「子供は投資。時間とお金かけて育ててやったんだからリターンは当然。仕送りするのは当たり前」搾取する毒親

どうしてなんだろう?一生懸命共に成長したはずなのに、どんどん自分の考えを使ってダメになっていく子供たち。言葉遣いや食事中のスマホ、いったい誰

どうしてなんだろう?一生懸命共に成長したはずなのに、どんどん自分の考えを使ってダメになっていく子供たち。言葉遣いや食事中のスマホ、いったい誰の真似をしてるんだろう


静かな秋の夜、サクラはリビングのテーブルに座りながら、子供たちが寝静まった後の静寂に包まれていた。家中がしんと静まり返ると、自分の思考の中に吸い込まれるような感覚が彼女を襲った。夫がいなくなり、母として子供たちと共に生きる決意をしたあの日から、必死で日々を過ごしてきた。しかし、最近になってどうしても心から拭いきれない思いが、サクラの中に積もりつつあった。

サクラには三人の子供がいる。長女のハルは中学生になり、弟たちを引っ張るお姉さん。次男のアユは小学五年生、いつも何かに興味津々でやんちゃな性格だ。そして末っ子のミクはまだ幼稚園児で、サクラの膝にしがみついてくる甘えん坊だ。子供たちが小さい頃から、彼らの成長を共に見守り、いろんなことを教えてきたつもりだった。大切なのは礼儀、他人への思いやり、そして家族としての絆。そう、サクラは自分の力の限りを尽くして、彼らを育ててきたはずだった。

だが、最近の子供たちの行動がどうも気にかかる。特にハルとアユ。二人とも、かつてのような無邪気さからは少しずつ遠ざかり、言葉遣いや態度が変わってきているのだ。食事の席についても、すぐにスマホを手に取ってしまう。「いただきます」も「ごちそうさま」も、声に出して言うことが少なくなってきた。注意すると、ため息をついたり「分かってるって」と軽く流されてしまうことも増えた。

「いったい、誰の真似をしているんだろう？」とサクラは自分に問いかける。周りの影響だろうか、それとも友達同士の影響？それとも、テレビやネットから学んでしまったものなのか。どれも彼らが生活している社会の一部だと理解しつつも、どうしても納得がいかない自分がいる。

食事中のスマホ、ぶっきらぼうな言葉遣い、そして無関心そうな態度――どれもサクラが嫌いな行動だった。家族として一緒に食卓を囲む時間を大切にしたかったし、礼儀をわきまえた言葉遣いも大切にしてほしかった。それが、今ではすっかり薄れてしまっているように感じる。

ある晩、サクラは思い切って子供たちと向き合うことを決めた。ハルとアユをリビングに呼び、静かに言葉をかける。

「最近、ちょっと気になっていることがあるんだけど、いいかな？」

ハルとアユは少し困惑した顔をして座り、サクラの言葉に耳を傾ける。

「ご飯を食べるときにスマホを使わないでほしいの。みんなで一緒にご飯を食べる時間を、大切にしたいと思ってるから」

ハルは少し口を尖らせて反論する。「でも、友達とメッセージのやり取りしてるだけだよ？別に悪いことしてるわけじゃないし」

アユも「お母さん、時代が違うんだよ」と言って、少し小馬鹿にしたような目でサクラを見つめる。

その言葉に、サクラの胸に小さな痛みが走る。時代が違う…確かにそうかもしれない。サクラが育った時代とは違い、今の子供たちは生まれた時からスマホやインターネットが当たり前のように身近にあった。でも、だからといって、全てを受け入れることが正しいのだろうか？

少しだけ時間をおき、サクラは静かに語り始めた。「ねえ、二人とも。お母さんは、私たちが一緒に食卓を囲む時間が、とても大事だと思っているの。それは、みんなで日々のことを話したり、ただ一緒にいるだけでも、家族としてのつながりを感じられる時間なんだよ」

ハルは少し黙り込み、アユも視線をテーブルの上に落とした。何か考えるような表情を浮かべている。

「ごめんね、うるさく感じたかもしれないけど、お母さんにとっては、それがすごく大切なんだ」

サクラの言葉に、ハルがふと顔を上げて言った。「分かった。今度から気をつけるよ。でもさ、お母さんも少しだけ分かってほしい。友達とのつながりも、私たちにとってはすごく大事なんだ」

その言葉に、サクラは驚きと同時に、少しの安堵を感じた。彼らにとっても大事なものがあるのだということ、そしてそれを共有できるようになったことが嬉しかった。サクラは、これからも互いの価値観を少しずつ分かち合いながら、家族としての絆を深めていくことを心に決めた。

その日から、食事の時間にだけはスマホを遠ざけるようにし、家族全員が一緒に会話を楽しむ時間を意識するようになった。サクラは少しずつ変わりゆく子供たちを見守りつつも、彼らが本当に大切にするべきものを忘れずに成長していってくれることを祈りながら、日々を過ごしていく。