徒然草

春秋花壇

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徒然草 第三十一段:雪景色と風流心

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徒然草 第三十一段:雪景色と風流心

原文

雪のおもしろう降りたりし朝、人のがり言ふべき事ありて、文をやるとて、雪のこと何ともいはざりし返事に、「この雪いかゞ見ると一筆のたまはせぬほどの、ひがひがしからん人の仰せらるゝ事、聞き入るべきかは。返す返す口をしき御心なり」と言ひたりしこそ、をかしかりしか。

現代語訳

雪が美しく降りしきる朝、人にお願いをするために手紙を書いた。手短に済ませて、雪のことは書かずに投函したら返事が来た。「この雪をどう見ていますか?一筆も書いてくれないのは、風流心のない人のすることですね。聞いていられません。何度も言いますが、そのご意見は口惜しいものです。」と言ってきたのが、おかしかった。

この段のポイント

雪景色への感性を共有できない相手への軽蔑
風流心と形式主義への皮肉
ユーモアと軽妙な語り口
解釈

この段は、雪景色を美しいと感じたのに、その感動を共有できない相手への軽蔑と、形式主義への皮肉が込められています。

手紙の送り主は、雪景色への深い感動を、相手との共有を期待して手紙にしたのでしょう。

しかし、相手は形式的な返答をするだけで、送り主の真意を理解しようとせず、むしろ風流心がないと批判してきました。

送り主は、相手の無理解さに呆れながらも、ユーモアと軽妙な語り口で皮肉を込めた返事をします。

この段は、徒然草の中でも特にユーモア溢れる作品の一つと言えるでしょう。

徒然草

この段は、鎌倉時代の随筆である『徒然草』の第三十一段に収められています。

作者の兼好法師は、自身の経験や思索に基づいて、人生の様々な側面を綴っています。

この段は、雪景色という美しい自然を題材にしながら、人間関係の機微や、形式主義への批判を巧みに表現しています。

関連作品

『枕草』:清少納言
『方丈記』:鴨長明
『海道記』:松尾芭蕉
まとめ

徒然草第三十一段は、雪景色を美しいと感じたのに、その感動を共有できない相手への軽蔑と、形式主義への皮肉が込められた作品です。

手紙の送り主は、相手の無理解さに呆れながらも、ユーモアと軽妙な語り口で皮肉を込めた返事をします。

この段は、徒然草の中でも特にユーモア溢れる作品の一つと言えるでしょう。

雪景色という美しい自然を題材にしながら、人間関係の機微や、形式主義への批判を巧みに表現しています。

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