名言

好きな女性アスリートは「マイワイフ」

好きな女性アスリートは「マイワイフ」

大谷翔平

僕は、自分の妻が好きだ。もちろん、僕の妻は普通の女性ではない。彼女はオリンピック選手だ。彼女がどれほどの才能を持ち、どれほど努力してきたのかを知っているからこそ、心の中で彼女のことを誇りに思う。だが、僕の中には一つの心情がある。それは、妻がアスリートとして成功することよりも、彼女が家に帰ってきて、普通の女性として過ごす瞬間が何より大切だということだ。

名前は美月。彼女はトラック競技の短距離選手だ。若い頃から目覚ましい才能を見せ、国内外の大会で次々とメダルを獲得してきた。記録を塗り替え、いつも人々の注目を集める存在だった。メディアに取り上げられることも多かったが、そんな彼女を見ていると、どこか胸が痛むことがあった。それは、彼女が競技中に見せる力強さと、家に帰ったときに見せる柔らかな一面が、あまりにも対照的だったからだ。

美月が家に帰ってきたとき、私はその温かな笑顔に癒される。トレーニングや試合で疲れ果てているはずなのに、彼女は僕に向かって「ただいま」と言うその一言に、僕は日々感動している。彼女が選手としての顔を持ちながらも、家ではただの妻であることを大切にしている姿を見るたびに、彼女の本当の魅力を感じることができる。

「今日の練習、どうだった？」

僕がいつものように聞くと、美月は疲れた顔で微笑んだ。

「うーん、まあ、いつも通りかな。今日はちょっと風が強かったけど、なんとかいい感じだったよ。」

そんなふうに話す美月の声には、あの力強い競技場での声とは全く違った優しさが含まれている。そのギャップに、僕はいつも驚かされる。

だが、彼女の力強さを間近で感じることもまた幸せだ。僕が初めて美月と出会ったのは、彼女が大学で競技をしていた頃だ。最初はただの同じ大学の学生だったが、彼女の走る姿を見て、その美しさと力強さに圧倒されてしまった。彼女はただ速く走るだけではなく、まるで風そのものであるかのように、レースの中で自然と他の選手を引き寄せる力を持っていた。

「君の走りは本当に美しい」と言ったその時から、僕は彼女に魅了されていった。競技場で見る彼女の姿は、誰もが称賛し、目を見張るほどだった。しかし、それだけではなかった。彼女の強さは、競技においてだけでなく、人生全体においても表れていた。

美月は常に自分の限界を超えようとしていた。その努力と情熱を見ていると、僕は何度も自分が彼女に足りない部分を教わっているような気がした。スポーツという枠を越えて、彼女の姿勢から学んだことは数え切れないほどだった。

「今日はおかえりなさい。今夜は君の好きな料理を作るよ。」

そんな僕の言葉に、美月はにっこりと笑う。

「ありがとう、でも気にしないで。私は大丈夫。」

彼女のその言葉が、僕にはどれほど力強く響くか分からない。しかし、妻である美月が、家庭でも力強い女性であり続けていることを、僕は心から誇りに思っている。

美月が競技に向かって頑張っている姿を見ていると、僕は時折彼女がどれだけ重圧を感じているのかを心配になることがある。しかし、彼女はそれを一切表に出さない。逆に、「大丈夫、私はやれる」と言って、どんなに辛い日々でも笑顔で過ごしている。その強さと美しさに、僕は惹かれ続けている。

「明日は試合だね。応援に行くよ」と僕が言うと、美月は少し照れくさそうに答える。

「うん、でも君は無理しなくていいよ。疲れてるでしょ？」

「君のためなら、どんなに疲れても行くよ。」

僕のその言葉に、彼女は少し照れながらも笑顔を見せてくれる。その笑顔が、どんなに疲れていても僕を元気づけてくれる。

妻がアスリートであることは、僕にとっては誇りでもあり、時には大変なこともある。しかし、それを乗り越えて一緒に歩んでいけることが、何より幸せだと感じる。

彼女が競技場で光輝く姿を見ても、僕の心にはいつもその背後にある支えとしての妻の姿が見える。美月はただのアスリートではなく、僕にとっての「マイワイフ」だ。どんなに素晴らしい成績を上げても、どんなに名声を得ても、彼女が一番大切にしているのは家族であり、僕だということを、心から嬉しく思っている。

そして、明日もまた、美月が競技場で力を尽くし、僕はその背中を見守り続ける。それが、僕にとっての幸せだ。