生きる

春秋花壇

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自分の「良い所」

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自分の「良い所」

真奈美は朝の光が差し込む部屋で、自分の机に向かって日記を広げた。彼女の日課の一つは、毎日自分の「良い所」を一つ書き留めることだった。今日のページには「笑顔が人を元気にすること」と書かれている。

「今日も頑張ろう。」とつぶやいて、彼女は日記を閉じた。

真奈美は職場でもその明るさと笑顔で周りを元気づける存在だった。人事部で働く彼女は、同僚たちの相談に乗ったり、社内イベントの企画を積極的に行ったりして、会社の雰囲気を良くするために尽力していた。

ある日、新入社員の直樹が真奈美のデスクを訪れた。彼は緊張した面持ちで、「すみません、ちょっとお話を伺いたいんですが…」と話しかけた。

「もちろん、どうぞ。」真奈美は優しく微笑んで応じた。

直樹は自分の適性や将来のキャリアについて不安を抱いていた。彼の話をじっくり聞いた後、真奈美は言った。「あなたの強みは何ですか?」

直樹は少し考えてから答えた。「人と話すのが好きで、コミュニケーション能力には自信があります。」

「それは素晴らしいですね。」真奈美はうなずいた。「自分の良い所をしっかりと理解している人は、どんな困難にも立ち向かえますよ。大切にしていってください。」

その言葉に励まされた直樹は、自信を取り戻し、前向きに仕事に取り組むようになった。

ある日の夕方、真奈美は仕事を終えて自宅に戻った。彼女は日記を取り出し、今日の「良い所」を書き留めた。「人の話をじっくり聞けること」。

その夜、友人の彩香から電話がかかってきた。彩香は最近、仕事のプレッシャーで悩んでいた。「真奈美、ちょっと話を聞いてくれない?」と、涙声で頼んできた。

「もちろん、何でも話して。」真奈美は心を込めて応じた。

彩香は自分の仕事のストレスや将来の不安を次々と打ち明けた。真奈美はただ静かに聞き、時折「それは大変だったね」と共感の言葉を挟んだ。

「ありがとう、真奈美。話せて少し楽になったよ。」彩香は感謝の気持ちを伝えた。

電話を切った後、真奈美は再び日記を開いた。「誰かの力になれること」。彼女はそう書き足した。

翌日、職場で真奈美はプロジェクトチームのミーティングに参加した。新しいアイデアを出し合う中で、彼女は自分の意見を積極的に発言した。彼女の提案はチーム全員に好評で、プロジェクトの方向性が一気に決まった。

「真奈美さんのアイデア、本当に助かりました。」同僚の一人が言った。

その日の夜、真奈美は日記に「創造力があること」と書き足した。

数か月が経ち、真奈美は自分の日記がどんどん埋まっていくのを見て、少しずつ自信が増していくのを感じた。彼女は自分の「良い所」を大切にすることで、周囲の人々にも良い影響を与えていると気づいた。

そして、ある日曜日の午後、真奈美は公園を散歩していた。ベンチに座りながら、彼女はふと考えた。「自分の良い所を大切にすることが、こんなにも自分を強くしてくれるなんて。」

真奈美はそのまま日記を取り出し、今日の「良い所」を書き留めた。「自分を信じること」。

彼女は笑顔で日記を閉じ、未来に向かって歩み続ける決意を新たにした。自分の「良い所」を大切にし、それを力に変えて進むことで、真奈美はこれからも多くの人々を支え、そして自分自身も成長し続けていくのだ。








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