生きる

ストリートチルドレンは生きているだけで奇跡だと感謝する

路地裏の奇跡

薄暗い路地裏で、少女はゴミ箱の影に身を潜めていた。

名前はミナ。年齢はたぶん10歳。

両親はすでに亡く、家族は誰もいない。

彼女は両親が身罷(みまか)ってからずっと、この路地裏で生きてきた。

ミナの唯一の友達は、野良猫のクロ。

クロはいつもミナのそばにいて、彼女を孤独から守ってくれる。

ある日、ミナはゴミ箱から食べ物を探していると、一冊の古い絵本を見つけた。

絵本には、美しいお姫様と王子様の物語が描かれていた。

ミナは初めて見る絵本に夢中になった。

王子様はいつもお姫様を守り、二人は幸せに暮らしている。

ミナはそんな物語に、心が温かくなった。

「私もいつか、王子様みたいな素敵な誰かに守ってもらいたい…」

ミナはそう願った。

その夜、ミナは空を見上げて星に祈った。

「どうか、私にも王子様があらわれますように…」

次の日、ミナはいつものようにゴミ箱を探していた。

すると、見慣れない男の人が立っていた。

男の人は背が高く、黒い髪に黒い瞳をしていた。

まるで、絵本から飛び出した王子様のような男の人だった。

仕立てのよさそうなグレーのスーツにワインレッドのマフラーを巻いていた。

靴はよく磨いてあるピカピカの革靴。

男の人はミナに微笑みながら言った。

「こんにちは。私はあなたの王子様です。」

ミナは目を疑った。

まさか、昨日の願いが叶うなんて…

ミナは王子様に手を引かれて、路地裏を後にした。

王子様はミナを暖かい家に連れて行ってくれた。

そこには、美味しい食べ物や綺麗な服がたくさんあった。

ミナは今まで経験したことのない幸せを感じた。

子供もいない家なのに、どうしてミナにピッタリのサイズのお洋服がたくさんあるのかとても不思議だった。

もっと驚いたのは、靴のサイズまでぴったりだった。

まるで魔法でもかけられたように用意してあったのだ。

王子様はいつもミナに優しく接してくれた。

ミナは王子様に守られていると感じ、安心して過ごすことができた。

王子さまは、お勉強を優しく教えてくれた。

四則計算もお絵描きも楽しく学んでいけた。

ピアノも習わせてくれた。

金魚や熱帯魚を飼うこともできた。

家政婦さんにお片付けやお洗濯、アイロンかけ、お料理も少しずつ覚えていった。

ミナは王子様に恋をした。

王子様もミナに心を寄せていた。

二人はいつしか恋人同士になった。

そして、10年後、二人は結婚した。

ミナは王子様と幸せな家庭を築いた。

あの路地裏で過ごした日々は、今では遠い昔の思い出だ。

ミナはあの日、星に祈ってよかったと心から思う。

あの日、王子様と出会わなければ、ミナは今も路地裏で生きていたかもしれない。

路地裏で過ごした日々は、決して楽なものではなかった。

しかし、あの日々があったからこそ、今の幸せをより一層感じる

ミナは今日も王子様と愛娘と共に、幸せに暮らしている。


ミナと王子様の結婚生活は、とても幸せなものだった。

二人は互いを愛し合い、二人の間には愛娘が生まれた。

娘の名前はアリア。

アリアはミナと王子様そっくりの美しい女の子だった。

ミナはアリアに愛情を注ぎ、大切に育てた。

アリアは明るく元気な女の子に成長した。

ミナは王子様とアリアと共に、毎日笑顔で過ごした。

しかし、そんな幸せな日々も長くは続かなかった。

王子様は病に倒れ、数年の闘病生活の末に亡くなってしまった。

ミナは悲しみに打ちひしがれた。

しかし、彼女は娘のアリアのためにも、強くならなければならなかった。

ミナは王子様の死を乗り越え、アリアを一人前に育て上げた。

アリアは立派な女性に成長し、結婚して家庭を持った。

ミナは孫にも恵まれ、幸せな老後を送った。

ミナは路地裏で過ごした辛い日々を忘れたことはない。

しかし、あの日々があったからこそ、今の幸せをより一層感じる

ミナは今日も、空を見上げて星に感謝する。

あの日、星に祈ってよかったと心から思う。

あの日、王子様と出会わなければ、ミナは今も路地裏で生きていたかもしれない。

路地裏で過ごした日々は、決して楽なものではなかった。

しかし、あの日々があったからこそ、今の幸せをより一層感じる

ミナは今日も、王子様と過ごした幸せな日々を思い出しながら、眠りにつく。

完