星の海を越えて

春秋花壇

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星の海を越えて

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星の海を越えて

「今日はどうしても、あの星を見に行くんだ!」と、リオは目を輝かせて言った。彼女の瞳には、未知の世界を目指す冒険の炎が灯っていた。

リオと兄のカズマは、小さな村で育った普通の兄妹だった。しかし、彼らにはひとつだけ特別なことがあった。それは、村の近くにある「星の丘」という場所だ。この丘は、星が降り注ぐように見える奇妙な場所で、いつも夜空が一際輝く。その理由を知る者はおらず、ただの伝説だと思われていた。

「でも、リオ、あれはただの伝説だろ?」カズマは少し心配そうに言った。彼の言葉には、村人たちの不安な声が込められていた。星の丘には、星を追い求めた者たちが迷い込んで帰ってこなかったという話があった。それを聞いたカズマは、どうしても心配だった。

「違うよ、カズマ!私、確信があるんだ。あの星の先には、何か大きな秘密があるんだって!」リオは力強く言い、青空の中で高く掲げた双眼鏡を指し示した。「あれ、見て。今、星がひとつ、流れた!」

カズマは視線を空に向け、リオが指さす方を見た。その瞬間、星がきらりと流れたように見えた。それは偶然か、それとも本当に何かが始まっている証拠なのだろうか。

「じゃあ、行こうか。」カズマは渋々、そして決心したように言った。「でも、気をつけよう。何が待っているか分からないから。」

兄妹は、星の丘へと向かう準備を整えた。夜が近づき、日が沈んだ頃、二人は村を抜け出し、山道を登り始めた。闇の中で静かに歩きながら、リオは興奮と期待で胸が高鳴っていた。

「夜空の星って、どうしてこんなにきれいなんだろう?」リオがふと呟く。

「それはね…多分、遠くの世界が私たちを見守っているからだよ。」カズマは少し照れくさそうに答えた。

「遠くの世界…それは私たちの星、違う星のこと?」

「うん、そうだと思う。」カズマは頷きながらも、気をつけて周りを見回す。

星の丘が近づくにつれて、辺りの空気がひんやりと冷たく感じられた。風の音が耳に響き、草のざわめきが不気味に響く。だが、それもまた、リオの胸を躍らせた。何か大きな冒険が待っている予感がする。

「もうすぐだね。」リオがつぶやくと、突然、空に光が閃いた。その光は、どこか遠くの星から放たれているようだったが、目の前の星の丘に降り注ぐように見えた。

「すごい…」カズマが呟く。二人はその光に導かれるように、丘の頂上へと急いだ。

その瞬間、二人の前に現れたのは、巨大な光の柱だった。そこから流れ出す光は、まるで星が生まれる瞬間のように、まばゆい輝きを放っていた。

「これが…星の海…」リオは息を呑んでその光景を見つめた。

「星の海?」カズマが尋ねると、リオはにっこりと笑った。「うん、これが本当の星の海だよ。星が集まって、私たちの世界に送られてくる場所。」

その時、突然、光が激しく揺れ始め、空が割れるような音が響いた。二人は驚き、足を止めた。

「な、何だ?」カズマが恐る恐る聞いた。

「大丈夫。きっと、私たちが踏み込むべき場所だよ。」リオはそう言いながら、前に進んだ。その足元に現れたのは、ひとつの小さな星の欠片だった。

それは、手のひらサイズの輝く石のようで、リオが触れると、石から柔らかな光があふれ出した。突然、二人はその光に包まれ、空間が歪んだように感じた。

「これは…どういうことだ?」カズマは混乱しながらも、リオの手をしっかりと握った。

「これが…星の力だよ。私たちの知らなかった、別の世界があるんだ。きっと、この星が私たちを導いてくれる。」リオは興奮しながらも、冷静に言った。

その瞬間、空の星々がきらきらと輝き、星の欠片が空に舞い上がっていった。それはまるで、星の海が二人に力を与え、次の冒険へと導いているかのようだった。

「行こう、カズマ。この星の力を借りて、もっと遠くの世界を見に行こう!」リオは力強く手を伸ばし、カズマもそれに続いた。

二人は、星の海を越える新たな冒険を始めるのだった。






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