名言

目標とは、実現したい、何かに向かって自分の地図を描くこと

目標とは、実現したい、何かに向かって自分の地図を描くこと

地図を描く少年

少年の名は航太。彼は幼い頃から地図を描くのが好きだった。白い紙の上に広がる世界は、現実のどこにもない架空の街や山々で埋め尽くされていた。地図を描くたびに、その中で自分が冒険する姿を想像し、ひとり興奮していた。

「僕の描いた街には、高い山の上にお城があるんだ。そしてそこに住む王様が、旅人に試練を与えるんだよ」

そんな話を母にすると、彼女は微笑みながら「素敵ね」と相槌を打ってくれた。だが、次第に航太の地図はただの遊びではなく、彼自身の人生と結びついていくことになる。

小さな挫折
中学生になった航太はサッカー部に所属していた。彼の夢はサッカー選手になること。しかし、練習試合でミスを繰り返したことで、監督から厳しく叱られた。

「航太、もっと考えて動け！お前はいつもゴールしか見てない。チームのためにどう動くべきかを考えろ！」

その日、航太は家に帰ると一枚の白い紙を取り出した。そこに描いたのは、練習場の見取り図だった。ゴールの位置、味方と敵の配置、そして自分がどこでどう動くべきかを線で繋いでいった。

「これが、僕の動き方の地図だ」

翌日から、航太はその地図を頭の中で思い描きながら練習に励んだ。パスを繋ぎ、仲間の動きを考えるようになると、試合でのミスも減っていった。航太の地図は、夢への第一歩として形を成し始めたのだ。

新たな目標
高校生になった航太は、サッカー部のエースとして活躍するようになった。全国大会への切符を手にした試合の後、監督が航太にこう言った。

「お前ならプロを目指せるかもしれない。ただ、そのためにはもっと具体的な目標が必要だ」

「具体的な目標…？」

監督の言葉を胸に、航太はまた地図を描き始めた。今回はサッカー場だけではない。プロになるためのステップ、例えばどの大学に進学し、どのクラブチームに入るべきか、そのために必要なスキルや努力を書き込んだ。

「これが僕の人生の地図だ。きっと僕を夢の場所に連れて行ってくれる」

地図には明確な目標がいくつも記されていた。そして、そこには「2026年、Jリーグデビュー」というゴールが描かれていた。

試練と希望
しかし、航太の道は平坦ではなかった。大学2年生の時、試合中に足を怪我してしまった。全治半年。復帰できる保証もなく、航太は初めて地図の行き止まりにぶつかった気がした。

「もう無理かもしれない…」

落ち込む航太に、母が一冊の古い地図帳を手渡した。それは幼い頃に彼がよく使っていたもので、裏表紙には自分で描いた街の地図が貼られていた。

「航太、あなたは昔から地図を描くのが好きだったわよね。この地図みたいに、行き止まりに見えても道はきっと見つかるはずよ」

その言葉に励まされ、航太はもう一度紙とペンを取り出した。怪我を治すためにできるリハビリの計画、焦らず復帰するためのスケジュール、そしてその後の目標を新たに描き直した。

再び描いた道
リハビリの末、航太は再びピッチに立つことができた。復帰戦で得点を決めたとき、彼は観客席を見上げた。そこには母が手を振っているのが見えた。

「母さん、僕の地図はまだ続いてるよ」

航太の地図は、夢に向かって続く道を描き続けていた。そしてその地図は、単なる紙の上の線ではなく、航太自身の努力と希望そのものだった。

最後に
目標とは、実現したい何かに向かって自分の地図を描くこと。それは時に修正を迫られることもあるが、地図を手放さない限り、道は必ず見つかる。航太はそう信じながら、今日も新たな地図を描き続ける。