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透明の夢

「透明の夢」

ふと外を眺めた。白い雲が、まるで龍のように空を漂っていた。それを見た瞬間、胸がぎゅっと締めつけられた。心が、何かを見失ったような、そんな痛みが広がっていく。

脳の中で雲の形が変わる。もう龍はいない。ただの雲。そう、何か大切なものが消えていくのを、私はずっと感じていたのかもしれない。何か、もっと大きなものを追い求めていた自分が、いつの間にかその過程で何かを失ってしまっていたのかも。夢を見たかったんだ。小さな幸せでもいい、少しの時間でもいいから、夢の中で何か特別なものを感じたかった。

「透明になりたいな……」

私はぽつりとつぶやいた。透明になれたら、誰にも邪魔されることなく、君の隣にいられるかもしれない。夢と一体化し、君と溶け込むように一緒にいられたら、どんなに楽だろう。でも、次のバス停は来ない。これは、白昼夢だから。

また、窓の外を見た。今度は星が瞬いている。星の名前を思い出せない自分に驚いた。あれほど夢中で星を見つめていたはずなのに、今ではただの点にしか見えない。脳の皺に、微かに痛みが走る。気づけば、頬に涙が伝っていた。いつの間にか、あの小さな星々の輝きを見失い、ただ空を眺めるだけになってしまった。

「また君に、夢の中で会いたいな」

その小さな星々の光の数だけ、夢の中で君に会いたい。そして、もし会えたら……その時は透明になって、もっと君の近くにいたい。次のバス停が来ることなく、ずっと君と一緒に。

だが、この夢はただの白昼夢だ。現実ではない。現実では、バス停はいつか来る。夢は終わり、現実に戻る時間がやってくる。だけど、その瞬間まで、少しでも君のそばにいたいと思う。

もしこの夢が、いつか現実になることがあるなら。そんな奇跡が起きるなら、その時は君の隣にいて、もっと君のことを知りたい。そして、君のそばで、透明になりたい。

「透明になりたい」

私はまたつぶやいた。君の隣に立って、夢と一つになり、君と溶け合いたい。透明になれば、もっと君のことを感じられるはず。次のバス停は来ない。白昼夢の中では、時間が止まっているから。

エピローグ

夢の中で、君は笑っていた。星がまた瞬く。次のバス停はまだ来ない。夢の中にいる時間が、少しずつ溶けていくようだった。

歌詞の世界観を小説に織り交ぜ、透明になりたいという願望や、夢と現実のはざまで揺れ動く心情を描いてみました。