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徒然草 第百九十五段
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徒然草 第百九十五段
原文
或ある人、久我縄手こがなはてを通りけるに、小袖こそでに大口おおくち着たる人、木造りの地蔵を田の中の水におし浸して、ねんごろに洗ひけり。心得難く見るほどに、狩衣かりぎぬの男二三人ふたりみたり出いで来きて、「こゝにおはしましけり」とて、この人を具ぐして去にけり。久我内大臣殿こがのないだいじんどのにてぞおはしける。
尋常よのつねにおはしましける時は、神妙しんべうに、やんごとなき人にておはしけり。
現代語訳
ある人が久我の畦道を真っ直ぐ歩いていると、下着姿に袴という出で立ちのオッサンが、木製の地蔵を田んぼの水に浸して、せっせと洗っていた。何事かと思い見ていると、貴族の身なりをした男が二三人やって来た。「こんな所にいたのですか」と言い、この人を引っ張って行った。この人とは、なんと久我の内大臣、通基公であらせられた。
意識がこちら側にあった頃は、優しい立派な人だった。
ポイントと解説
1. 奇妙な光景の描写
久我の畦道で、下着姿に袴を着た男性が地蔵を洗っているという奇妙な光景を描写しています。この光景が非日常的であり、見る者にとって理解しがたいものであることを強調しています。
2. 身分のギャップ
地蔵を洗っていた男性が、実は久我内大臣(通基公)であることが後に明かされます。高貴な身分の人物がそんな場所で、そんな行動をしていることに驚きを感じさせます。
3. 侍従たちの登場
貴族の身なりをした男たちが登場し、内大臣を連れ戻す場面が描かれています。これにより、内大臣がその場にいることが異常であることが強調されます。
4. 人物評
最後に、内大臣が通常の状態であったときは、非常に優れた人物であったことが述べられています。これにより、内大臣が精神的に異常を来たした可能性が示唆されています。
この段は、日常の中で異常な出来事が起こること、そしてその背後にある人物の変化や境遇の変化を描写しています。また、高貴な身分の人が異常な行動をしている様子を通じて、人間の多面性や不可解さを感じさせる内容となっています。
原文
或ある人、久我縄手こがなはてを通りけるに、小袖こそでに大口おおくち着たる人、木造りの地蔵を田の中の水におし浸して、ねんごろに洗ひけり。心得難く見るほどに、狩衣かりぎぬの男二三人ふたりみたり出いで来きて、「こゝにおはしましけり」とて、この人を具ぐして去にけり。久我内大臣殿こがのないだいじんどのにてぞおはしける。
尋常よのつねにおはしましける時は、神妙しんべうに、やんごとなき人にておはしけり。
現代語訳
ある人が久我の畦道を真っ直ぐ歩いていると、下着姿に袴という出で立ちのオッサンが、木製の地蔵を田んぼの水に浸して、せっせと洗っていた。何事かと思い見ていると、貴族の身なりをした男が二三人やって来た。「こんな所にいたのですか」と言い、この人を引っ張って行った。この人とは、なんと久我の内大臣、通基公であらせられた。
意識がこちら側にあった頃は、優しい立派な人だった。
ポイントと解説
1. 奇妙な光景の描写
久我の畦道で、下着姿に袴を着た男性が地蔵を洗っているという奇妙な光景を描写しています。この光景が非日常的であり、見る者にとって理解しがたいものであることを強調しています。
2. 身分のギャップ
地蔵を洗っていた男性が、実は久我内大臣(通基公)であることが後に明かされます。高貴な身分の人物がそんな場所で、そんな行動をしていることに驚きを感じさせます。
3. 侍従たちの登場
貴族の身なりをした男たちが登場し、内大臣を連れ戻す場面が描かれています。これにより、内大臣がその場にいることが異常であることが強調されます。
4. 人物評
最後に、内大臣が通常の状態であったときは、非常に優れた人物であったことが述べられています。これにより、内大臣が精神的に異常を来たした可能性が示唆されています。
この段は、日常の中で異常な出来事が起こること、そしてその背後にある人物の変化や境遇の変化を描写しています。また、高貴な身分の人が異常な行動をしている様子を通じて、人間の多面性や不可解さを感じさせる内容となっています。
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