【R18/完結】没落オメガと溺愛アルファのパーフェクト子づくりっ！

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　樺島さんは何も言わずスンと鼻をすする。

「……まてよ。」
　そのとたん小さく呟いた。

　ミシッと畳が鳴って、樺島さんが近づいてくる。
　ぐっと肩を掴まれ起こされて、首筋に鼻を埋めて匂いを嗅がれた。
　その瞬間、あの独特なむせかえるような匂いが微かに香る。

「！？樺島さん？」

「やっぱり……お前、オメガか？」

「あ、はい。樺島さんはアルファなんですね。」

　すぐに離れてまた座っていた座布団に戻り、匂いを紛らわすためか葉巻に火をつける。
　僕も落ち着かせるようにパタパタと顔を仰いだ。
　ああ、これから売る家の畳に灰が……。

「っくそっ、とことんやり辛ぇなてめぇはよ。」

　二、三口吸ってじゅっと畳に火口を押し付けた。
　あああああー！

　はぁ、と樺島さんがため息を吐く。

「てめぇがどうやって2億稼ぐんだよあぁ？」

　あ、どうやら待ってくれる方向で話してくれるっぽい。
　見た目によらず結構いい人だ。
　畳のことは許す。

「まだあてはないのですが、今から就職活動します。決まったら教えるので……」

「昼職で楽に2億稼げるほど世の中甘くねぇぞ。」

「それはほら、そのうち事業で一発当ててですね。」

「そこに名前書いたやつも借りる時そう言ってたがな。」

　顎で借金の証文を指す樺島さん。
　わぁ。正論ヤクザだ。

「……おし。んだな。体売れ。そしたら5年で返せるように俺が後を見てやる。」

　ざわっと後ろの舎弟がどよめく。

　ひっ、やっぱり借金返済っていったらそれなんですね……。
　しかもよく分かんないけど5年で返せってのは舎弟さんすらビビる鬼畜提案と見た！

「ぼ、僕に務まりますかね？蔭間にしては年齢いってるし、作法も知らないし、ど、ど、童貞ですし……。」

「挿れられる方なんだから童貞は関係無ぇだろが。まあまあ可愛い顔してっから歳は15,6って事にしとけ。オメガなら客は誑かしやすいしな。発情期の妊娠だきゃ面倒だが、種付けされても2、3回堕ろしゃ孕まなくなんだろ。」

　数回の堕胎は織り込み済みの強制労働……は、箱入り童貞の僕には敷居が高すぎる！

「待ってください！それはオメガの無駄遣いですよ！僕の体なら2億3億ポンと出すお金持ちがたくさんいますよー！」

「ああん？ホントか？」

　訝しげに片眉をあげる樺島さん。
　このままだと陰間茶屋と堕胎のアンハッピーセットが待っているので、何とか頭を働かせて話す。

「そうですよ！ほらっ男のアルファと男のオメガの子供は高確率で男アルファじゃないですか！相手がベータでもそこそこアルファが生まれますし。だから、後継に男のアルファが欲しいって家は男オメガを娶ったり妾にするんですよ！」

「そりゃ知ってるが、そのために2億出すほどとは知らねぇな。」

「ま、まあ僕はそんじょそこらの男オメガじゃないんでね！なんたって華族の出ですからね。普通華族の男はオメガだろうと嫁なんて行きませんから。」

「ふーん。てめぇを娶れば平民でも華族筋のアルファを跡取りにできるってわけか。」

　僕は必死に頷いた。僕が嫁げば鶯院家の爵位は叔父に譲る事になるが、伯爵で実業家でもある叔父と血縁が出来ること自体が人によっては魅力的なはずだ。
　アルファの後継と伯爵の血筋の両方を商品にすれば、2億の借金ごと引き受けてくれる金持ちが現れるかもしれない。

　僕としても、娼夫に堕とされて夜の街デビュウするよりは金でどこかの家に買われてピュっと種付けされてスポーンて産んであとはコネ要員にされる方がまだマシな気がする。
　うん。そう思うことにする。

「で、てめぇに2億で種付けしてえって輩はどこにいんだ？」

「これから探せば楽勝でさぁ！僕だって華族の端くれ、上流階級の人脈は豊富も豊富。そりゃもう濡れ手に粟どころか棘付きの栗まで付いてきますから！」

「手に刺さってるじゃねえか……まあいい。1週間やる。1週間後に事務所に2億耳揃えて持ってこい。」

「ありがとうございます！！」

　本日二度目の土下座をキめた僕の肩を、樺島さんが叩いた。
　平常時でもくらりとするような樺島さんの優秀なアルファの匂いが、さっきより強くなってる気がする。

「初めての客は俺がなってやるから、よく尻解しとけよ。」

　そう楽しそうに言い放って舎弟を引き連れて立ち去った。

　さ、さ、さ、させるかっ！