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本音の暴露大会

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本音の暴露大会

遥香は拓也と少し距離を取ってからというもの、自分の気持ちを整理するために、何度も頭の中で彼との会話をシミュレーションしていた。何を伝えるべきか、どう言えばいいのか。だが、いざ彼と向き合う瞬間が来ると、彼女の心はざわめき、不安でいっぱいだった。

週末、彼女は意を決して拓也に会うためにカフェに向かった。拓也はすでに席に座り、スマートフォンをいじりながら、いつもの冷静な顔をしていた。彼の目が遥香を捉えると、少しだけ微笑んだ。その微笑みが、なぜか今の彼女には遠く感じられた。

「待たせちゃった?」
「いや、大丈夫。僕も少し早く着いたから」

当たり障りのない会話を交わしながら、二人は飲み物を注文した。だが、メニューを開いている間も、遥香の心臓はずっと高鳴り続けていた。

彼女が切り出したのは、飲み物が運ばれた直後だった。

「拓也さん……」

その一言で、拓也は真剣な顔をして彼女を見つめた。

「うん、話して」

遥香は深呼吸をし、一気に言葉を吐き出した。

「拓也さんが好きよ。でも……あなたと一緒に暮らせない。私、正直に言うと、あなたといると自分も断捨離されそうで怖いの」

言葉を口にした瞬間、胸の内に溜まっていたものが少し軽くなった気がした。けれども、同時に彼の反応が怖くて、顔を上げることができなかった。

しばらく沈黙が続き、遥香は胸の奥がギュッと締め付けられるような感覚に襲われた。だが、その沈黙を破ったのは、予想外に穏やかな彼の声だった。

「そうか……君がそう感じてたなんて、全然気づかなかったよ」

驚いて顔を上げると、拓也は苦笑いを浮かべながら彼女を見つめていた。

「君が僕の部屋に違和感を覚えてたのは、なんとなく分かってた。でも、それが君にとってそんなに大きな不安だったなんて思わなかった」

彼の声には怒りや否定はなかった。ただ、彼なりに考えを巡らせたような深い響きがあった。

「でもね、遥香。君の部屋に行ったとき、僕は君との違いを嫌というほど感じたんだ」

拓也はカフェの窓越しに外の景色を見ながら、ゆっくりと話し始めた。

「君の部屋は、言ってみれば僕の部屋の真逆だった。あちこちに小物があって、読みかけの本や、ちょっと出しっぱなしになったままのものもあった。だけど、不思議と居心地が良かったんだよね」

遥香は少し恥ずかしそうにうつむいた。彼女は、自分の部屋を「雑然としている」と思っていた。それが彼にとって「居心地がいい」と感じられるなんて意外だった。

「最初は、それが僕にとって居心地がいいと感じるのが信じられなかった。でも、考えてみると、それはきっと、君がその空間にいるからなんだ」

拓也は遥香の目を真っ直ぐに見つめながら、続けた。

「僕と君は、全く違う生活をしてる。それはお互い理解してると思う。でも、だからこそ、僕には君が必要なんだと思うんだ」

その言葉に、遥香は一瞬息を飲んだ。彼の言葉は、予想以上に真剣だった。

「でも……」遥香は戸惑いながら口を開いた。「その違いが、これからもずっと続いたら、いつかお互いに辛くならないかな?」

「そうだね、可能性はあると思う。でも、違いを否定するんじゃなくて、お互いの違いを受け入れながら、どこかで折り合いがつく場所を見つけてみないか?」

拓也の言葉には、彼なりの覚悟が感じられた。遥香は、その言葉に深く心を揺さぶられた。

「折り合いをつけるって……例えばどうやって?」
「具体的にはまだ分からない。でも、まずは少しずつ試してみたいんだ。僕も、君に合わせてみる努力をするから」

彼の提案は、急な解決策ではなかった。むしろ、長い時間をかけて向き合おうとする誠実さを感じさせるものだった。

その後、二人はお互いの「ルール」を少しずつ話し合い始めた。

「私、出したものをすぐ片付けるのが苦手なの。注意力散漫だから、途中で別のことに気を取られちゃうんだよね」
「僕は、物が散らかっているとどうしても落ち着かない。でも、すぐに全部片付ける必要はないのかもな」

こうした会話を重ねるうちに、遥香は少しだけ気持ちが軽くなった。拓也もまた、彼女のことを理解しようとしている。その姿勢が見えるだけで、遥香は前に進む勇気をもらえた。

二人はまだ、すべての問題を解決できたわけではない。だが、この日をきっかけに、少しずつ歩み寄るための道筋を見つけ始めたのだった。







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