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8(以下、エロ)
しおりを挟む同時に、今まで心の奥に押し込めて固めていたものが溶けて溢れ出して、抑えきれなくなった。
我慢しようとしても止まらなくて、涙と嗚咽が溢れる。
「う゛っ……うぇっ……ふっ…ひっく……」
「どうしたの?キス、嫌だった?」
いきなり泣き出した僕に少しも動揺した様子もなく、温かい手が優しく頭を撫でてくれる。
「ちがっ…うぐっ……」
嗚咽で上手く喋れない。
違うんだ。僕、ずっと諦めてきたから。
父さんと母さんが死んじゃっても、大事に今まで育ててくれたんだからって諦めた。
空っぽのお墓でも、いっぱいの思い出があるって諦めた。
家のものを持っていかれても、自分が頼りないからだって諦めた。
大学を辞めることになっても、勉強はどこでも出来るって諦めた。
身売りすることになっても、必要とされてるならいいやって諦めた。
でも……でも、
「ぼ……くっ…、きおみ君の、ことはっ……あ、あきらめたく…ないっ……」
本妻がいるなんて嫌だ。
妾なんて嫌だ。
僕だけの麒臣君がいい。
こんなこと言ったら麒臣君が困るから言わないけど、もう辛くても自分の気持ちを誤魔化すのはやめようと思った。
「ごめんね。辛い時に一緒にいてあげられなくて。これからはずっと側にいるよ。」
また唇が塞がれて、すぐに舌が入ってきた。
さっきと違って貪るように口の中の粘膜をめちゃくちゃに擦り上げられて、揺さぶるような気持ち良さが湧いてくる。
「んんっ……はっ、んっ……っ…はんっ」
息をしようとしても気持ちいい度に鼻から息が漏れて酸欠で頭がクラクラする。
さっきボタンを留めてくれた手に、今度はボタンを外された。
キスをしながら胸や腹をくすぐる様に撫でられて、身体中に甘い痺れが広がってく。
ちゅっ、と音を立てて口を離されたら、間に唾液が細い線を引いてプツッと切れた。
「はぁ……はぁ……んぁっ」
やっと息が楽になったと思ったら、開いたシャツから覗く胸元にキスをされてまた息が止まる。
廊下でされたように乳首を口に含まれて、熱い舌が薄い皮膚をざりっと舐めあげるとまた気持ち良さが頭を突き抜けた。
もう片方の乳首も、綺麗な指が摘んでくりくり捏ねたり、先っぽを優しく引っ掻いたりされる。
ぢゅぷっ、じゅっ、こすこす、くりゅっ
「ああっ、……はぁんっ……っァ、あっ」
「ね、ほら、麟太君のおっぱいがどうなってるか見てごらん。」
言われるままに視線を下に落とす。
重ねて付けられて濃くなった胸の赤い跡よりも更に真っ赤になって、ピンと勃ちあがった突起が二つ、障子越しの月明かりでもわかるくらいだった。
「やだ…恥ずかしい……」
「どうしてぇ?こんなに可愛いのに……」
楽しそうに突き出した乳頭を人差し指でくるくる撫でる麒臣君。
それだけでピクッと背中が跳ねてしまった。
触る手がどんどん下に降りて、スラックスに辿り着く。
「はぁっ……んっ」
布越しにもう硬くなり始めた股間をやわやわ揉まれて鼻から抜ける声が漏れた。
ベルトを緩めたウエストから手を差し込まれて直接前を触られる。
長い指が僕の窮屈そうに勃ちあがったちんこに絡んで動くと、直接的な刺激にどんどん快感が上乗せされていく。
くしゅっ、くちくち、こしゅこしゅこしゅっ
「んんぁっ……はぁ、あっ…アぁっ」
悶えてる僕をじっと見下ろしながら麒臣君は手を動かした。
「気持ちいいね?」
ぼんやりした頭で暗示にかけられたようにガクガク頷く。
「じゃあ、もっとよくなろっかぁ。」
麒臣君が体を下にずらして僕の腰を抱えるように持ち上げた。
10
↓めちゃくちゃ世話になっている。
B L ♂ U N I O N
B L ♂ U N I O N
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