言の葉でつづるあなたへの想ひ

みちのくの信夫もぢずり誰ゆゑに 乱れそめにしわれならなくに

みちのくの美しい風景が、源融の心を包み込んでいた。彼は静かな川岸に立ち、眼下に広がる風景を見つめている。岸辺には緑の木々が生い茂り、その間を清らかな川の水が流れている。水面には太陽の光が反射し、きらきらと輝いている。

川の流れは静かで穏やかでありながら、その流れには深い哲学が宿っているように感じられる。源融はその美しい風景にただただ魅了され、心が落ち着いていくのを感じた。彼は自然の中で自分自身と向き合い、内なる平穏を見つけようとしていた。

風がそよそよと吹き、木々の葉がざわめく音が聞こえる。鳥のさえずりが遠くから聞こえてきて、彼の耳を優しく包み込む。彼は自然の音に耳を傾け、その美しい響きに心が洗われるような感覚に酔いしれた。

彼の目の前には、美しい景色が広がっている。山々が連なり、遠くには雲が青空を彩っている。源融はその風景をじっと眺め、自然の美しさに感動しながら、自らの心の中にある感情を詩に込めていくのだった。


みちのくの信夫(しのぶ)もぢずり誰ゆゑに乱れそめにしわれならなくに（古今集 恋 724）
　　　　河原左大臣（源融 とおる 822～895 嵯峨天皇の皇子）


清らかな流れる川のそばで、源融は静かに立ち止まった。彼の心はみちのくの風情と美しさに打たれ、古代の詩人たちが詠った言葉が思い浮かんできた。その美しい自然の中で、彼は自らの心を静め、詩の世界へと没入していった。

彼の心は、詩の中で歌われる情熱と深い哀しみに触れる。忍ぶもぢずりという言葉が彼の心を揺さぶり、愛する人との別れの哀しみが心に迫ってくる。彼はなぜ自分が乱れそめにしわれなくにと問いかけるように、心の奥底で悩み苦しんでいた。

美しい自然の中にいながらも、源融の心は愛する人との別れの悲しみに溺れていた。彼はどうして自分がこのような苦しみを味わわなければならないのか、その疑問が彼の心を打ち、詩の中に込められていった。

しかし、彼の心は同時に、自らの内なる強さや愛情にも触れる。彼の詩は、愛する人への深い思いと、別れの悲しみに満ちている一方で、彼の内に秘められた強さや愛情も表現されていた。彼は自らの心の葛藤に向き合いながらも、詩を通じてその情熱を形にしていった。

清らかな川の流れや美しい風景が、源融の心を癒し、彼の詩の創作意欲を高めていく。彼は自らの心の中にある葛藤や疑問に向き合いながらも、美しい自然の中で新たな詩を紡いでいくのだった。


源融は静かな川岸に立ち、心に渦巻く感情を詠み込んでいた。彼の心は穏やかながらも、内には悲しみと哀愁が漂っていた。彼はみちのくの風景を眺めながら、恋の切なさや複雑さを感じていた。

彼の心は恋の悩みに乱れ、みなの川の流れのように積り積もっていく。恋が始まった頃の清らかな心も、今では深い淵となって彼を苦しめる。彼は自らの感情に戸惑い、なぜ恋が彼を乱れさせるのかを理解できないでいた。

しかし、そんな彼の心の中には、恋人への思いやりや愛情も秘められていた。恋人への想いが彼を乱れさせるのは、彼女への深い愛と切なる思いが交錯しているからだ。彼は恋の甘美さと苦しみを同時に味わいながら、自らの感情を静かに詠み続けた。