生きる

余命6ヶ月、一生分笑うんだ

余命6ヶ月、一生分笑うんだ

「余命6ヶ月…か。」医師の言葉に、真由美の心は凍りついた。外は快晴、真っ青な空が広がっているというのに、彼女の胸の中には冷たい雨が降っているかのようだった。

家に帰ると、真由美は部屋の隅にある古いアルバムを手に取った。ページをめくると、若い頃の写真や、家族との思い出が次々と現れる。どの写真も笑顔で溢れていた。彼女は決意した。「この6ヶ月間、一生分笑って過ごそう」と。

最初に思い浮かんだのは、友人の美咲だった。美咲は高校時代の親友で、どんなに辛い時も、必ず真由美を笑わせてくれる存在だった。久しぶりに連絡を取り、美咲と再会することにした。

「久しぶりだね、真由美！」美咲は変わらず明るく、元気いっぱいだった。二人はカフェでコーヒーを飲みながら、お互いの近況を話した。真由美は病気のことを話すつもりはなかったが、美咲の目は鋭かった。

「何かあったんじゃない？私には隠せないよ。」美咲にそう言われ、真由美はすべてを打ち明けた。

「そうだったんだ…」美咲の目に涙が浮かんだが、すぐに笑顔を取り戻した。「じゃあ、最高の6ヶ月にしよう！まずはどこに行きたい？」

真由美は笑った。「美咲が決めてくれるなら、どこでもいいよ。」

それからの毎日は、冒険の日々だった。二人は行きたい場所をリストアップし、一つ一つ訪れた。温泉旅行、テーマパーク、山登り、海辺のドライブ…。美咲はいつも真由美を笑わせるために、ユーモアとサプライズを絶やさなかった。

ある日、二人は学生時代の思い出の場所、旧校舎を訪れた。校庭で昔のように走り回り、懐かしい教室で話に花を咲かせた。その時、真由美は思った。「こんな風に笑っていられるのは、美咲のおかげだ。」

最後の数週間、真由美の体調は日に日に悪化していったが、美咲は決して離れることはなかった。二人は真由美の家で過ごし、映画を観たり、昔話をしたりして笑い合った。

ある夜、真由美は美咲に言った。「ありがとう、美咲。あなたのおかげで、私は本当に一生分笑ったよ。」

美咲は涙を浮かべながらも、笑顔で答えた。「それなら良かった。でも、まだ終わってないよ。最後まで一緒に笑おう。」

その言葉通り、二人は最後まで笑い続けた。真由美が息を引き取る瞬間も、美咲は彼女の手を握りしめ、優しく微笑んでいた。

真由美が去った後も、美咲は彼女との思い出を胸に、笑顔で生き続けた。真由美が教えてくれたように、一瞬一瞬を大切にし、笑顔を忘れずに過ごすことを誓ったのだ。

こうして、真由美の最後の6ヶ月は、一生分の笑顔で彩られた。美咲との友情は、真由美の心に永遠に刻まれ、彼女の笑顔は決して消えることなく、美咲の心にも生き続けた。


美咲へ
美咲、

この手紙を読んでいるということは、私はもうこの世にいないのでしょう。まず最初に、ありがとうと言いたいの。あなたとの日々は私にとってかけがえのない宝物です。

私たちが過ごした最後の6ヶ月、まるで夢のようだったね。あなたの笑顔、ユーモア、そして何よりも優しさに、何度も救われました。私が病気のことを話した時も、泣くことよりも笑うことを選んでくれて、本当にありがとう。あなたのその強さに、私はどれだけ勇気づけられたことか。

思い出の場所を訪れ、昔のように笑い合い、泣きたい時には泣き、笑いたい時には笑った。そんな日々が私の心を温め、癒してくれました。美咲、あなたとの時間は私の人生の中で最も輝かしい瞬間でした。

あなたが私の手を握りしめ、優しく微笑んでくれた時、私は本当に幸せでした。あなたのおかげで、最後まで笑顔でいられたんだ。

美咲、私はあなたにお願いがあります。これからも笑顔を忘れないでください。私たちが一緒に過ごした日々を思い出し、どんな時でも笑顔で前を向いて生きてください。あなたの笑顔は、周りの人々を幸せにし、私のように救うことができるから。

そして、どうか自分を大切に。あなたが幸せであることが、私にとって何よりも大切なことです。私はいつもあなたの側にいます。見えなくても、感じられなくても、あなたの笑顔を守り続けるために、ずっと一緒にいるよ。

最後に、ありがとう、美咲。あなたとの友情は私にとって永遠です。あなたの笑顔を心に刻み、私は安心して旅立つことができました。

さようなら、そして、ありがとう。

真由美より

美咲は手紙を読み終えると、涙が止まらなかった。でも、その涙は悲しみだけではなく、感謝と愛に満ちたものだった。真由美の願いを胸に、美咲は笑顔を取り戻し、前を向いて歩き出した。真由美の思い出と共に、彼女の笑顔は永遠に輝き続ける。