージを考え始める
アクセサリー・ウェディングシューズなどの小物決定
ヘア・メイクなどイメージを完成させる
結婚式・二次会招待ゲストの出欠確認
ゲストの席配置を考える
BGMを決める
料理・ドリンクを決める
ウェディングケーキを決める
装花を決定する
ブーケを決定する
引き出物を決定する
宿泊の手配
交通の手配
衣装の最終フィッティング
メイクリハーサル
お礼・心づけ・お車代を準備
ウェディングアイテム(ペーパーアイテムなど)完成
ブライダルネイル
ブライダルエステ
式場とコーディネートのイメージすり合わせをする
持ち込みアイテムを式場に搬入
スピーチや手紙などの原稿完成
最終打ち合わせ
費用をお支払いする
席次表に、出席していただいたゲストの氏名などにミスがあると大変失礼に当たる。
席次表の印刷のタイミングは、早すぎず遅すぎても失敗の原因となるので、
会場への提出日の1週間前を目安に作成することをおすすめ。
結婚式準備を楽しめる人と結婚できたらいいな
きっと、出会えるよね
一つずつ一緒に進んでいける人
悪い妻を手に入れる男性は、たいがい結婚を急ぎ過ぎた人。
よい妻を得られるなら、いくら結婚が遅れても、遅すぎることはない。
スマホの君の写真に
そっと口付ける
愛していたよ
ありがとう
震える心
潤む瞳
ストロングチューハイが
のどを通過する
今夜もそっとこのままで
何もなかったことにはできないよな
大きなあくび一つ。
金澤 修一 28歳。会社経営。
石黒 早紀 22歳。会社員。
2年の交際期間を経て、婚約中。
今、結婚式の準備に忙しい。
お気に入りのモノトーンの家具に
囲まれて、マグカップのコーヒーをすすりながら
パソコンに向かって予定を立てている。
結婚式場の情報収集を開始する
式場のブライダルフェアに参加する
式場決定の条件を洗い出す
同棲して、入籍して、写真とって、
まあ、両親に報告して。
そんな風に簡単に考えていた。
ところが、結婚は家と家の大切な行事とか周りからいろいろ言われて、
必要な費用もどんどん膨れ上がっていく。
式場選びひとつ、大変な作業だ。
そりゃあ、250万円も払うのだから、
イベントとして小さくないよな。
ああ、めんどくせー。
どんどんマリッジブルーになっていく。
結婚式の費用は平均で316.5万円。
招待客50人未満でこのお値段。
ひーーーだよな。
どんだけ~♪って感じだよね。
二人で話し合って、一つ一つ決めていく。
この段階で、学べることも築き上げる事柄も多いのだろうが、
式場選びだけをして生活しているわけじゃないから、
もういい加減、うんざり。
俺、結婚やめようかな。
めんどくせー。
そう思ってしまう俺は、彼女に対して無責任なのかな。
大体、普通のサラリーマンが結婚適齢期で、
新居の準備、結婚式とお金をためているもんなのか?
忙しいという字は、心を亡くすと書く。
心が死んでしまうのだ。
仕事も新型感染症のせいで、かつてないほど、
奇妙な状態。
思うように人と会えないし、
会っても接待できないし、
情報交換や交友を深めることさえ難しい。
挙句にソーシャルディスタンスを保ちながらの結婚式、披露宴、
物理的に無理だろう。
と、俺らしくもなくぶつぶつ言っていた。
PAUL SMITH ポールスミス メンズカジュアルシャツ
PAUL SMITH メンズクルーネックセーター
秋冬用に新しく、ネットで注文した。
いつの日か、通勤という言葉もなくなったりして
リモートで入社式を終え、リモートで働き、リモートで退社する。
そんな世の中になっていくのかもしれない。
部屋の観葉植物に水をやる。
霧吹きもして、手入れ終了。
お昼は何にするかな。
昨日、スミイカが3杯100円だった。
6杯買ってきたので、下処理をして煮付けにする。
おくらはさっと塩茹でにして、鰹節をかけておしたしに。
イカ、カニともに、生きている個体は「匹」と数えるが、
美味しい食材・食用としてお店の店頭に並ぶと「杯」と数えるそうだ。
安くてうまい。使った食器の片づけをしていたら、
彼女からLINE。
「今、忙しい?」
「いや、大丈夫だよ」
「結婚式、延ばしてもらいたいんだけど」
「って、式場まだ決まってないじゃん」
「そうか……」
「どうした?」
「ていうか、結婚そのものを伸ばして欲しい」
「ああ、いいよ。なにかあった?」
「うん、ちょっと……」
「時間作るから、今度ゆっくり聞かせて」
「う・ん」
なんか、へん。
以心伝心できるほど、仲がいいわけじゃないのにな。
1週間くらいたったとき、彼女からLINE。
「わたし、他の人と結婚したいの?」
「え?」
「この前、ばったり会った同級生がいて、
前から相思相愛だったみたいなんだけど、
お互いに言い出せなくて」
「そうか、それでお前が幸せなのならいいよ。
おめでとう」
「うん、ありがとう。ごめんね」
結婚式ひとつするのに、あんなに時間と手間をかけたのに、
破局は一言で終わりなのか。
なんだかあっけなさ過ぎて、
俺はちと拍子抜けしてしまった。
それにこんな大切なことをLINEで決めるってのもな~♪
「相手はどんな人?」
「うーん、謎めいているの」
「ほー」
「クールで謎めいたかっこ良い雰囲気をまとっている人」
「お前が幸せになれるのなら、俺は喜んで身を引くよ」
「ごめんね」
すっかり、俺とは別れる気になってるみたいだ。
ところが、ひょんなことから彼女の結婚したい男性が明らかになる。
「お前の彼女、昨日、歌舞伎町にいたよ」
「誰かと一緒?」
「ホストみたいなちゃらいやつと一緒だった」
「そうか、ありがとうな」
気にとめないふりをして、親友とは別れたのだが、
やっぱり気になる。
探偵事務所に頼んで調べてもらった。
やはり、親友の言ったとおり、
彼女の彼はホストとして勤めているみたい。
彼女にも、転ぶ権利があると、
俺はそのまま放置する。
去るものは追わずだ。
黄色のバラが艶やかに咲き始めた。
柔らかな花弁。
西洋では、黄色はキリストを裏切ったユダがまとっていた色とされていることから、
黄色い花の花言葉は全体的にネガティブ。
恋人に贈ると、決別を告げるメッセージとなってしまう。
黄色のバラの花言葉は、別れよう。
婚約が成立している場合、
男女は互いに誠実に交際する義務(誠実交際義務)がある。
債務不履行じゃないよね。
両家に結婚の挨拶と報告をする
結納・顔合わせをする
衣裳の試着
前撮りの準備&撮影
結婚指輪を購入
結婚式のテーマを決める
結婚式でやりたいこと(演出など)をリストアップする
招待状を送るための準備
用意するアイテム(ウェルカムボードなど)をリストアップする
二次会の会場・幹事決定
衣装の決定
招待状準備&発送
挨拶・受付・余興を正式に依頼する
ウェディングアイテム(ペーパーアイテムなど)の準備にとりかかる
挙式・披露宴の具体的なプログラムを考える
装花のイメージを考え始める
ブーケのイメージを考え始める
引き出物のイメージを考え始める
アクセサリー・ウェディングシューズなどの小物決定
ヘア・メイクなどイメージを完成させる
結婚式・二次会招待ゲストの出欠確認
ゲストの席配置を考える
BGMを決める
料理・ドリンクを決める
ウェディングケーキを決める
装花を決定する
ブーケを決定する
引き出物を決定する
宿泊の手配
交通の手配
衣装の最終フィッティング
メイクリハーサル
お礼・心づけ・お車代を準備
ウェディングアイテム(ペーパーアイテムなど)完成
ブライダルネイル
ブライダルエステ
式場とコーディネートのイメージすり合わせをする
持ち込みアイテムを式場に搬入
スピーチや手紙などの原稿完成
最終打ち合わせ
費用をお支払いする
席次表に、出席していただいたゲストの氏名などにミスがあると大変失礼に当たる。
席次表の印刷のタイミングは、早すぎず遅すぎても失敗の原因となるので、
会場への提出日の1週間前を目安に作成することをおすすめ。
結婚式準備を楽しめる人と結婚できたらいいな
きっと、出会えるよね
一つずつ一緒に進んでいける人
悪い妻を手に入れる男性は、たいがい結婚を急ぎ過ぎた人。
よい妻を得られるなら、いくら結婚が遅れても、遅すぎることはない。
スマホの君の写真に
そっと口付ける
愛していたよ
ありがとう
震える心
潤む瞳
ストロングチューハイが
のどを通過する
今夜もそっとこのままで
何もなかったことにはできないよな
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
保健室の秘密...
とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。
吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。
吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。
僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。
そんな吉田さんには、ある噂があった。
「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」
それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。
日本史
春秋花壇
現代文学
日本史を学ぶメリット
日本史を学ぶことは、私たちに様々なメリットをもたらします。以下、そのメリットをいくつか紹介します。
1. 現代社会への理解を深める
日本史は、現在の日本の政治、経済、文化、社会の基盤となった出来事や人物を学ぶ学問です。日本史を学ぶことで、現代社会がどのように形成されてきたのかを理解することができます。
2. 思考力・判断力を養う
日本史は、過去の出来事について様々な資料に基づいて考察する学問です。日本史を学ぶことで、資料を読み解く力、多様な視点から物事を考える力、論理的に思考する力、自分の考えをまとめる力などを養うことができます。
3. 人間性を深める
日本史は、過去の偉人たちの功績や失敗、人々の暮らし、文化などを学ぶ学問です。日本史を学ぶことで、人間としての生き方や価値観について考え、人間性を深めることができます。
4. 国際社会への理解を深める
日本史は、日本と他の国との関係についても学ぶ学問です。日本史を学ぶことで、国際社会における日本の役割や責任について理解することができます。
5. 教養を身につける
日本史は、日本の伝統文化や歴史的な建造物などに関する知識も学ぶ学問です。日本史を学ぶことで、教養を身につけることができます。
日本史を学ぶことは、単に過去を知るだけでなく、未来を生き抜くための力となります。
日本史の学び方
日本史を学ぶ方法は、教科書を読んだり、歴史小説を読んだり、歴史映画を見たり、博物館や史跡を訪れたりなど、様々です。自分に合った方法で、楽しみながら日本史を学んでいきましょう。
まとめ
日本史を学ぶことは、私たちに様々なメリットをもたらします。日本史を学んで、自分の視野を広げ、未来を生き抜くための力をつけましょう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる