上 下
1 / 17

前編 1

しおりを挟む
CP:年下執着勇者攻め、親バカ甘やかし村人おっさん受け
本編の傾向: 乳首責め、感度操作

※リクエスト頂いた年下攻めです。
———————————————



僕は先代勇者……の生まれた村に同世代で生まれた幼馴染の平凡な村人だ。

今は父から引き継いだ村の道具屋を経営している。
両親は健在で、商魂たくましく兄夫婦と別の町に移住し新しく店を切り盛り中。
最近は手紙が来ると結婚はまだかとばかり書いてあるので中々肩身が狭い。

僕が早々に店を継いで三十路過ぎても独り身なのは、強いて言うなら今の勇者のせいだ。

彼は今、僕の目の前でもりもり僕の作ったご飯を食べている。

「で、リーベは今日どんな冒険してきたの?」

家族の会話を求めて目の前の義息子に話しかける。
リーベは赤茶色の長めの髪を揺らしながら皿に突っ込まんばかりにしていた顔を上げた。
喋るために口に入ったものをモギュモギュ噛んで飲み込む姿は、世界の行く末を託された勇者だとは思えないくらいに幼い。
まだ彼は16歳だから無理もないけど。

「……別に普通。ジルには関係ないし。」

必死に口を空にした割にはそっけない答えが帰ってきた。
最近は僕に対してずっとこんな感じだ。
育ててくれた親に何て失礼な態度だと言えなくもないけど、そういう年頃なんだろう。
最初はお父さんと呼んでくれてたのも、10歳を過ぎる頃には頑なに名前で呼ぶようになった。

僕はリーベの事を本当の息子のように思っているけど、彼にしてみれば自分の父親は先代勇者のファナスただ1人って事なんだと思う。
実父のファナスは魔王打倒にあと少しのところまで肉薄した数少ない存在だった。
惜しくも直接対決で敗れ妻の聖女と一緒に殺されてしまったけど、旅先で親が残した逸話をリーベは相当聞いてるようだ。だからしがない露店の主人よりはよほど父親として尊敬してるんだろう。

最後の戦いの直前、数年ぶりに故郷に帰ってきたファナスの腕にはまだ乳飲子だったリーベがいた。そしてあろうことか独身の僕に子供を託して魔王に挑んで行った。

そりゃ勇者パーティーに育児休戦なんてないんだろうけど、せめて乳離れしてからじゃダメだったのかと。
おかげで僕は高い呪料を魔術師に払って母乳が出る体にしてもらう必要があった。
村の女性に乳母をしてもらおうにもリーベの食欲が旺盛過ぎて貰い乳じゃ足りなかったし、牛やヤギの乳は吐き出してしまったからだ。

あの時の育児は今思い出しても辛い。毎夜1,2時間毎に夜泣きで起こされ、無理やり術やマッサージで母乳を絞り出す日々。
苦労して育てたおかげでリーベの事は目に入れても痛くないくらい愛しいわけだけど。

「普通なんて事ないでしょ。今日もヴェヌティーネの街に行ったの?」

会話を求めてしつこく話しかける。
リーベは無言で肩をすくめた。そうだけど?って意味だ。
そんな不遜な態度も彼を心から愛している僕には全然気にならない。
もう元気に大病なく育ってくれただけで偉い。

「いいよねぇ。お父さんリーベに聞いてから調べたんだけど、海沿いで街中に水路が走った綺麗な所なんだろ?お魚美味しい?あとどれくらいいそう?」

リーベは僕の言葉に鬱陶しげに眉を寄せた。

「もう次の街に行く。」

「えっ!じゃあ街を襲うクラーケンは!?」

「今日倒した。」

「凄いじゃないか!16年ぶりに街のみんなは解放されたわけだ。リーベは本当に強い勇者だね。」

感心してため息を吐くと、リーベの表情が少し得意げになる。

「ま、大した事ないけど、今日は街中でお祝いとか言ってた。」

そう言って山盛りだったマッシュポテトの最後のひと匙を口に運んだ。

「ええ!?なのに帰ってきちゃったの!?」

どうだと小鼻を膨らませながら言うリーベの言葉に、僕は毎日繰り返される彼の不思議な行動に改めて驚く。

しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

美しき父親の誘惑に、今宵も息子は抗えない

すいかちゃん
BL
大学生の数馬には、人には言えない秘密があった。それは、実の父親から身体の関係を強いられている事だ。次第に心まで父親に取り込まれそうになった数馬は、彼女を作り父親との関係にピリオドを打とうとする。だが、父の誘惑は止まる事はなかった。 実の親子による禁断の関係です。

愛する者の腕に抱かれ、獣は甘い声を上げる

すいかちゃん
BL
獣の血を受け継ぐ一族。人間のままでいるためには・・・。 第一章 「優しい兄達の腕に抱かれ、弟は初めての発情期を迎える」 一族の中でも獣の血が濃く残ってしまった颯真。一族から疎まれる存在でしかなかった弟を、兄の亜蘭と玖蘭は密かに連れ出し育てる。3人だけで暮らすなか、颯真は初めての発情期を迎える。亜蘭と玖蘭は、颯真が獣にならないようにその身体を抱き締め支配する。 2人のイケメン兄達が、とにかく弟を可愛がるという話です。 第二章「孤独に育った獣は、愛する男の腕に抱かれ甘く啼く」 獣の血が濃い護は、幼い頃から家族から離されて暮らしていた。世話係りをしていた柳沢が引退する事となり、代わりに彼の孫である誠司がやってくる。真面目で優しい誠司に、護は次第に心を開いていく。やがて、2人は恋人同士となったが・・・。 第三章「獣と化した幼馴染みに、青年は変わらぬ愛を注ぎ続ける」 幼馴染み同士の凛と夏陽。成長しても、ずっと一緒だった。凛に片思いしている事に気が付き、夏陽は思い切って告白。凛も同じ気持ちだと言ってくれた。 だが、成人式の数日前。夏陽は、凛から別れを告げられる。そして、凛の兄である靖から彼の中に獣の血が流れている事を知らされる。発情期を迎えた凛の元に向かえば、靖がいきなり夏陽を羽交い締めにする。 獣が攻めとなる話です。また、時代もかなり現代に近くなっています。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

オメガに転化したアルファ騎士は王の寵愛に戸惑う

hina
BL
国王を護るαの護衛騎士ルカは最近続く体調不良に悩まされていた。 それはビッチングによるものだった。 幼い頃から共に育ってきたαの国王イゼフといつからか身体の関係を持っていたが、それが原因とは思ってもみなかった。 国王から寵愛され戸惑うルカの行方は。 ※不定期更新になります。

神官、触手育成の神託を受ける

彩月野生
BL
神官ルネリクスはある時、神託を受け、密かに触手と交わり快楽を貪るようになるが、傭兵上がりの屈強な将軍アロルフに見つかり、弱味を握られてしまい、彼と肉体関係を持つようになり、苦悩と悦楽の日々を過ごすようになる。 (誤字脱字報告不要)

禁断の祈祷室

土岐ゆうば(金湯叶)
BL
リュアオス神を祀る神殿の神官長であるアメデアには専用の祈祷室があった。 アメデア以外は誰も入ることが許されない部屋には、神の像と燭台そして聖典があるだけ。窓もなにもなく、出入口は木の扉一つ。扉の前には護衛が待機しており、アメデア以外は誰もいない。 それなのに祈祷が終わると、アメデアの体には情交の痕がある。アメデアの聖痕は濃く輝き、その強力な神聖力によって人々を助ける。 救済のために神は神官を抱くのか。 それとも愛したがゆえに彼を抱くのか。 神×神官の許された神秘的な夜の話。 ※小説家になろう(ムーンライトノベルズ)でも掲載しています。

若さまは敵の常勝将軍を妻にしたい

雲丹はち
BL
年下の宿敵に戦場で一目惚れされ、気づいたらお持ち帰りされてた将軍が、一週間の時間をかけて、たっぷり溺愛される話。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

処理中です...