親子

お母さんは絶対に褒めてくれない

お母さんは絶対に褒めてくれない

あさ、わたしはとても早く目を覚ました。いつもよりずっと早く、目が覚めたから、まだみんなが寝ているうちに勉強を始めようと思った。頭の中で「今日は絶対に勉強しよう」と決めて、教科書を開いた。机の上には本とノートが広がっていて、すこしだけワクワクしていた。だって、今日はきっとお母さんに褒めてもらえるだろうと思ったから。

お母さんはいつも厳しくて、褒めてくれることなんてあまりなかったけれど、わたしは心の中で期待していた。きっと今日は違うんじゃないかと思った。だって、早起きして勉強したのだもの。お母さんが「よくやったね」と言って、頭を撫でてくれるんじゃないかと思っていた。

勉強を始めてしばらくしてから、お母さんが起きてきた。わたしは少しだけドキドキして、机の前に座ったまま、しっかりと本を開いて勉強しているふりをした。お母さんが何か言うのを待っていた。でも、お母さんはわたしに気づかずに、台所で何かをしている。

その間、わたしは必死に勉強を続けた。きっと、お母さんが「今日はよく頑張ったね」と言ってくれるはずだと思って、もっと頑張ろうと思った。頭の中で、わたしが褒められる姿を思い浮かべながら、問題を解いていった。

やっと、わたしが勉強していることにお母さんが気づいたようだ。お母さんがわたしのそばに来て、「何してるの？」と聞いてきた。

「勉強してるの。」わたしは少し声を上げて答えた。

お母さんは一瞬だけわたしの顔を見たが、すぐに目をそらした。「そう。」とだけ言って、また台所に戻ってしまった。

わたしはまた、少しだけがっかりした。どうしてお母さんは、わたしを褒めてくれないのだろう？どうして、こんなに一生懸命やっているのに、何も言ってくれないんだろう？心の中で、答えが見つからないまま、時間だけが過ぎていった。

その後、勉強が終わって、お昼を食べた後に、お母さんに「今日、勉強したこと見せてあげようか？」と聞いてみた。もしかしたら、何か言ってくれるかもしれない。わたしの期待はまだ消えていなかった。

「うーん、そうね。」お母さんはうんざりしたような声で答えた。そして、「でも、土曜日の分もやりなさい」と言った。

その言葉を聞いた瞬間、わたしの心の中で何かが崩れるような音がした。期待していたものが、全く反対の形で返ってきたからだった。「土曜日の分」と言われたとき、わたしは思わず泣きそうになった。自分がどれだけ頑張って勉強していたか、お母さんにはわからないんだろうと思った。

わたしは黙って部屋に戻り、何も言わずに泣き始めた。涙がどんどん流れ、止めることができなかった。お母さんは、そんなわたしを気にも止めずに、自分のことをしている。わたしが泣いていることに気づいていないのか、気づいていても気にしていないのか、わからなかった。

「どうして…どうして褒めてくれないんだろう…」わたしは声を出さずに、心の中でつぶやいた。

そんなとき、ふと思い出したことがあった。お母さんは、わたしが何をしても褒めてくれない。いつも厳しくて、何かをしても「もっと頑張りなさい」としか言わない。わたしはいつも、それを受け入れて、頑張り続けていた。だけど、こんなに頑張ったのに、何も言ってくれない。わたしが必死に努力していることに、気づいてくれていないのだろうか？

それでも、わたしはお母さんを好きだった。お母さんが怒るときも、冷たく感じるときも、わたしはお母さんのことを愛していた。それが、わたしの中でとても複雑な感情を生み出していた。

「お母さんは、私のことを認めてくれない。」そう思うと、胸が痛くなった。でも、同時に、わたしはどうしてもその事実を受け入れたくなかった。

しばらくしてから、お母さんが部屋に入ってきた。わたしが泣いていることに気づいたのか、それとも何か感じたのか、少しだけ驚いたような顔をしていた。

「どうしたの？」とお母さんは言った。

わたしは言葉を絞り出すことができなかった。ただ、涙が止まらなかった。

「なんで、ほめてくれないの？」その一言を、やっと口にした。

お母さんは、少しだけ黙ってから言った。「ほめても、あなたが成長しないと思うから。」

その言葉に、わたしは言葉を失った。お母さんは、わたしがただ喜ぶために褒めてほしいのではなく、もっと強くなってほしいから、褒めないのだと言っているようだった。それが本当の気持ちなのか、それともただの言い訳なのかはわからない。でも、わたしはその言葉が、どこかで傷ついていた。

「そうなんだ…」とだけ言って、わたしは再び部屋に戻った。

その後、泣きながらも少しだけ気持ちが落ち着いて、少しだけ理解したような気がした。お母さんは、わたしのために厳しくしているのだと。でも、それでもやっぱり、心の中では褒めてほしいと思っている自分がいた。

「お母さん、ありがとう。」心の中で呟いた。きっと、お母さんなりに、わたしの成長を見守っているんだろうと思った。でも、それでもやっぱり、褒められることが、どれほど嬉しいことなのか、わたしは分かって欲しかった。