神・悪魔・人間・罪

「光への道」

「光への道」

リナは、ずっと心の中に暗い影を抱えていた。学校で友達と話していても、何かが自分だけを切り離しているような気がしてならなかった。自分の悩みを誰かに話したいと思うことはあったが、結局誰にも言えないままだった。助けを求めても無駄だという思いが彼女を支配していた。

ある日、彼女はスマートフォンでニュースを見ていて、アメリカの10代の若者たちのメンタルヘルスに関する報告を目にした。10代の少女の57％が悲しみや絶望を感じているというデータに、リナは自分も同じだと強く共感した。自分だけではないという安心感が一瞬湧き上がったが、それでも問題の根本的な解決策は見えなかった。彼女の苦しみは日を追うごとに深まっていった。

ある晩、リナは思い詰めた表情で窓の外を眺めていた。風が木々を揺らし、街灯の光がぼんやりと映し出される中、彼女の胸には終わりのない絶望が広がっていた。「これ以上耐えられない…」そんな考えが頭を巡り、彼女は涙をこぼしながら部屋を出た。

しかし、その夜、彼女はふと集会のことを思い出した。いつもは家族と一緒に行っていたが、最近は行くのを避けていた場所だ。心のどこかで、何かにすがりたいという思いがあったのかもしれない。リナは無意識のうちに集会所へ向かって歩き始めた。

集会所に到着すると、静かな雰囲気が彼女を包み込んだ。そこには家族のような温かさがあった。彼女はいつも座っていた場所に腰を下ろし、手元に置かれた聖書を開いた。しばらくページをめくっていると、ある一節が目に留まった。

「疲れた者、重荷を負っている者は、皆わたしのもとに来なさい。わたしがあなたがたを休ませてあげます。」

リナはその言葉をじっと見つめた。まるでその言葉が自分のためにあるかのように思えた。彼女の心に少しだけ光が差し込み、涙が再び溢れてきた。

「神様、本当に私を見てくれているの？」彼女は心の中で小さくつぶやいた。その瞬間、長老が彼女に気づき、静かに近づいてきた。長老は何も言わずに彼女の隣に座り、しばらくの間、ただ彼女が落ち着くのを待っていた。

「リナ、神はあなたを見ておられます。そして、あなたの重荷を分かち合いたいと思っておられます」と、長老は優しく語りかけた。「どんなにつらくても、神はあなたを愛し、支えてくださるんです。」

リナはその言葉を聞いて、少しだけ肩の力が抜けた。彼女は長老に自分の苦しみを少しずつ打ち明け始めた。「私はもう、生きる意味がわからなくて…何もかもが重くて…」

長老は静かにうなずき、彼女の言葉を一つ一つ受け止めてくれた。そして、「神はあなたを決して見捨てません。どんなに絶望の中にあっても、彼にすがることができるのです」と、聖書の一節を彼女に示した。

その日から、リナは少しずつ集会に通うようになった。聖書の言葉に支えられ、心の中の暗い影が少しずつ薄れていくのを感じた。彼女のメンタルヘルスの問題は一夜にして解決するものではなかったが、彼女には信頼できる仲間や神が共にいるという安心感があった。

「疲れた者、重荷を負っている者は、皆わたしのもとに来なさい」というイエスの言葉は、リナにとって救いの光だった。そして、彼女は少しずつではあるが、再び前を向いて歩き出すことができたのだ。