名言

自分の才能、自分のやってきたこと、自分のポテンシャルをもっと信じたほうがいい。

自分の才能、自分のやってきたこと、自分のポテンシャルをもっと信じたほうがいい。

大谷翔平


信じる力

新海玲奈（しんかいれいな）は、フリーランスのイラストレーターとして働いていた。
もう三年目になるが、いまだに仕事は安定せず、不安が消えることはなかった。

「私なんか、どうせ大した才能なんてないんだ。」

玲奈は描きかけのイラストを見つめながら、ため息をついた。依頼されたキャラクターデザインが思うように仕上がらず、締め切りは明日だというのに進捗はゼロに近い。

気晴らしにSNSを開けば、同じ業界のイラストレーターたちが次々と成功を報告している。「新しいプロジェクトに参加しました！」や「個展を開きます！」という投稿に圧倒され、玲奈はスマホを放り投げた。

「私だって、必死にやってるのに……。」

玲奈は机に伏せた。そのとき、スマホの通知音が鳴る。見ると、それは大学時代の友人であり、同業者でもある三浦美沙（みうらみさ）からのメッセージだった。

最近どうしてる？忙しい？

玲奈はしばらく返信をためらったが、素直に今の状況を打ち明けることにした。

最近、全然うまくいかなくて……自分の才能なんて信じられない。

するとすぐに、美沙から返信が届いた。

玲奈、そんなこと言わないで。私から見れば、あなたはいつもすごいと思ってたよ。大学の頃、デザインコンテストで優勝したの、覚えてないの？

玲奈はその言葉に胸が詰まった。大学時代、デザインコンテストで優勝したときのことを思い出す。あのとき、彼女は誰よりも自信に満ちていた。アイデアを形にすることが楽しくて仕方がなく、自分の力を信じていた。

「今の私は、あのときの私よりも成長していないのかな……。」

玲奈は椅子から立ち上がり、部屋の隅に置いてあった古いスケッチブックを取り出した。それは、大学時代から使っていたものだった。ページをめくると、そこには若々しい情熱が詰まったデザインやスケッチがびっしりと描かれていた。

「これ、全部私が描いたんだ。」

自分の手で生み出したものの数々。それを見つめるうちに、玲奈の胸に小さな炎が灯るのを感じた。過去の自分がこれだけやれたのなら、今の自分にだってできるはずだ。

玲奈は再び机に向かい、未完成だったキャラクターデザインに向き合った。描きながら、「私はできる」と心の中で何度もつぶやいた。

翌日、完成したデザインをクライアントに提出すると、すぐに返信があった。

期待以上の仕上がりです！これからもぜひお願いしたいです。

その言葉に、玲奈は思わず涙ぐんだ。「私にできるんだ」と初めて心の底から思えた瞬間だった。

玲奈はスマホを手に取り、美沙にメッセージを送った。

昨日ありがとう。自分のやってきたこと、もう少し信じてみるね。

その調子！玲奈なら大丈夫。

玲奈は微笑んだ。これからも壁にぶつかることはあるだろう。しかし、もう自分を疑うことはやめようと思った。

「自分の才能、自分のやってきたこと、自分のポテンシャルを、もっと信じてあげよう。」

それが、これからの彼女を支える力になると信じて。