【R18/完結】没落オメガと溺愛アルファのパーフェクト子づくりっ!

ナイトウ

文字の大きさ
上 下
15 / 26

2(エロ)

しおりを挟む
津田川さんが言ったとおりその日も今日も麒臣君とは会えなかった。
というか、麒臣君は帰国直後のいろんな仕事が殺人的に忙しいみたいで再会してから数える程しか会えてない。

明日を待ち遠しく思いながら床についた七夕の前日、体の熱さに思わず深夜に眼が覚める。

「っ……はぁっ……あっ、きちゃったぁ……」

頭がぼーっとして浴衣が擦れるたびにじわっとするくらい肌が敏感になってる。
心臓がどくどくして、下半身にもどかしい疼きがあった。

発情期が来たみたいだ。
予定だと数日後のはずなんだけど。

こうなっては何もしないと辛いだけなので、オメガはだいたい発情を抑える漢方を常備している。
夜目を凝らしながら薬棚に入れた袋を手探りで取り出した。
丁度丸薬は切れてて、煎じ薬しかない。
仕方がないので、湯を沸かすために台所へ向かう。

廊下に出ると思ったより月の光で明るい。
梅雨なのに珍しく月夜だったから、雨戸は閉めないようにお願いしたんだ。
廊下の軒先から空を見上げれば、麒臣君が帰ってきた時と同じ形の月が出ている。
もう麒臣君と再会して1ヶ月かと今更気づいた。

「きおみくん……」

口にするだけで体がざわざわする。
ここにいない麒臣君が欲しくてしょうがない。
僕の体を征服して、孕ませてくれるあの愛しいアルファが今すぐに欲しい。

「はぁっ……」

体が更に疼いて立っていられなくなる。
廊下の途中で膝を曲げて蹲った。
こんなに強い発情は珍しいな。
僕はどっちかと言うと症状が軽い体質で、いつもは薬を飲んでいれば発情期も日常生活には問題ないのに。

どうしよう。何でこんなに今日は反応しちゃってるんだ。
誰か呼んだ方がいいかな。

助けを呼ぼうと声を出すために息を吸う。
微かにあの特別な雄だけが発する独特の甘い匂いを感じた。
離れた所で、廊下がミシッと鳴る。

「麟太?」

声だけで昂ぶった体が軽く跳ねた。
目線を送るとスーツのジャケットだけ脱いだ仕事帰りの麒臣君が立っている。

「あっ……きおみくん……」

「ひょっとして、発情期?予定より早いけど……」

麒臣君が間合いを取ったまま尋ねる。
僕は頷いた。
薬を飲んでいないアルファが発情期のオメガに近づけば自分も発情を誘発されてしまうのでやり方としては間違ってない。でも、近づいてくれないことに悲しくなる。

……?悲しさで少し頭が冷えたけど、何で麒臣君僕の発情期がまだ先だって知ってるんだろう……?

「えーと、……薬用意しようかぁ?」

麒臣君が聞いてくる。

酷い。

前の時は麒臣君が忙しくて会えなかったから、今初めて麒臣君の前で発情してるのに。
僕が麒臣君に種付けされたいの分かってるくせに。
そんなに本妻さんと先にアルファの赤ちゃん作りたいの?

頭を横に振って申し出を拒否する。
震える足に力を入れてフラフラ立ち上がった。
逃げるまではしない麒臣君に一歩一歩近づく。

近づくごとに、麒臣君の匂いが強くなる。
堪らなく淫らな気分になった。
全部欲しい。誰にも渡さない。

僕だけの雄。


とうとう辿り着いて僕には扇情的すぎる体にすがりつくと、麒臣君が背中に腕を回して抱きしめてくれた。

僕より頭一つ高い位置にある顔に、必死に背伸びして顔を近づける。
麒臣君が屈んでくれたから、唇が触れたのはすぐだった。

鼻の中が濃厚なアルファの匂いでいっぱいになって、身体中が熱で溶けるんじゃなないかってくらい血がグラグラしてる。

「っんっ……はぁ……っきおみくっ……」

遠慮が一切なく口の中を暴れまわる麒臣君の舌に、必死に自分のを擦り合わせて追いかけた。
口から溢れた唾液が首を伝う感覚が分かるくらい体が敏感になっている。
その首を麒臣君の指がつつっと這うと、背中がゾクゾクして気持ちいい。

どちらともなく膝が崩れて、僕は廊下に押し倒された。
覆いかぶさってくる麒臣君の顔は、月明かりでもはっきりと欲情してるのがわかってすごく嬉しくなる。

「っはぁ……まあ、こうなるよねぇ……」

いつも落ち着いた麒臣君のいつもより余裕がない声色に優越感が湧く。
もっとこの人の余裕を奪ってしまいたい。

「ねぇ……触ってぇ……」

浴衣の合わせを自分から開いて胸をさらけ出した。
待ちきれなくて自分で片方の乳首を捏ねてみる。
すでに硬くツンツン尖っていて、それをつまんで弄り回すと普段自慰の時に触るより何倍も気持ちいい。

「じゃあこっちしてあげるね。」

「ふあぁっ……」

触ってない方の乳首が湿った柔らかいものに包まれる感触がした。
しおりを挟む
↓めちゃくちゃ世話になっている。
B L ♂ U N I O N
感想 4

あなたにおすすめの小説

完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡

なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。 あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。 ♡♡♡ 恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!

既成事実さえあれば大丈夫

ふじの
BL
名家出身のオメガであるサミュエルは、第三王子に婚約を一方的に破棄された。名家とはいえ貧乏な家のためにも新しく誰かと番う必要がある。だがサミュエルは行き遅れなので、もはや選んでいる立場ではない。そうだ、既成事実さえあればどこかに嫁げるだろう。そう考えたサミュエルは、ヒート誘発薬を持って夜会に乗り込んだ。そこで出会った美丈夫のアルファ、ハリムと意気投合したが───。

つまりそれは運命

える
BL
別サイトで公開した作品です。 以下登場人物 レオル 狼獣人 α 体長(獣型) 210cm 〃 (人型) 197cm 鼻の効く警察官。番は匿ってドロドロに溺愛するタイプ。めっちゃ酒豪 セラ 人間 Ω 身長176cm カフェ店員。気が強く喧嘩っ早い。番限定で鼻が良くなり、番の匂いが着いているものを身につけるのが趣味。(帽子やシャツ等)

ミルクの出ない牛獣人

斯波良久@出来損ないΩの猫獣人発売中
BL
「はぁ……」  リュートスは胸に手をおきながら溜息を吐く。服装を変えてなんとか隠してきたものの、五年も片思いを続けていれば膨らみも隠せぬほどになってきた。  最近では同僚に「牛獣人ってベータでもこんなに胸でかいのか?」と聞かれてしまうほど。周りに比較対象がいないのをいいことに「ああ大変なんだ」と流したが、年中胸が張っている牛獣人などほとんどいないだろう。そもそもリュートスのように成体になってもベータでいる者自体が稀だ。  通常、牛獣人は群れで生活するため、単独で王都に出てくることはほぼない。あっても買い出し程度で棲み着くことはない。そんな種族である牛獣人のリュートスが王都にいる理由はベータであることと関係していた。

Ωの不幸は蜜の味

grotta
BL
俺はΩだけどαとつがいになることが出来ない。うなじに火傷を負ってフェロモン受容機能が損なわれたから噛まれてもつがいになれないのだ――。 Ωの川西望はこれまで不幸な恋ばかりしてきた。 そんな自分でも良いと言ってくれた相手と結婚することになるも、直前で婚約は破棄される。 何もかも諦めかけた時、望に同居を持ちかけてきたのはマンションのオーナーである北条雪哉だった。 6千文字程度のショートショート。 思いついてダダっと書いたので設定ゆるいです。

被虐趣味のオメガはドSなアルファ様にいじめられたい。

かとらり。
BL
 セシリオ・ド・ジューンはこの国で一番尊いとされる公爵家の末っ子だ。  オメガなのもあり、蝶よ花よと育てられ、何不自由なく育ったセシリオには悩みがあった。  それは……重度の被虐趣味だ。  虐げられたい、手ひどく抱かれたい…そう思うのに、自分の身分が高いのといつのまにかついてしまった高潔なイメージのせいで、被虐心を満たすことができない。  だれか、だれか僕を虐げてくれるドSはいないの…?  そう悩んでいたある日、セシリオは学舎の隅で見つけてしまった。  ご主人様と呼ぶべき、最高のドSを…

処理中です...