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婚約破棄 白露
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二十四節気は、小寒・大寒・立春・雨水・啓蟄・春分・清明・穀雨・立夏・小満・芒種・夏至・小暑・大暑・立秋・処暑・白露・秋分・寒露・霜降・立冬・小雪・大雪・冬至で織り成している。
9月7日。
今日は、白露。
草の上に降りた朝露が、朝の空気の中で白く見える時期。
台風10号が猛威を振るって、日本列島を襲っている。
被害が少しでも少ないとよいのですが……。
1ヶ月くらい前、藤原 真澄25歳に、婚約者 梶原 貴志28歳から
1本の電話がかかってきた。
普段はLINEとスカイプで話をしているから、
電話というのもちょっと珍しく
声のトーンにも気をつけて真澄は楽しい会話を期待していた。
ところが、いきなり
「婚約を破棄して欲しい。理由は聞かないで欲しい。
慰謝料も払えない。本当に申し訳ない」
それだけ伝えると、一方的に電話は切られた。
わたしは、何が起こってるのか何の話をされたのか
どうしてこんなことになったのかわけがわからず、
その場に立ち尽くしてしまった。
ケイトウ、葉ゲイトウ、オミナエシ、ペンタス、ガーベラ
ゼラニウム、浜菊、クロコスミア、クレオメ、ノウゼンカズラ
さまざまなお花が所狭しと咲き誇っている小さなお庭は
真澄の気持ちなどどこ吹く風とそ知らぬふりで咲き乱れている。
色とりどりのその花たちは、今が盛りとこの一瞬を謳歌している。
植物は強い。
何があっても逃げも隠れもしない。
その場で、命の限り生命を全うする。
とるものもとりあえず、婚約者の家に向かった。
ところが、なんか変だ。
彼の家は、お蕎麦屋さんをしていたのだが、
店の外にあったつつじや破竹がばっさりときれいに切り取られ
殺風景に何もない状態になっていた。
お店もしまっている。
3階の住まいのほうに行っても誰も出てこない。
そして、それっきり、彼との連絡は途絶えた。
毎日のように会社の帰りや買い物の帰りに
寄ってはみるもののてがかりさえつかめない。
「何かあったのかな」
「夜逃げ?」
借金があるなんて話は聞いていなかった。
梶原 貴志さんとは、来春、入籍の予定だった。
簡単な写真だけの式を挙げて……。
と思っていたのだが。
何も相談してもらえないことがとても悲しかった。
借金があるならあったで、二人でがんばって働いて
返していけばいい。
たとえ、新型感染症で食べ物やさんが大変でも、
何か解決策はあるはずだ。
そう思っていたのである。
何日か落ち込んで、何も手につかなかった。
現実が把握できていなかった。
何をどう解釈し、どう対処すればいいのか
まったくわからなかった。
こんなとき、他の人はどうするのかな。
自分のできることを丁寧にすればいいというのは
頭ではわかっているんだけど。
とりあえず、ラジオ体操に行く。
婚約破棄を知っている人たちは、
いろんな噂話を真澄にしてくる。
それでも、真澄は、貴志さんのことを信じたかった。
ふと、わたしは彼の何を信じているんだろうと思う。
今年の3月、出前を頼むようになって、
貴志さんとは急速に仲良くなっていった。
二人とも植物がすきということで、
いつか北海道の風のガーデンやライラック祭りに行ってみたいねと
意気投合した。
結局、真澄は貴志さんのことは何も知らないのかもしれない。
好きな色も、好きな食べ物も、好きな音楽も……。
今日、ラジオ体操の帰り、貴志さんの家の2階に住む女の人と
世間話をしていた。
「40年も住んでいたんだけど、家賃滞納されて
弁護士を雇って出て行ってもらったの」
いなくなった理由はこれでわかった。
それにしても、スマホまで解約したのだろうか。
「40年もいればいろいろありますからね」
「そう思って、こっちも随分我慢してたんだけどね」
その女の人とは、大家さんとも知らず今までに何回か
立ち話をしていた。
彼女もお花が大好きらしく、
いつもラジオ体操の帰り、
楽しそうにお花の手入れをしていた。
随分と人懐っこい人で、
3蜜避けてのご時勢に
何度も話しながら、真澄の腕や肩に触ってくる。
学校の頃、いませんでしたか?
すぐに軽く叩いたりボディタッチしてくる人。
そんな感じだ。
今日は特に、つきものでもおちたかのように
目が輝いている。
彼女は彼女で、家賃滞納している店子の対応に困っていたのかもしれない。
「貸すほうも借りるほうも大変ですね」
「そうよね、40年か……」
「ローンでさえ、35年完済とかですものね」
大家さんらしき人は、目を細めて黙ってしまった。
一期一会。
真澄は、今日出合う一人ひとりの人に
丁寧に接しようと心に強く誓うのだった。
婚約者は大根役者
私はこの地上で次のことも知るようになった。
足の速い人がいつも競走に勝つわけでも,
強い人が戦いに勝つわけでもない。
また,賢い人がいつも食事にありつけるとは限らない。
知的な人が裕福になるとも,
知識がある人が成功するとも限らない。
なぜなら,思いも寄らないことがいつ誰にでも起きるからだ。
あの天皇家の眞子様でさえ小室○さんと
婚約破棄になるかもなのですものね。
『時と予見しえない出来事』は、
いつどこで誰に望むかわからないのです。
9月7日。
今日は、白露。
草の上に降りた朝露が、朝の空気の中で白く見える時期。
台風10号が猛威を振るって、日本列島を襲っている。
被害が少しでも少ないとよいのですが……。
1ヶ月くらい前、藤原 真澄25歳に、婚約者 梶原 貴志28歳から
1本の電話がかかってきた。
普段はLINEとスカイプで話をしているから、
電話というのもちょっと珍しく
声のトーンにも気をつけて真澄は楽しい会話を期待していた。
ところが、いきなり
「婚約を破棄して欲しい。理由は聞かないで欲しい。
慰謝料も払えない。本当に申し訳ない」
それだけ伝えると、一方的に電話は切られた。
わたしは、何が起こってるのか何の話をされたのか
どうしてこんなことになったのかわけがわからず、
その場に立ち尽くしてしまった。
ケイトウ、葉ゲイトウ、オミナエシ、ペンタス、ガーベラ
ゼラニウム、浜菊、クロコスミア、クレオメ、ノウゼンカズラ
さまざまなお花が所狭しと咲き誇っている小さなお庭は
真澄の気持ちなどどこ吹く風とそ知らぬふりで咲き乱れている。
色とりどりのその花たちは、今が盛りとこの一瞬を謳歌している。
植物は強い。
何があっても逃げも隠れもしない。
その場で、命の限り生命を全うする。
とるものもとりあえず、婚約者の家に向かった。
ところが、なんか変だ。
彼の家は、お蕎麦屋さんをしていたのだが、
店の外にあったつつじや破竹がばっさりときれいに切り取られ
殺風景に何もない状態になっていた。
お店もしまっている。
3階の住まいのほうに行っても誰も出てこない。
そして、それっきり、彼との連絡は途絶えた。
毎日のように会社の帰りや買い物の帰りに
寄ってはみるもののてがかりさえつかめない。
「何かあったのかな」
「夜逃げ?」
借金があるなんて話は聞いていなかった。
梶原 貴志さんとは、来春、入籍の予定だった。
簡単な写真だけの式を挙げて……。
と思っていたのだが。
何も相談してもらえないことがとても悲しかった。
借金があるならあったで、二人でがんばって働いて
返していけばいい。
たとえ、新型感染症で食べ物やさんが大変でも、
何か解決策はあるはずだ。
そう思っていたのである。
何日か落ち込んで、何も手につかなかった。
現実が把握できていなかった。
何をどう解釈し、どう対処すればいいのか
まったくわからなかった。
こんなとき、他の人はどうするのかな。
自分のできることを丁寧にすればいいというのは
頭ではわかっているんだけど。
とりあえず、ラジオ体操に行く。
婚約破棄を知っている人たちは、
いろんな噂話を真澄にしてくる。
それでも、真澄は、貴志さんのことを信じたかった。
ふと、わたしは彼の何を信じているんだろうと思う。
今年の3月、出前を頼むようになって、
貴志さんとは急速に仲良くなっていった。
二人とも植物がすきということで、
いつか北海道の風のガーデンやライラック祭りに行ってみたいねと
意気投合した。
結局、真澄は貴志さんのことは何も知らないのかもしれない。
好きな色も、好きな食べ物も、好きな音楽も……。
今日、ラジオ体操の帰り、貴志さんの家の2階に住む女の人と
世間話をしていた。
「40年も住んでいたんだけど、家賃滞納されて
弁護士を雇って出て行ってもらったの」
いなくなった理由はこれでわかった。
それにしても、スマホまで解約したのだろうか。
「40年もいればいろいろありますからね」
「そう思って、こっちも随分我慢してたんだけどね」
その女の人とは、大家さんとも知らず今までに何回か
立ち話をしていた。
彼女もお花が大好きらしく、
いつもラジオ体操の帰り、
楽しそうにお花の手入れをしていた。
随分と人懐っこい人で、
3蜜避けてのご時勢に
何度も話しながら、真澄の腕や肩に触ってくる。
学校の頃、いませんでしたか?
すぐに軽く叩いたりボディタッチしてくる人。
そんな感じだ。
今日は特に、つきものでもおちたかのように
目が輝いている。
彼女は彼女で、家賃滞納している店子の対応に困っていたのかもしれない。
「貸すほうも借りるほうも大変ですね」
「そうよね、40年か……」
「ローンでさえ、35年完済とかですものね」
大家さんらしき人は、目を細めて黙ってしまった。
一期一会。
真澄は、今日出合う一人ひとりの人に
丁寧に接しようと心に強く誓うのだった。
婚約者は大根役者
私はこの地上で次のことも知るようになった。
足の速い人がいつも競走に勝つわけでも,
強い人が戦いに勝つわけでもない。
また,賢い人がいつも食事にありつけるとは限らない。
知的な人が裕福になるとも,
知識がある人が成功するとも限らない。
なぜなら,思いも寄らないことがいつ誰にでも起きるからだ。
あの天皇家の眞子様でさえ小室○さんと
婚約破棄になるかもなのですものね。
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いつどこで誰に望むかわからないのです。
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