言の葉でつづるあなたへの想ひ

ゆらのとを渡る舟人かぢを絶え行くへも知らぬ恋の道かな

46. ゆらのとを渡る舟人かぢを絶え行くへも知らぬ恋の道かな（新古今集 恋 1071）
　　　　曾禰好忠（そねのよしただ 生没年不詳 9世紀中後半の歌人 曾丹とも 奔放な歌で知られる）


新古今集 恋 1071 「ゆらのとを渡る舟人かぢを絶え行くへも知らぬ恋の道かな」の詳細分析
作者: 曾禰好忠（そねのよしただ）

歌:

ゆらのとを渡る舟人かぢを絶え
行くへも知らぬ恋の道かな

現代語訳:

由良の瀬戸を渡る舟人が、櫂を失って
行く先も知らずに漂うように、
私の恋の道も行く先が見えない。

背景:

この歌は、平安時代中期に活躍した歌人である曾禰好忠によって詠まれたものです。好忠は、丹後国（現在の京都府宮津市）の出身とされ、豪放な性格と奔放な歌風で知られていました。彼の歌は、『新古今集』をはじめとする勅撰和歌集に多く選出されており、その個性的な表現は多くの歌人を魅了しました。

解釈:

この歌は、恋の不安定さを比喩を用いて表現した一首と解釈されます。由良の瀬戸は、潮流が速く難所として知られており、その荒波に翻弄される舟人を、恋の行く先が定まらない様子に例えています。「かぢを絶え」という表現は、方向性を失った舟だけでなく、主体的な行動が取れない恋の状況も暗示していると言えるでしょう。歌の後半では、「行くへも知らぬ恋の道かな」という表現を用いることで、恋の不安定さに対する深い憂いを吐露しています。

歌のポイント:

由良の瀬戸という具体的な場所を詠むことで、歌にリアリティと説得力を持たせています。
「かぢを絶え」という表現は、恋の不安定さだけでなく、主体的な行動が取れない状況も暗示しており、歌の奥深さを増しています。
恋の不安定さを、荒波に翻弄される舟人の姿に比喩することで、視覚的なイメージを喚起し、歌の情感をより一層深めています。
その他:

この歌は、小倉百人一首にも選ばれている有名な歌であり、古くから多くの人々に愛されてきた一首です。
曾禰好忠は、豪放な性格と奔放な歌風で知られる歌人です。
この歌は、恋の不安定さや儚さといった普遍的なテーマを詠んでおり、現代の人々にも深く共感される歌と言えるでしょう。
参考資料:

https://www.youtube.com/watch?v=pB3NC-DWzeA
[無効な URL を削除しました]
百人一首 - Wikipedia [無効な URL を削除しました]
まとめ:

曾禰好忠の「ゆらのとを渡る舟人かぢを絶え行くへも知らぬ恋の道かな」は、恋の不安定さを比喩を用いて表現した一首であり、その鮮やかで印象的なイメージと普遍的なテーマによって、日本文学における名歌の一つとして長く愛され続けています。


***

古都の隅にある小さな川辺で、孤独な舟人がゆらぎながら船を操っていた。彼の名前は悟（さとる）。彼はこの川で生まれ育ち、舟人としての技術を磨いてきた。

ある日、悟は川辺の草むらで美しい女性、葵（あおい）と出会った。彼女は旅人であり、悟の船を借りて川を渡ることになった。葵の笑顔は悟の心を奪い、彼女のために船を操ることが喜びとなった。

その日以来、葵は何度も悟の船を利用し、彼らの間に特別な絆が芽生え始めた。しかし、葵はいつも旅の途中であり、彼女の旅立ちの日が近づくにつれて、悟の心は不安に包まれていった。

ある晩、川辺で葵との別れを悲しみながら話す悟。彼女は彼の手を取り、優しく微笑んで言った。「ゆらのとを渡る舟人よ、あなたは絶えることのない恋の道を行くのです。」そして、彼女は川を渡り、夜の闇に消えていった。

その後も、悟は川辺で舟を操りながら、葵との出会いを思い返していた。彼は彼女の言葉を胸に刻み、新しい旅人たちとの出会いに心を開いていった。彼の心は永遠に葵との思い出で満たされ、彼は絶えず恋の道を歩んでいくのだった。